雨の日にはJAZZを聴きながら

FC2 に引越しました。http://jazzlab.blog67.fc2.com/

Enrico Rava Quintet at Blue Note Tokyo

2007年05月21日 22時01分53秒 | ライブ

先週はイタリアン・ジャズ・ファンには夢のような一週間でした。なにしろBlue Note 東京にエンリコ・ラヴァ,ステファノ・ボラーニ,ロベルト・ガットらがやってきちゃったのですから。「 Umbria Jazz Presents Top Italian Jazz 」と題して,一週間ぶっ通して彼らが演奏してくれたのです。しかし,ここに大問題が発生。なにしろ2日つづメンバー,フォーマットを変えて出演するということで,どこかで一日観れば済むというわけにはいかなかったのです。月曜日と火曜日がエンリコ・ラヴァとステファノ・ボラーニのデュオ。水曜日と木曜日がラヴァのクインテット。そして金曜日と土曜日がボラーニのトリオ。ということで,全部楽しむには最低3日間Blue Noteに通い詰めなければならなかったわけで,到底そんなことは時間的に無理。でも観たい。ということで,仕事の予定表とライブ・スケジュールを睨めっこしながら,何とか木曜日のラヴァのクインテットと金曜日のボラーニのトリオを観て来ました。

まずは5月17日,木曜日のエンリコ・ラヴァ・クンテットのライブについて。

観たのは9時30分からの2nd set。いつもの如く,全く予約なし(というか緊急の仕事が入ると行けなくなるので,予約というものをしてライブを観ることがいつもできないのですが)で9時過ぎに入店。カウンター席に陣取り,アサヒ黒生とジャック・ダニエル,それにコンビーフみたいなつまみを頼んで,あたりを見回すと所々空席が見られました。ラヴァと言えど満席には出来ないんだな~とちょっと寂しくなりました。

ライブは始まるまでの約30分間,ビールを飲みながら客席をウォッチングして時間を潰していると,そこに拍手に迎えられてメンバーがステージに上がってきました。ラヴァによる簡単なメンバー紹介の後,1曲目が静かに始まりました。

1曲目は最新作『 The Words And The Days 』に収められていた 《 Todamor 》。兎に角,熱い演奏でした。CDで聴くのと大違い。特にトロンボーンのジャンルーカ・ペトレッラが思いの他凄かったです。現在のラヴァ・クンテットのレギュラーですが,僕の所有するCDの中では上の写真の98年の『 Certi Angoli Segreti 』 (Label Blue LBLC6594 )には参加していましたから,ラヴァとの付き合いは少なくとも8年以上になるのですね。

実は,ジャンルーカ・ペトレッラの姿を見るのは初めてではありません。昨年発売されたラヴァのDVD 『 The Enrico Rava Quartet Live In Montreal 』で,その雄々しい姿を見ているのですが,その時,こいつは凄いと感じていました。JJジョンソンのように一音一音のきれがよくて,バルブ楽器のように吹けるわけではないのですが,何と言うか,トロンボーンの見せ方,聴かせ方を知り尽くしている感じなんです。体を捻り,大股でラッパを天井に向けて吹き鳴らすその姿は,まるで象の雄たけびのようでうです。ヴィジュアル的にとっても楽しいんですね,この人。ECMでの録音だけ聴いていると全く彼の凄さが分かりませんが,イイですよ,ペトレッラ。彼のバイオを見ますと,エレクトロニカやアシッド・ジャズにもその活動範囲を広げており,今最も注目されているトロンボーン奏者のようです。1975年生まれの32歳ですからこれから大いに期待したいものです。

2曲目は『 Easy Living 』( 2004 ECM 1760 )に収められていた 《 Algir Dalbughi 》。印象的なブギウギ・ピアノのリフで始まるラヴァのオリジナル。アルバムよりも速いテンポで演奏されていて,否応なしに気分が昂揚してきてビールを一気飲み。あ~~,最高。この曲,前述のDVDでも演奏していました。ライブの盛り上げ役といったところでしょうか。

3曲目はラヴァのお得意の 《 Nature Boy 》。好きなんですね。この曲。ラヴァの雰囲気にぴったりで,まるでラヴァのオリジナル曲かのように吹きます。

4曲目は幾度となく演奏し,記録されてきた翳りある哀愁美曲 《 Certi Angoli Segreti 》。そう,上の写真のCDのタイトル曲でもありました。いろいろなヴァージョンがありますが,僕はマウロ・ネグリのクラリネットが美しいこの『 Certi Angoli Segreti 』 が好きなんですよね~。このCDは愛聴盤ですわ。全員のソロ回しで長い演奏ですが,ポッツァのリリカルなソロも,怒涛のガットのソロも楽しく,全く飽きさせない構成。でも,いつも思うけど,ライブでのピアノの音ってどうしてあんなに汚いんでしょう。ポッツァの音って凄く綺麗なはずなのに。ライブ会場でのPAの限界なのででしょうか。

と,ここでライブ終了。え,もう。ホントBlue Noteの演奏時間は短いです。時計を見たら丁度1時間です。で,当然アンコールの拍手が鳴り止まず,メンバーが再度ステージに。

アンコールはアーマード・ジャマルの 《 Poinciana 》。最後はメンバーが演奏をやめ,観客だけに「あ~,あ,あ,あ~」と合唱させておいて,そこにラヴァが美メロを乗せてくるといった仕掛けで,思わず鳥肌がたつようなエンディングでした。

でも,あれ,これ,知ってる。そう,上記の2005年のMontreal Jazz Festival でも同じことやってたぞ。それに演奏した曲,《 Algir Dalbughi 》, 《 Certi Angoli Segreti 》,《 Nature Boy 》,それにアンコールの《 Poinciana 》と,全部 Montreal でも演奏していたしね。ということで,今回,ライブに行けなかった方はこのDVDを観て下さい。ほとんと今回のライブと同じですわ。

ついでに言うと,このDVDには,ジャケットだけ見ていると分かりませんが,あのフランチェスコ・カフィーゾが参加しているんですよ。知ってました? 現在,カフィーゾの動く姿が見れるのはこのDVDしかないのでは。

          
Enrico Rava   『 The Enrico Rava Quartet Live In Montreal 』 2005
Enrico Rava  (tp)
GIanluca Petrella  (tb)
Francesco Cafiso  (as)
Andrea Pozza  (p)
Enzo Pietropaolo  (b)
Fabrizio Sferra  (ds)
ピエトロパオロ=スフェラ のリズム隊が観られるのも嬉しいですね。
個人的には昨年のベストDVDです。

          
Tommaso=Rava Quintet  『 La Dolce Vita 』 2000 Cam Jazz CAM 497541-2
Enrico Rava  (tp)
Stefano Bollani  (p)
Giovanni Tommaso  (b)
Roberto Gatto  (ds)
あまり大きな声では言えないけど,本当は,このカルテットでの演奏が一番聴きたい。トマソ大好きなもので。