かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 52

2023-06-03 11:33:24 | 短歌の鑑賞
 2023年版渡辺松男研究⑦(13年7月)『寒気氾濫』(1997年)
    【八月十五日うつそみ、パーフェクト・エッグ】
    参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
  


52 ふりむけば死者恒河沙(ごうがしゃ)の目のひかりうつそみは静止しておれぬなり

      (まとめ)
 恒河はインダス川、恒河沙はインダス川の砂のことで、数が無限であること。題に「八月十五日うつそみ」とあることから考えると、この無数の死者は戦死者、あるいは戦争の犠牲になって死んだ人々も含むのかもしれない。うつそみは〈われ〉だろう、そういう死者の無数の鋭い、あるいは悲しげな目に見られてじっとしていられない。〈われ〉のこころが日頃そういう死者達のことを忘れて過ごしていることに対する申し訳なさでいたたまれない思いにさいなまれるのであろう。(鹿取)

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