☆GREEN HEART☆

漫画と本と国府津があれば生きていけるかもしれない「ことは」のブログ。
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魚住直子『超・ハーモニー』

2007-08-07 | ■あ行の作家
何事もなかったかのように、久々なのにいきなり本の感想!

魚住直子さんの『超・ハーモニー』とは
小学生の頃は頭がよいと言われ、有名私立中学に受験した響。見事合格し、そのまま順風満帆な学生生活が送れるかと思いきや、レベルが高すぎて、授業についていくのがやっとという現実。両親は顔を見れば「うまくやっているか」と勉強のことばかり。友人も勉強ばっかりで回りに無関心なやつばかり。話しかけてくるやつといえば、なんだかうっとおしい太だけだ。
そんな退屈な生活に、突如現れた、一人の兄。数年前に家出をした兄が、戻ってきた。しかし記憶の中にある兄ではなくなっていた。彼は「女」になっていたーーー


『非・バランス』が読みやすかったので、次の作品を。
勉強うまくいかねー!両親うるせー!友達うっとおしー!
え?兄ちゃん?帰ってきたの?
あれから一度もあってないけど・・・
え?!女?!兄ちゃんがスカートはいて化粧してる?!
みたいな話だったりそうでもなかったり。
たぶん「そうでもなかったり」の方が多いと思います。

子どもが抱えているであろう(とオトナが考える)悩み、が根底を流れていると思います。
『非・バランス』も同様であったと思うけれど、非~ではサラさん、本書では兄の存在が、あまりその子どもが悩みを抱えてるんだぞ、っというのをしつこくなくする役割を果たしていると思います。
あまりはっきりと「子どもの悩みを描いてます!」という本はちょっと苦手です。でも、例えば梨木香歩さんの『裏庭』のようにそこへ非現実的な存在が加わることで、それらが軽く?なっているので、がちがちした感じがしないと思います。

題名にあるように、「音」も重要な役割を果たしているようです。
兄ちゃんの音を聴いてみたい。音を拾いに散歩に出る。
キレイな音だけを拾うのではなく、がちゃがちゃな不協和音も拾って、曲をつくる。

にいにゃんの気持ちを全部、聴かなくちゃいけないと思った(本書p169l13)

ネタバレと個人的ななにか
ネタバレ注意です!

太に金を借りていく場面で、最後に全部使わずに渡したのがびっくりでした。
きっとお金を使っちゃって、ラストそれがバレルか太に脅されて?、わー!
ってことになると思いました。全然違いました。いつものことです(苦い笑い)
しかし、響は結構いい子?かと思ってましたが、あれは怖いです。あれやられたら、傷つきそうです。

オトナから見た子ども像というか、オトナが「こうであるべきである(はずである、あってほしい)」子ども像というのがあって、それはあさのさんの『バッテリー』でも感じたけれど、魚住さんの本もそういうのが強いかもしれない。でも私は魚住さんの子ども像が好きだ。(本書の内容というより、同著者の『未・フレンズ』文庫版あとがきに共感できたから、なのかもしれないが)あとは、やっぱり非現実的・・と言っていいかわからないけど、サラさんとか兄ちゃんていうのが、入り込むことで、それが軽く・・なってるというか・・そんな感じです。
太と仲直り?みたいのをして、兄ちゃんの音楽をいいねってあたりからの展開は、・・ハッピーエンド?へ向かいすぎな気がしたけど、両親が最後来なかったのでそれはよかったと思いました。
女になった兄ちゃんは、きっと家を出る前より、かっこいいな、と思いました。


ぱらぱらっと読みやすい本でした。『未・フレンズ』も読書中。

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