執事・メイド・従僕・使用人について。あらゆる作品が対象。出版元の詳細は記事中の作品名をクリック。amazonに行けます。
執事たちの足音
使用人の手
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/bb/5212b2b1450fb2748bed93281cfe318c.jpg)
本日の召使 : グリート(メイド) 映画「真珠の耳飾りの少女」より
メイド好きとしての見所は、何といっても「アカギレてゆく手」だろう。
最初のシーンで、グリートの手のアップが映される。
自宅の台所で野菜をきざむ、それはそれは真っ白な手。
まさに「陶器のような白い肌」。
指の形も華奢で、ほっそりと品がある。
その手が、フェルメール家に奉公に出たあと、次第に赤くひび割れてゆく。
煮えたぎる大釜で負ったヤケド。
床磨きの冷たい水。素手で掴むタワシ。
何枚もの汚れたシーツを、洗濯板でひたすらこする…。
「貴婦人の傷ひとつない白い手は、宝石を飾るためにある」
そんな時代の、家事労働を一手に引き受けていた使用人の手。
こんなふうに痛々しかったんだろうなぁ。
画面の中に飛び込んで、手を取ってクリームを塗ってやりたくなる。
当時の使用人の手が、実際にどのようなものだったか?
「こんな手だった」記録は残されているのか?
支配階級にとって、使用人自体が「気にもとめない存在」なのだから、
レディが「あのメイドの手といったら、あーみっともない」なんて
わざわざ日記や手紙に書き残すはずもなく、
字も書けない使用人たちは、言わずもがなである。
でも、きっとこんなふうな手だったに違いない。
グリートの手と、主人フェルメールの手が触れ合うシーンが、
それを物語っている。
絵具で汚れた主人の手は、労働でアカギレたメイドの手と、じつに似通っている。
画家を職業とする以上は、
絵画の依頼主であるパトロン(=主人)に気に入られなければならない。
でないと注文が断たれ、路頭に迷うハメになる。
グリートもフェルメールも、社会的地位は違っても、
「主人に従わなければ生活してゆけない労働者」であるのは同じだ。
立場は違えど、同じ「仕える身である」ふたり。
ふたりの手の類似は、<使用人の手>の象徴なのだ。
ストーリーとしては途中、メイドもの定番?の「お嬢様のイジメ」もあったりして、
そのイジメられっぷりが、メイド好きにはたまらないでしょう。…たぶん。
関連リンク
絵画「青いターバンの娘」(「真珠の首飾りの少女」)(CGFA)
どんな絵だったっけ…? という方はここで再確認。
映画「真珠の首飾りの少女」紹介(GAGAコミニュケーションズ)
くわしい映画紹介。当時の社会背景の解説もあり。画像がきれい!
―あらすじ― 17世紀オランダ、バロック時代。 少女グリートは貧しさから画家フェルメールの家に奉公に出る。 天性の色彩感覚が主人フェルメールの目に止まり、やがて主人の仕事を手伝うことに。 主従の関係を保ちながら、しだいに心を通わせてゆくふたり。 そしてグリートは絵画「ターバンの娘」(「真珠の耳飾りの少女)のモデルとなる― |
メイド好きとしての見所は、何といっても「アカギレてゆく手」だろう。
最初のシーンで、グリートの手のアップが映される。
自宅の台所で野菜をきざむ、それはそれは真っ白な手。
まさに「陶器のような白い肌」。
指の形も華奢で、ほっそりと品がある。
その手が、フェルメール家に奉公に出たあと、次第に赤くひび割れてゆく。
煮えたぎる大釜で負ったヤケド。
床磨きの冷たい水。素手で掴むタワシ。
何枚もの汚れたシーツを、洗濯板でひたすらこする…。
「貴婦人の傷ひとつない白い手は、宝石を飾るためにある」
そんな時代の、家事労働を一手に引き受けていた使用人の手。
こんなふうに痛々しかったんだろうなぁ。
画面の中に飛び込んで、手を取ってクリームを塗ってやりたくなる。
当時の使用人の手が、実際にどのようなものだったか?
「こんな手だった」記録は残されているのか?
支配階級にとって、使用人自体が「気にもとめない存在」なのだから、
レディが「あのメイドの手といったら、あーみっともない」なんて
わざわざ日記や手紙に書き残すはずもなく、
字も書けない使用人たちは、言わずもがなである。
でも、きっとこんなふうな手だったに違いない。
グリートの手と、主人フェルメールの手が触れ合うシーンが、
それを物語っている。
絵具で汚れた主人の手は、労働でアカギレたメイドの手と、じつに似通っている。
画家を職業とする以上は、
絵画の依頼主であるパトロン(=主人)に気に入られなければならない。
でないと注文が断たれ、路頭に迷うハメになる。
グリートもフェルメールも、社会的地位は違っても、
「主人に従わなければ生活してゆけない労働者」であるのは同じだ。
立場は違えど、同じ「仕える身である」ふたり。
ふたりの手の類似は、<使用人の手>の象徴なのだ。
ストーリーとしては途中、メイドもの定番?の「お嬢様のイジメ」もあったりして、
そのイジメられっぷりが、メイド好きにはたまらないでしょう。…たぶん。
関連リンク
絵画「青いターバンの娘」(「真珠の首飾りの少女」)(CGFA)
どんな絵だったっけ…? という方はここで再確認。
映画「真珠の首飾りの少女」紹介(GAGAコミニュケーションズ)
くわしい映画紹介。当時の社会背景の解説もあり。画像がきれい!
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