おフランスのメイド・「ゴスフォード・パーク」その2

前回の映画「ゴスフォード・パーク」につづいて、
登場するメイドについて、すこし。

ゴスフォード・パークを訪れたトレンサム伯爵夫人の侍女(lady’s maid)
メアリーは、屋敷のメイド頭のエルシーと同室となります。
身支度を終えたメアリーの姿を見て、エルシーが訊きます。
「エプロンを着けるの?」
メアリーは、こう答えます。
「奥様が “以前使ってたフランス人メイドのように” と」

19世紀イギリスの上流社会では、侍女はフランス人が良いとされていました。
侍女はその家のレディに仕え、
身の回りの世話や外出への付き添いをするのが仕事ですので、
フランス人特有の明るさ、華やかさが望まれたのでしょう。
また侍女の特性として、
「19世紀のロンドンはどんな匂いがしたのだろう」
(ダニエル・プール著 片岡真訳 青土社)にはこうあります。
イギリス人の娘はあまり好ましくないとされていたが、いずれにしても侍女というのは、若くて、一日中あくせくと手作業できつい仕事をしている家女中などよりも器量がよいということになっていた。
「ゴスフォード・パーク」の20世紀の時代に、フランス人の侍女が
依然としてモテはやされていたかは、解かりません。
しかし、メアリーの仕えるトレンサム伯爵夫人はマギー・スミスが演じているので、(「ハリー・ポッター…」のホグワーツ副校長・マクゴナガル先生役の人ですね)
トレンサム伯爵夫人の娘時代は、バリバリの19世紀ということになります。
きっと「侍女はフランス人じゃなくちゃ…」という意識があるのでしょう。

対面を保つための資金繰りに窮しているトレンサム伯爵夫人がメアリーを使っているのは、“若いメイドを使うと安上がり”だからです。
(そもそもゴスフォード・パークを訪れたのも、屋敷の当主にお金の無心をするのが目的)

“以前使ってたフランス人メイドのように”
せめて格好だけでも。
トレンサム伯爵夫人の苦肉の策が感じ取れます。
(メアリー自身は、フランス語とはかけ離れた発音で英語を話します。
あれはどこの訛りなのか? スコットランド?)

にほんブログ村 ポータルブログへ ブログランキング ブログ村に登録中!
この記事が面白い・興味深いと思った方は、ここをクリックしてください!
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ハウス・キー... 出ましたジー... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。