かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 200(中国)

2019-03-25 18:12:27 | 短歌の鑑賞
馬場あき子の旅の歌26(2010年3月実施)
    【飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)164頁~
     参加者:N・I、Y・I、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放


200 匂ふといふ色雪にあり烏魯木斉の空に天山は暮れ残りゐつ

       (レポート)
 「匂ふといふ色」とは、どんな色だろう。今、白雪を被った7千メートルを超す天山山脈の山々は、夕暮れを迎えている。が、まだ暮れていない。我々の知る夕焼けでもない。夕暮れのかすかな光に淡く浮かんだ山々。それが「残りゐつ」(残っていた)の雰囲気だろうか。(T・H)


     (まとめ)
 夕暮れの天山の被る雪を「匂ふといふ色」と捉えたところがすばらしい。「匂ふ」は美しい色つやをいう語だが、今でも「匂うような黒髪」などの言い回しに意味の名残がある。暮れ残っているのだから天山の裾野は徐々に暗くなっているが雪を被った天山の頂の方はまだ夕日が雪を染めているのだろう。かそかな光りをたたえたはかなげな夕暮れの山を何色とも言い難く、「匂ふといふ色」と捉えた。作者の感動のほどがしのばれる。(鹿取)

コメント
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