ジェリー・バーガンジ(Jerry Bergonzi)は1947年ボストン生まれ。マイケル・ブレッカーより2歳,ボブ・バーグより4歳年上です。8歳の時にはじめてクラリネットを手にして,12歳の時にアルトサックスに転向。更に14歳でテナーサックスを始めたようです。初期のバーガンジはソニ・ロリンズ,コルトレーン,ハンク・モブレーにインスパイアされたと語っています。ローウェル大学を卒業後はストリップ劇場のバックバンドでエレキベースを弾いてお金を貯め,ついに1972年にニューヨークに上京。最初の7年間は生活に困窮しましたが,1979年にデイブ・ブルーベック・カルテットに参加し名声を得ました。しかし,1981年には再びボストンに戻り,テナー奏者と平行して教育者としてもキャリアを積み,数多くのバンドに参加すると同時にサックスの教則本やビデオを発表しています。いわばミュージシャンズ・ミュージシャン的側面を持つ彼ですが,本国ではマイケル・ブレッカーやジョー・ロヴァーノと並び称される名士だそうです。そうそう,昨日紹介したダン・ブレイデンもバーガンジに師事していたんですよね。
さて,この新作『 Tenor of the Times 』は古巣Double-Time Recordsを離れ,SAVANTに移籍した第一弾で,Double-Time Recordsの前作『 live GONZ 』同様,レナート・チコ(Renato Chicco)(p),デイヴ・サントロ(Dave Santoro)(b),アンドレア・ミシェルティ(Andrea Michelutti)(ds)のカルテット編成です。そしてGONZという名称はこのカルテットのバンド名のようです。
本作は全てバーガンジのオリジナルで,お得意の変拍子の楽曲も交えつつ,ボブ・バーグへの追悼曲<Bob Berg>なども配した全7曲です。変拍子でありながらバーガンジのソロはそれと意識されないほど自然で,何気に吹いていますが,相当のテクニックがないと乗れない難曲もあります。
バーガンジの音は時にコルトレーン風であったり,ジョーヘン風であったりするかと思えば,マイク・スターンと競演するといきなりブレッカー風に変貌したり,はたまたリーブマンを彷彿させる硬質でクールなフレーズをぶつけてきたりと,何でもできるテクニシャンなのですが,本作では気心知れたメンバーとの演奏ということもあって,比較的穏やかな彼の演奏が楽しめる好盤です。流して聴いてしまうとそれなりにしか響いてきませんが,大音量で彼のフレーズを追うように聴いてみると,一つのコードに対する様々なアプローチ,スケールの適用のバリエーション,音列の意表をつく跳躍,聴いたこともない斬新なフレーズなどなど,驚きの連続です。個人的には前作の『 live GONZ 』の方がライブ盤ということもあり,乗りの良い軽快な演奏が楽しめて好きですが,本作も聴くほどに味のでるスルメ盤かもしれません。特にピアノのレナート・チコの美麗フレーズには感心してしまいます。ライナーノーツによるとチコは現在はオーストリアに住み教鞭もとっているようですが,過去に15年程NYに住んでいたとこのと。僕は全く知りませんでした。
【愛聴度 ★★★】
Jerry Bergonzi 『 LIVE GONZI! II 』2004 Double-Time Records
パリのライブハウス,ロンバート(lombert)での実況録音盤。僕が所有しているのはVol.2ですが,当然Vol.1もあります。新作よりこちらの方が数段ノリが良いです。バーガンジのゴリゴリ,ブリブリの豪快な極太フレーズ満載。こんなに巧いのに日本での人気がないのが不思議です。バーガンジは初期にはRED,Blue Noteにも吹き込みがあります。最近まではDouble-Time Recordsに数多く作品を残していますが,オルガンのダン・ウォールを加えたトリオ編成が多く,僕としてはちょっと触手が伸びずにいます。
【愛聴度 ★★★★】
Guido Manusardi 『 Within 』1996 Soul Note
ギド・マヌサルディの追っかけで買ったアルバムにバーガンジが参加していました。これが僕のバーガンジ初体験。バックでイタリア・ジャズ界の重臣,マヌサルディが煽るわけですから,バーガンジもいつもより気合が入ります。僕の知る限りのベスト・ソロが聴かれる愛聴盤です。マヌサルディが素敵なのは当然。
【愛聴度 ★★★★】
Alex Riel 『 Rielatin' 』1999 stunt
stuntのアレックス・リールの作品にもたびたびバーガンジが参加しています。特に本作はマイケル・ブレッカーとのバトルが聴き応えあります。ベン・ウェブスターのM-1<Did You Call Her Today>で二人が左右のチャンネルに振り分けられ強烈なバトルが繰り広げられます。それにしても二人とも聴き比べるとよく似ています。
【愛聴度 ★★★】
Dave Santoro 『 Standards Band II 』2000 Double-Time Records
新作も含め数多くのバーガンジの作品に参加しているベーシスト,デイヴ・サントロは,バーガンジと同郷の仲。1978年から二人は競演しているとの事。本作はサントロ名義の<standards Band>の第二作。第一作はピアノがブルース・バースでしたが,第二作はレナート・チコが参加しています。とってもリラックスした雰囲気のアルバムで,これといった仕掛けも派手さもない凡作ですが,こういう作品こそ,テーナー奏者の格好の教材になるのでしょうね。同じサントロ名義で『 The New Standard 』という作品もありますが,こちらはよりモダンでモーダルな演奏でその懐の深さを見せつけています。
【愛聴度 ★★】
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Macだとネットスケイプしか対応してないんですね。エクスプローラは駄目みたいです。
僕はWindowsとMacを両方使用しているのですが,WindowsからアクセスするとちゃんとURLが出ました。
早速,トラバさせていただきますね。
問い合わせてみましたら、、
クリスさんは、ブラウザ何をお使いですか?
http://plaza.rakuten.co.jp/hlp/?doc=supportenv
対応してないと、URLが表示されないみたいです。
きっと、なにかメンティナンスしたときから、そうなちゃっていたんでしょうね。
因みに、ファーストカンパニーのトラックバックURLはこれ。
http://tb.plaza.rakuten.co.jp/mysecretroom/diary/200607190000/d5d5d/
不思議なんですよね。
あれ,おかしいな~。
で,もう一度トラバしようと思って,すずっくさんの記事を開いたら,あれ,トラバのURLの欄が空白!!
そうしたのでしょうか。
トラバできません。
むむ。。。
と、、と、、
クリスさん、また、とらばが宇宙空間にきえちゃったよ。
不思議なんですよね。
メルドーは届いてます。
100万年光年くらい離れてるのかも知れませんね。。
でもこーいうのって,明日探しに行ったからって見つかるブツでもないし,ヤフオクのAlartsにでも登録して気長に待ちますだ。
では,また。
バーガンジーも愛してるんですね。
こちらかもトラバさせていただきます。
そうそう,先程,アーロン・ゴールドバーグの記事を書くのに彼のHPを見ていて知ったのですが,ゴールドバーグもバーガンジに師事していたんですね。
>私のバーガンジ初体験は、イタリア盤ではなくて、、
ダニエルソンがらみで、Fast Companyかなぁ。
カルディラッツォ参加のやつでしょ。
持ってないんですよ。欲し~~。
>ターのジッベリーニ絡みのレッド盤(だったかな?)も、、たまに聴きますねぇ。。タイトル失念。赤いジャケットでなんか、「○体」ぶら下がってるようにみえるヤツ。。って、私だけかしら。。
え,redにはないようだけど。どれだろ。○体ぶらさがりを見てみたんだけど,検索したけど見つかりません。気になるな~。
この新譜は結構,店頭ではプッシュされてましたよ。
ポップの内容にも力入っていたし。
でも,それほど良いとも思いませんでしたが。
アップ,楽しみにしています。
では,また。
私のバーガンジ初体験は、イタリア盤ではなくて、、
ダニエルソンがらみで、Fast Companyかなぁ。
これ、メンバー的にも手を出さずにいられませんでしたねぇ(^_^);;
たぶん、フィンランド盤。
あ、ギターのジッベリーニ絡みのレッド盤(だったかな?)も、、たまに聴きますねぇ。。タイトル失念。赤いジャケットでなんか、「○体」ぶら下がってるようにみえるヤツ。。って、私だけかしら。。
最近買ってないけど、『 LIVE GONZI! II 』は面白そうですね。
そう、1がでたとき、買おうか迷ってやめちゃったんですよね。
う~ん、ますます聴いてみたいです(苦笑)
新譜の方は未入荷ですが、UP時はトラバさせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。