メイ英首相は、欧州連合(EU)離脱の恩恵を各省庁がどうすれば得られるかについて、20カ国・地域(G20)首脳会議前に詳細な行動計画を準備するよう閣僚らに指示した。
英各紙が報じた。
28日付の英日曜紙サンデー・テレグラフが情報源を明らかにせずに伝えたところでは、メイ首相はロンドン郊外のチェッカーズ(英首相別荘)で8月31日に閣議を開催する予定。
政策担当者らは閣議のために行動計画を準備する必要がある。
一方、サンデー・タイムズ紙によれば、一部の閣僚が推すEU単一市場からの離脱計画にハモンド財務相が抵抗しているという。
メイ首相は31日の閣議で、9月4、5日に中国・杭州で開かれるG20首脳会議への出発前に英国のEU離脱の成功に寄与するプランを見いだすことが、最優先課題だと主張する見通し。
メイ内閣を構成する閣僚のうち4分の3余りが、6月23日の国民投票前にEU残留支持を呼び掛けるキャンペーンに加わった。
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リスボン条約50条の発動は、来年3月のEUサミットから開始される予定ですが、離脱申請を伸ばせるだけ伸ばしたということでしょうか。
イギリス政府内でも意見の対立があるようです。
EU単一5億人市場からの離脱に反対しているハモンド財務省もいれば、移民規制を優先してEU単一市場からの離脱が必要と考えているデービスEU離脱担当相のような方もいる。
ただイギリス政府の最優先事項は、あくまでEU単一市場へのアクセス維持ですから、移民規制の導入はできそうにありません。
EUの5億人市場へのアクセスを優先するならば、イギリスは当然、EU側の条件をのまなければならず、それは人の移動の自由を認め、移民規制はできなくなります。
移民の規制はしたい、移民を自国に入れたくないと言いつつ、しかしてEU5億人市場へのアクセスは維持したいでは、話にならないでしょう。
そうそう甘い態度はEU側としても取れないはずです。
結局、EU側はノルウェー型の離脱で決着つけたいように現時点では見えます。
このノルウェー型の離脱は、別名植民地タイプと言われ、EUはこのタイプの離脱交渉に臨もうとしているように見えます。
EUの政策決定にイギリスは一切関与できず、しかして予算の拠出だけは実行しなければならない。
見返りにEUの5億人市場にはアクセスできる。
恐らくパスポートも剥奪するのではないでしょうか。
離脱しても大したことはないという前例をEU側としても作るわけにはいかないでしょうから、特別扱いはできず、厳しい態度で臨んでくると思います。
ドイツ与党議員:英国、EU市場アクセス望むなら予算拠出が必要 ブルームバーグ
メルケル首相率いるドイツ与党キリスト教民主同盟(CDU)に所属するユルゲン・ハーツ議員は、英国が欧州連合(EU)の単一市場にアクセスを望む場合、英国はEU予算への拠出を続けなければならないだろうと述べた。
EU離脱選択で低コストの解決策を見込む英国に冷や水を浴びせた格好だ。
議会外交政策委員会の報道担当を務めるハーツ議員は、EU市場へのアクセスを確保する代わり、非加盟国でありながらEU予算に拠出するノルウェーの例に言及。
「EUの単一市場体制から利益を得たいなら、体制の運用コストに寄与してもらう必要がある」と述べ、「英国では国民投票前に、誰もこの事実を話していなかった」と続けた。
どうやらノルウェー型の離脱が可能性としては高そうです。