執事・メイド・従僕・使用人について。あらゆる作品が対象。出版元の詳細は記事中の作品名をクリック。amazonに行けます。
執事たちの足音
帝国ホテルにクリーニングを頼んでみよう! (番外編)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/cd/18f6f47eb3bc4eb0635ebbaebccbf05b.jpg)
さて、帝国ホテル・クリーニング・シリーズのミッション、無事に終了いたしました。
今回は「番外編」として、帝国ホテルでわたしが出会ったスタッフの方々の
「姿勢、お辞儀の美しさ」について語ろうと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/e0/d521b5058e0dfbf75897683f2b383cbf.png)
スタッフの方々の働く姿を眺めて感嘆したのは、どの方も「姿勢が美しい」こと。
「美しい姿勢は接客の基本なんじゃないの?」
そう仰る方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今まで利用したいろんなホテルやレストランなどを思い返すと、
「正しい姿勢」はあっても「見る人を清々しい気持ちにさせる姿勢」は、なかなかいなかったように思います。
「見る人を清々しい気持ちにさせる姿勢」は、肩の力が抜けていて、無理がない。
背筋がスッキリと伸びていて、同時に包まれるような余裕を感じさせる。
帝国ホテルは、わたしが見た限りどのスタッフも、全員、1人残らず姿勢が美しかった。
こう言ってはナンですが、「ホテルの顔」であるフロント係の方々の姿勢が美しいのは当然です。(フロント係の方、すみません)
わたしがびっくりしたのは、あまり直接お客さまと接する機会のない、
「裏方のスタッフ」までも姿勢が美しかったこと。
夕方、1時間ばかり外出して部屋に戻ってきた時のこと。
中に入ると、客室清掃係の若い娘さんが室内を「夜用」に整えているところに出くわした。
(ちなみに制服は明るいグレーのワンピースに白い小さなエプロン。私がむかし新宿の某大型ビジネスホテルで客室清掃のアルバイトをしていた時の制服は、肌色の折り紙で作ったようなそっけないモノでしたが、帝国ホテルのはなんと愛らしい)
ライトをやや落として、すっかり様変わりした室内。
作業はほぼ終えているようで、最後の仕上げというように、小柄な彼女は腕を伸ばして厚地のカーテンを引いていました。
長い黒髪をシンプルに後ろ一つにひっつめた彼女の頭が、背後の私の存在に気づいてくるりと振り返った。作業の手をいったん止め、
「失礼いたします」
両手を臍下あたりに重ねて、お辞儀をしました。
ふんわりと。
「ああ、ええ、どうぞ(続けてください)」
あまりのお辞儀の美しさに心を奪われて、シドロモドロになるわたし。
近年のコンビニ・アルバイトの若い店員さんの「ありあとぉーございまーす」的なぞんざいな接客に慣らされていたので、目が洗われる新鮮さと驚きでした。
次は、クリーニングの洗濯物を渡した時のこと。
チャイムが鳴ってドアをあけると、そこに50代くらいの女性が立っていました。
わたしはいま「立っていた」と単純に言いましたが、その立ち姿が非常にキレイなのです。スッと伸びている。
クリーニングのオバちゃん、じゃなくておば様、と呼びたくなるような。
制服姿そのものは、裏方らしい、やや着古した感のある水色の作業着みたいなものでしたが、その立ち姿の美しさによって、かえって清潔感が増して見える。
それに何といっても、若々しく見えます。
クリーニングのおば様の実際の年齢は推測するしかありませんが、姿勢の良さだけで、マイナス5~7歳に見えます。化粧より、姿勢ですよ、皆さん!
「確かに、承りました」
洗濯物を受取って、お辞儀をするおば様。またもや、
ふんわりと。
ドアを閉めた後、ドアに寄りかかって溜息を付きましたよ。
帝国ホテルって、やっぱりスゴイ。
こんな本当の裏方スタッフまで、美しいお辞儀で接客が出来るなんて――。
サービスって、施設や待遇が良いとか、そんなことじゃないんだなぁとしみじみ感じました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/e0/d521b5058e0dfbf75897683f2b383cbf.png)
右側に注目。
エレベーター内の鏡に生けてあった、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/17/47ec2c095765c553e8d09af8bb496a3e.jpg)
このちいさな一輪挿しの水を換えている裏方さんに、愛をこめて、拍手。
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
« 帝国ホテルに... | イギリスの奉... » |
従業員の方の美しい姿勢に感動された模様ですね。
どんな人がどのように働くかで彼らの主人(ホテル)の顔がわかりますものね。
一流なれば働く者も一流に、主人の顔に泥を塗るような真似は一切許されません。
そして存在をアピールすることなく美しく・・・
もはや芸術の域に達しているのやもしれませんね☆
「美しい姿勢」で思ったのですが、「美しいお辞儀」は、女性スタッフは男性スタッフよりも、けっこうタイヘンなのではないか、と。
女性のホテル従業員の方は、制服スーツだと、靴はたいていパンプスを合わせてますよね?
歩きやすいようにヒール高3センチくらいだと思いますけど、この3センチが、意外にツライ(←家の鏡の前で、自分でやってみた)
「またのお越しを…」
両足をぴったり揃えて、腰から上体を前に倒して、深々と頭を下げてみる。
うっ、くっ…! 腹筋と背筋がっ!
私はいま介護職に就いてますが、
「両足揃えて上体を倒す」は、絶対にやってはイケない姿勢なのです(腰を痛める)
それを日に何回も、しかもつま先立ちで繰り返すワケですから、美しい姿勢とは大変です。
伊織さんも執事になられたら、良い靴を選ばないといけませんね。
あ、ひょっとしたら「全国の執事御用達」の靴メーカーとかあるのかもしれませんな。
帝国ホテルのクリーニングはすごい、というウワサを聞いて検索した結果、このサイトを拝見することができました。
特にシミについてはまったく驚きです。
ボタンの件は残念でしたが(笑)
Wikipediaも現在は、
・クリーニングは宿泊者のみ
・ボタンはクリーニングで損傷等の可能性があれば
という表記になっていました。
もしかしたらこちらのサイトのおかげかもしれませんね!
とても楽しく読ませていただきました。
ありがとうございました!