かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 149

2022-10-25 19:41:49 | 短歌の鑑賞
  2022年度版 渡辺松男研究2の20・21(2019年3月実施)
     Ⅲ〈薬罐〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P99~
     参加者:泉真帆、岡東和子、T・S、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆   司会と記録:鹿取未放


149 むっすむっすとこんにゃくだまは地に太り そよ近代のあらざりし国

          (レポート)
 「むっすむっす」のリズム感がたのしい。夜ごとに地中に太るさまが窺えて巧みだ。「国」とは日本国のことではなく、この農村地帯のことをいっているのではないだろうか。世の中はとっくに近代から現代へ移ったというのに、この農村は時代からとりのこされたように、ほとんどなにもかもがまだ手作業のままの生活だと。その自然の大地にむっすむっすと太るさまがいい。(真帆)

 「むっすむっす」のオノマトペが力強くていい。そして、農を差別する側を跳ね返す矜持や根性もありそうな強い音だ。「近代」は難しい概念だが、自我や人権意識、社会性などひっくるめて、それらがわが国では根付かなかったことを言っているのだろうか。(鹿取)

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