Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

清々しさと後味の悪さが同時に残った、『大相撲九州場所』

2007-12-02 00:10:00 | その他スポーツ
今、日本の大相撲界(角界と一括りに呼ばれますので、以降はこれに略します)は、大変な逆風が吹いていますよね

横綱・朝青龍関が、夏巡業を体調不良から休場している最中に、母国のモンゴルに帰国してサッカーに興じた問題は、日本大相撲協会が2場所の出場停止処分を下して「謹慎」の措置を取りました。

その影響で各方面から朝青龍関はバッシングを受け、その結果精神的に病んでしまい、母国に帰国して療養するに至りました。

そして、時津風部屋の力士が、名古屋場所の稽古中に、兄弟子達の暴力によって死亡するに至り、元・双津竜の前・時津風親方が相撲協会から解雇処分を受ける刑事事件にまで発展しました。
時津風部屋の件は、監督省庁の文部科学省から調査委員会の設置などの調査義務&報告を課されました。
『かわいがり』なんていう、なんとも皮肉な言葉が流行語大賞にノミネートされるほどにまでなっています。

こんな具合に、角界が逆風にさらされている最中に行われた、11月25日に千秋楽を迎えた、『大相撲九州場所』…。

初日もちょっとテレビで視聴していましたが、客席に空席が目立つほど、国民の「総好かん」を食っている感じですよね

ですが、これも協会は謙虚に受け止めなければいけません。

11月23日からの3連休中は、ある意味ゆっくりできたので、BS2で、三段目力士の取り組みからテレビ観戦していました

ゆったり、のんびり…『ゆるゆる』見る機会もなかなかないので、それなりに充実していたと思います

3連休初日の13日目(11月23日)では、そんな暗い話題を吹き飛ばすような、実に清々しい取り組みがありました。

すでに披露しましたが、垣添-嘉風の一番です

この両者は、共に大分県の出身で、日本体育大学の先輩・後輩の関係にあります。
(垣添関が大学4年生の時、嘉風関は大学1年生だったそうです。)
九州場所ですので、この両者の取り組みには、大きな歓声が挙がっていました。

この一番に勝ったのは垣添関で、嘉風関を寄り倒して白星を獲得しています。

小生が指摘した「清々しさ」は、その「勝負あり」の直後でした。

垣添関は、駄目押しをすることもなく、土俵下に落ちた嘉風関を立ち上げるために土俵を降りて手を貸し、嘉風関を立ち上げると…

「お前が土俵に先に上がれ

といわんばかりに、嘉風関に先を譲る仕草をして、実際に嘉風関が土俵に上がるのを待ってから、自身が土俵に上がって「勝ち名乗り」を受けたのです

最近、特に外国人力士や、全盛期時代の現・理事長の北の湖のように、勝負がついても「駄目押し」をしたり、相手を土俵際で投げたら、「投げっぱなし」で勝ち名乗りを受ける光景が散見され、後味を悪くしていました。

しかしこの一番は、大学時代の先輩が後輩を気遣ったわけで、それだけで小さな身体の垣添関の「人間の大きさ」を感じさせましたね

ところで、この垣添関…。

付け人に言わせると、調子が良い時も悪い時も、変わらず「気合が入りすぎていて怖いほど」土俵に集中しているそうです
勝負がついて花道を引き上げた後も、その気合は「クールダウン」に至るまでに、相当な時間が必要な程なのだとか…。
しかも、垣添関の取り組みを見ていると、必ずと言って良いほど、立会いの時には先に仕切り線に両手を着いて、相手と合わせるように臨みます。

こんな気持ちの良い力士…数少なくなっているように思います

前から垣添関は好きな力士でしたが、この13日目の土俵での姿勢を拝見して、益々「大好き」になりました

相撲はいつも全力で正攻法ですが、「相撲に勝って勝負に負ける」感じで勝ち星が挙がらなく、最近は幕内下位に番付を落としていますが、元々は力のある力士です。頑張って欲しいですね

ですが、そんな清々しいことがあったその翌日…「ちょっとそれはやりすぎでしょ」と思わず言いたくなってしまう取り組みが…。

それは、優勝の行方を左右する、白鵬-千代大海の一番です。

優勝が懸かっているだけに、両者の気合は立会い前から満点でした。

相撲も、千代大海関が突き押しで攻めますが、白鵬関が、千代大海関に相撲をさせまいと、その持ち味を殺すように、強引なまでに「取ったり」を仕掛けて、最後は寄り切って勝ちました。

横綱の相撲としては、小生自身は決して褒められる内容ではなかったように感じます

千代大海関は取り組み後、「自分の力は全て出し切った。仕方ない…」と語ったそうです。優勝に賭ける思いは相当だったようですね。
千代大海関も、先の垣添関や嘉風関と同じ、大分県の出身ですから、この場所は力が入ったと思います。
優勝すれば、将棋の深浦 康市 王位と同様、「故郷に錦を飾る」格好になりますからね

ですが、この取り組みの白鵬関の強引な「取ったり」によって、千代大海関が右腕の肘を痛めてしまいます

その結果、九州の相撲ファンが一番楽しみにしていると思われる、魁皇-千代大海の一番は、千代大海関が休場を余儀なくされ、魁皇関が不戦勝になりました
同時に、戦わずして、白鵬関の優勝も決まってしまったのです…。

千代大海休場で白鵬連覇=史上初の結末、5度目の賜杯-大相撲九州場所 (時事通信) - goo ニュース

のリンクからタイムアウトするまでは記事を読むことができますが、優勝争いをしていた力士が千秋楽に休場したことによって、相手方力士に優勝が「棚から牡丹餅式」に転がってきた例は、今回が初めてだとか…。

白鵬関が14日目に、「横綱らしからぬ一人相撲」をしてしまった格好です。
相手を怪我させてまで、優勝したかったのでしょうか
(もちろん、違うと信じたいですがね…。)

強引な「取ったり」がなければ、千秋楽まで優勝の行方が分からなかったわけですし、実際、千秋楽で白鵬関は、琴光喜関に「裏返し」にされて敗れています。
優勝の成績は、12勝3敗…褒められた成績ではないですし、完全に水を差してしまいました。

千秋楽の取り組みが終わった後は、恒例となっている、表彰式での優勝インタビューで、どう白鵬関が応えるかに注目してみていました。

というのも、白鵬関のご令室様は、日本人です。

ですから、こういう状況になってしまったのですから、自ら…

「昨日の取り組みで、自分の『取ったり』で千代大海関に怪我をさせてしまった結果として優勝まで決まってしまった格好となり、お客様には申し訳ない気持ちもあります」

というニュアンスのコメントを発することが可能と思ったからです。

このときの聞き手は、NHKの岩佐 英治 アナウンサーでしたが、終盤の質問が「インコース直球」で実に良かったですね

「優勝は、千代大海関の休場を今朝聞いて知ったのですか?」

この質問…核心を突いています。素晴らしかったです

岩佐アナウンサーの心理にも、こういう形で優勝か決まったことに対し、何らかのコメントが欲しかったと思われます。
それが最後まで白鵬関の口から出てこなかったので、限られた時間の終盤に、この質問が飛び出したのでしょう

それに対し、白鵬関は…

「はい…そうです…」

と、力なく答えるだけでした。

その後の岩佐アナウンサーの質問が「とどめ」の一撃でしたね

「その気持ちが、千秋楽に出てしまった感じですか?」

それに対し、白鵬関は…

「ええ…」

と、これまた力なく答えるだけでした。

残念ですね…。

横綱であれば、優勝争いを最後までして、最後の最後に怪我で(しかも白鵬関自身との取り組みで…)身体が痛んだ千代大海関への気遣いがあっても良かったと思います。
外国人力士とはいえ、思いやりがあれば、それくらいは最低できたと思います。

超前向きに捉えれば、岩佐アナウンサーの核心を突く質問に対し、力なく答えたのが、「精一杯の千代大海関への思いやり」かもしれませんが…。

本件は賛否両論あって然るべきとは思いますが、小生にはそう感じました。

終盤は接戦だった優勝争いだった上に、13日目で清々しい取り組みがあったのに、全てが水の泡になってしまった感じです。
表彰式でも、空席が目立ちましたものね…。ファンはシビアです。


そんな1年納めの九州場所も終わり、30日に、ようやく謹慎が26日に明けた、もう一人の横綱・朝青龍関が、母国から戻ってきて記者会見しましたね。

横審は強硬姿勢から一転、朝青龍謝罪に納得「一区切り」(サンケイスポーツ) - goo ニュース
横審 朝青龍を抜き打ち視察へ(スポーツニッポン) - goo ニュース

関連する記事は、やはり上のリンクから、タイムアウトするまでは読むことが可能ですが、概ね好意的に取られているようです。

しかし、それまでの曲折や、その間の北の湖理事長の「当事者意識が若干欠如した」受け答えを踏まえると、小生は「眉唾」の評価です。
「心からの謝罪」は、冬巡業や帰京してからの稽古ぶり…そして初場所を見るまでは、それが本心からだったのか、その場しのぎの「芝居」だったのかは、分かりません。

小生の周りの方々の朝青龍関の評価の中には、この事態が勃発する前から
「態度としては、日本人の反感を買うようなものばかり」
というのも、事実としてあります。

「アンチ」の方々をも納得させることができるかどうかは、やはりこの後の朝青龍関の取る行動に全てがあるように感じます


清々しさと後味の悪さが同時に残った、『大相撲九州場所』でしたが、年が明けてすぐの『大相撲初場所』は、色々な意味で注目度は高いと思います。

逆風は続きますが、それをフォローに変えるのも、力士一人一人の自覚に懸かっています。
正念場ですが、「角界の信頼回復」に至るように、全力士が良い相撲を披露できるように、一層の精進を重ねて欲しいと願う次第です

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