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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 20(アフリカ)

2018-12-14 19:56:43 | 短歌の鑑賞
馬場あき子の外国詠2(2007年11月実施)
    【阿弗利加 1サハラ】『青い夜のことば』(1999年刊)P155~
      参加者:崎尾廣子、T・S、N・T、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:崎尾 廣子 司会とまとめ:鹿取 未放
 
20 何かかう深い哲学のぞくごと見てあればスカラベはあわてはじめぬ

(まとめ)
 古代エジプトではスカラベは聖なる虫としてあがめられていた。そんなスカラベを見つけて「何かかう深い哲学のぞくごと」見てしまったのである。「何かかう」がうまいニュアンスをつけている。この語がなかったらある種の臭みが出てしまったかもしれない。見ていると視線を感じたのだろう、「スカラベはあわてはじめぬ」という。糞をころがしていた最中だったのかもしれない。この後の足早に逃げ出すさまが想像できる。
 同行した「かりん」の仲間のスカラベの歌を記す。(鹿取)

みじかくもながくも見える時の影曳いてスカラベ過ぎゆかんとす
                  清見 糺
何もないサハラに生まれ存在のたいくつなどは知らぬスカラベ
自由への道スカラベの背に問えばすたこらさっさと遁げてゆきたり
 

(レポート)
 スカラベをじっと見つめている作者の姿が目に浮かぶ。「何かかう」が印象的である。スカラベは一瞬のとまどいを見せたのであろう。結句でそんなこと考えたこともないよと言っているかのように砂を蹴ってくっきりとした影を落としつつ走り去ってゆく小さな生き物の姿の景を目に残してくれる。「あわてはじめぬ」とひらがなを用いているが虫のとまどいを見せられているようである。 (崎尾)

 *スカラベ:外国産のタマオシコガネムシなどのふんを集めてまるいだんごをつくり、てきとう
       なところへころがしてゆく。ふんの中にはたまごをうみ幼虫はふんをたべてそだつ。         
  (小学館 ポケット版原色図鑑)

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