なんとなくはじめました(つれづれなるままに)

日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくります。

あるバーでのおじさんのつぶやき

2012年02月09日 19時37分38秒 | なんとなくのつぶやき
携帯、メール、パソコン、ミクシィ、フェイスブックにツイッターか・・・。

便利な世の中になったもんだなぁ・・・。

ねえ、そこの携帯いじっているお兄さん。

一人?何飲んでるの?ほお、おしゃれなもん飲んでんだねえ・・・。


おじさんの話を聞いてくれるかい・・・。

いやあ、今の若い人がうらやましくてね。それだよ、その携帯。そんなのが30年前からありゃあね・・・。


そりゃあ、おじさんの頃も合コンはあったさ。でもね、電話番号教えてもらうだろ。その時点じゃ、幸せにはまだほど遠いんだよ。

それ、その子の自宅の電話番号だもん。

で、その頃って、留守電もあんまり普及していなかったんじゃないかなあ。

だからその女の子に電話するのは夜。それも7時とか、8時とか。確実に帰ってそうな時間だよ。電話しても失礼に当たらない時間。

で、ドキドキしながら電話するだろ。そうするとねえ、もう十中八九、お父さんが出るの。

で、そこでだね、

「私はこれこれこういう素性の○○と申します。夜分恐れ入りますが、○○さんはご在宅でしょうか?」

知りうる限りの敬語を駆使してね、お父さんに「いかに自分はなんの下心もなく、あなたのお嬢さんとお話をしたいと思っているか」を伝えるわけだ。信じられる?いきなりその女の子とお話できないんだよ。

でね、ここでまた十中八九、お父さんは不機嫌そうに「うちの○○は入浴中です」って言うんだ。で、ガチャン、プー、プー、プー・・・。取り付く島がないってやつだ。

で、そこであきらめずにまた電話するわけだ。そして、ようやくお父さんの関門を突破するとしよう・・・。そこからがまた大変なんだ。

その女の子と話ができるところまでは来たが、今度はその電話の近くでお父さんがダンボのような耳して聞き耳をたてているわけだ。

えっ、そんなもんないない!コードレスフォンなんかその時代ないんだから・・・。

で、女の子も声が小さくなるんだよ。で、聞き取りにくいから会話もはずまなくなってくるんだ。

「映画でもどう?」

「ごめんなさい、その日は友だちと・・・」

「じゃあ、飲みに行こうよ」

「うーん・・・今週は忙しいの、ごめんね」

わかるか!この苦労が!!

でだ!やっとデートできるとするわな!

今度は携帯がないんだぞ!!!

例えばだ、女の子の身に何かが起こったとする。不慮の事故とか、急に用事ができたとか、電車が遅れたとか、電車に遅れたとか・・・。

なんだかわからない理由で、約束の時間に、こ・な・い・わ・け・だ!!!

なのに、それを知る手段もないわけだ!!!

で、こっちは平静をよそおいながら、持ってきていた小説の文庫本をただただ読みながら待っているわけだ!!!

そんな苦労を知らないだろ、お前らは!!!


あっ、どこへ行く?トイレだあ?ちくしょう、早く戻って来いよ!


ねえ、マスター!マスター!!

近頃の若いのは「本を読まなくなった」とか「言葉遣いを知らない」とか言われるけど、俺の話聞いてたらなんでかって、なんとなくわからないか?


※この話はフィクションです。

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