☆GREEN HEART☆

漫画と本と国府津があれば生きていけるかもしれない「ことは」のブログ。
はじめましての方は「自己紹介」をどうぞ!

恩田陸『まひるの月を追いかけて』

2007-08-14 | 恩田陸
積本消化期間開始

恩田陸さんの『まひるの月を追いかけて』とは
渡部研吾が姿を消した。
研吾の異母兄弟である静は、彼の恋人優佳利と共に奈良で消息を絶った研吾を探すたびに出た。
旅の途中で明らかになっていく、研吾周辺の女たちと彼の関係。研吾の行方、そして彼の秘密の決意。研吾の行く先とは?

一言でも余計なことを書くと、ネタバレ・・?になるので、ここは説明少しで。
おもしろかったけれど、私の中の恩田陸素敵本ランキングでは、それほど上位ではありません。ほかの恩田作品と比べ、印象が薄い気がします。

「まひるの月」
すべて読み終わってから、題名についてぼんやりと考える。
最後まで読む前は、すごく素敵でキレイな題だなあ、と。
まひるのつき。
ぼんやりと見えるとき。全く見えないとき。
見えそうで見えない。とらえられそうでとらえられない。
でも見えないわけではなく、そこに確かにある。
うーん。
まひるの月、は恩田作品では、蒔生みたいな人かなあなんて思います。


自分の考えていること、自分が感じていることは、
  大部分が自分の中で形にはなっていない  (【】内本書p379l5より引用)

恩田さんの本はミステリーとかSFとか書かれていることがあるけれど、
これはミステリーではなくて、結局なんだったのか、と聞かれれば、。
うーん。一人の男とピー(伏字)人の女の奇妙な関係の話・・
ぎすぎすした男の取り合いではなく、さらっとした(?)男に惹かれた、そして男が惹かれた女の話。
と、
奈良を旅するという中で、話が進むので、その寺やら街の描写があり旅行書・・・としてみても楽しいと思います。

ネタバレ注意

最後、このまま終わってしまうのかと思いました。
出家、そして妙子の死、衝撃的だけど、これで終わりだと話の締めくくりとしては弱い・・
と思ったら、そういえば、彼の好きな人、がまだ謎のまま・・
うー

物語関係なく、冷静に?考えて。
妙子の手紙に書いてあった「優佳利と妙子であの人の話をするときに、静の名前を出していた」というあたり。はっきりきっぱり怖いと思いました。
一番怖かったかもしれない。背筋がぐわーっとなりました。
会ったこともない一度くらいしか会ったことがない、兄の彼女と友人。
兄に好意を寄せる、誰よりも彼のそばに居る女二人、永遠に彼の心は得られない。
その彼が思いを寄せる女。思い違いならまだいいけれど、それが別の人間、彼女の母であると知りながら、彼女静の名を出し、それを語る。
こわいー



ネクスト積本→綾辻さんの時計館

恩田陸『Q&A』を読んだ。

2007-06-12 | 恩田陸
Q&Aだけかと言われれば、そうでもないじゃん!みたいな、

恩田陸さんの『Q&A』とは
(以下【】内「BOOK」データベースより引用)
2002年2月11日午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず―。質問と答え(Q&A)だけで物語が進行する、リアルでシリアスなドラマ。謎が謎を呼ぶ“恩田陸ワールド”の真骨頂   

最初から最後まで、「会話」しかありません。

アイス、見つかったんでしょう。
「うん。一昨日冷凍庫除いたら、ぽつん、って」
どこからでてきたのかしら?だってずっとないって言ってたじゃない。
「うーん。どこから、って言われても・・冷凍庫の中に入ってて気づかなかっただけじゃないかなあ」
じゃあ、アイスはずっと冷凍庫の中に?
「そうとしか考えられないもの」

みたいな感じです。なんだこれは。私文才ないので勘弁してくださいますよう。
よく本にある「その時、後ろから風がひゅー、と通る音がした」みたいな(だから文才な・以下略)文は一文もないという。

怖さの種類は、『月の裏側』とかではないかと。
恩田さんの本って、ミステリーの怖さというより、ホラーというか・
人の表情とか、こう背中からだんだんじわじわ襲ってくるこの恐怖!ぎゃー
既読恩田本の中では、私『月の裏側』の(月の裏側ネタバレ反転)「同じ動きをしたってやつとか、不意の出来事があったとき(コンビニのところとか)に、一斉に同じ顔を同じように同じ方向に向けたってやつ」が最も怖いんです。
『Q&A』の前半三人分くらいはこの怖さが・・

と、楽しく読みましたが、
脚本家?あたりからちょっと間延びしましたような感じも!
「」と「」なしの文、途中で質問者と答える人が逆転したあたりからうー、と。
後半は都市伝説の話みたいな感じに・・!
なので前半のが好きです。ラストは『劫尽童女』みたいな印象を(内容関係なし)
ラスト好きですが、話の締めくくりは、ネタバレ反転実験説」もよかったなあ
と思います・・!個人的にあれ怖かったので・・!

似てる(形式的)と言われる『ユージニア』『Q&A』
初めての恩田本には、『ユージニア』をおススメします。
でも最初の50Pくらいだけ読んでみたい!っなら『Q&A』を!

恩田陸「イサオ・オサリヴァンを捜して」

2007-03-28 | 恩田陸
すでに感想を書いたような気がしてならない・・。

恩田陸『図書室の海』 の中で読まずに残していた
「図書室の海」「イサオ・オサリヴァンを捜して」を読みました。

「図書室の海」・・・『六番目のサヨコ』番外編。
夏の話、ということで期待大。
夏がどうのというよりも、あの下級生コンビの将来が恐ろしいな、と思いました。
くえないやつら。
あの二人が主人公になって、恵弥や妹のように心理戦を繰り広げたら楽しいだろうなと思いました。(でも怖い)

「イサオ・オサリヴァンを捜して」・・・美しい青年のお話。
なにゆえそれほど、イサオ・オサリヴァンが人気なのかずっと気になっていた。
勝手に、同著者の『ライオンハート』のような話だと思っていた。
イサオは、
性格表は「寛司」
性格裏が「蒔生」
見た目が「光浩」   みたいな人だと思った。
この話好きです。続編を書くらしいと聞きましたが、どうなのでしょう。


「イサオはにこにこしながら、そう話を合わせていた」(本書P76L10より引用)


恩田さんの本を読むと
 憧憬と郷愁
を感じる。それがいつも不思議で、いつもなぜか怖い。でもそれが楽しい。

ところで本の短編二話分だけの感想記事って一体・・

恩田陸『六番目の小夜子』再び読む。

2007-02-15 | 恩田陸
わーいデビュー作~初読・み・・・あれ・・もしや・・

恩田陸『六番目の小夜子』
 「サヨコ」
地方進学校に伝わる、奇妙なゲーム。
前サヨコから、内密に指名される次のサヨコ。
サヨコは自分がサヨコであると気づかれてはいけない。
サヨコはルールに従い、内密にそして確実に任務を遂行する。
三年に一度、やってくるその「サヨコ出現の年」
今年は「六番目のサヨコ」が現れる年であった。
そしてその年「津村沙世子」という名の美しく謎めいた少女が転校してきた。
――サヨコ。
同じ名を持つ彼女がサヨコ出現の年に現れたのは偶然か、それとも――

そのあの・・もごもご・・
あんなに読んでないって言い張っていたのですが・・もごもご・・
明らかに再読でした・・もごもご・・いえでもかなり前でしたので・・!

伝説の一種ホラーめいた物語+青春+学校論・・
久しく若い子たちの青春物語を読んでいなかったので、
恋とか好きとか告白とかそういった文を読んでいて、体がもごもごしました(笑)
いいなあ・・可愛いですよね・・

やはり『球形の季節』と似た印象を受けました。あとP70で強烈なデジャブを。
ビアンカ?の件です。もしかして球形~かな?と思うけれど、思い出せない。
「暗い、生徒の行きつけの喫茶店。店にレコード、借りる、文字」
こんな単語が頭にぽわんと浮かんできて・・はて?

代々受け継がれていく「サヨコ」
密やかにその存在と伝説が学校を包み込むが
まるで禁忌であるかのように、明言するのを避けようとする。
誰がはじめ、なぜ今もそれが受け継がれるのか。
どこまでいつまで続くのか。
そして今年、六番目のサヨコの年がやってきた。


「当事者になるのは性に合わない。」    (本書P98L16-17より引用)


秋・・と言いたいところですが、実は唐沢由紀夫が好きです。
ああゆう、あふぉ・・愛情を体全体で表現する子が可愛いなあと思います。
何せ「光浩よりも寛司」「蒔生よりも彰彦」派、ですので!

ちなみにドラマもしっかり見てました!
ということで以下、原作&ドラマのネタバレ書きます。
反転。


まずドラマネタバレ。
何せ○年前に見たきりです。記憶が曖昧で違うことを書いてたらすみません;
もちろん原作至上主義!ですが、
私は秋が玲の妨害をしていた→それが発覚という流れがとても好きでした。
あと秋と玲の関係・・幼馴染?それもすごく好きでした。
津村沙世子はちょっとまじ怖かったです(笑)
でも私は彼女、役にとてもあっていたと思います!

あと原作の話ですが、この話の展開で1番驚くのは、自分のクラスということです。
「学校のどこかに」サヨコがいる。「自分のクラスに」サヨコがいる。
これって大きな違いがあるんじゃないかなあと思います。
なぜ学校のどこかではなく、自分のクラスにサヨコがいる。
という設定なのか、とても気になります。 


「ドラマ愛の詩」シリーズがとても好きです。
六番目、双子探偵、ズッコケ・・と夢のような番組!幻のペンフレンドとかも・・
あまり言うと、そんな歳になってまで観てたの?!と言われそうだからやめておこう。。

恩田陸『クレオパトラの夢』を読了

2007-01-20 | 恩田陸
への言及、大いに笑いました。

恩田陸さんの『クレオパトラの夢』とは
神原恵弥。
不倫相手を追って北海道に住み着いた、妹和見を連れ戻すという使命のもと、
北海道へ降り立った。
しかし、北海道訪問には、もう一つ重要な目的があった。
ークレオパトラー
妹和見、不倫相手、その妻、そして謎の人物たち。
クレオパトラを夢見て、今その名の下に、複数の人間が集まり、
事件は交錯するーー

恩田さんにしては珍しく、解決されている部類に入る本でした。
それほど謎が残っていない。
どちらかといえば、下世話な謎だけ残りましたが・・
三文ドラマ的な流れよいと思いますがどうなるでしょう。

北海道H市(そういえば、Y島もあったな~とか)を舞台に・・
ということで、物語も雪がしんしんと降り積もっていくような、
そんな緩やかだけど、確かに雪は積もっていく、という感じの流れの本でした。

謎の「クレオパトラ」。
ある人物は、クレオパトラに夢を見て、追い求め。
ある人物は、クレオパトラに取り付かれた人物を追い求め。
ある人物は、夢とともに姿を消す。

「クレオパトラ」が意外に陳腐・・(失礼)な気もしました。
少なくとも、私にとって、「夢」のクレオパトラとは言いがたいものでした。
地図との関連性はおもしろかったし、恵弥のラストの推理はすごくおもしろかったです。でも、やっぱり恩田さんなので、クレオパトラはきっと私が想像もできないようなものなんだろう、と思っていて。過剰に期待しすぎた感があったかなぁ~という感じはありました。でもやっぱり最後は「おお!」となりました!

終始、心理戦が繰り広げられ・・・
同著者『MAZE』の恵弥を知ってる方ならわかると思いますが、
恵弥に引き続き、妹和見、多田、慶子全員がもう策士というか・・
会話の中で騙す引っかける惑わす・・・・・etc...
一人くらい、素でボケな人がほしかった・・と思いました(笑)

「若槻慧」という名がとても美しくて好きでした。

恩田陸さんの『MAZE』はやっぱり怖かった。

2006-11-23 | 恩田陸
わかってたって怖い怖い怖い。  ネタバレなしで解説じゃなくて「雑感」です!

恩田陸さん『MAZE』とは
(「BOOK」データベースより)
【アジアの西の果て、白い荒野に立つ矩形の建物。いったん中に入ると、戻ってこない人間が数多くいると伝えられている。その「人間消失のルール」とは?謎を解き明かすためにやってきた4人の男たちは、果たして真相を掴むことができるのか?異国の迷宮を舞台に描かれる、幻想的な長編ミステリー。】

これは、上↑の解説で、十分魅力を感じた作品です。
実は読むのはまだ二度目。
一度目読んで怖すぎて大変なことになったから、再読はしないと誓ったのですが。
私の中の恩田作品怖いランキングでは、一位です!
そして一番引き込まれたのが早い作品。
『図書館の海』の「オデュッセイア」が好きな人は、イケル気がします(嘘付け)

ラストが・・ということで、好き嫌い分かれそうですが、私はとても好きです。。

設定も好きですが、キャラクターがまたいいのです。
どこかの(全部の・・)ねじが外れた、恵弥。
ありえない状況の中なのに、「日常」がある、。満。
恵弥も校長(麦海)とイメージ近いです。(あれだからってんじゃないっすよ)笑
変に明るく、人を巻き込み、自分仕事を遂行する。
悪いコトをしてるとわかっても、悪びれず。こっちも怒れないみたいな(笑)

ところで、私は割とテキトウにイメージを作りがちです。
ちゃんと読んでるのに建物に色をつけてたり、玄関を改造したり。
『三月は~』の一話目なんて得にひどいです。
しかし、MAZEの「有り得ぬ場所」の想像図が結構きちんとできています。
絵がかけない人なので、説明できないのですが・・・
しかしそれが本の内容とあってるのかはなはだ疑問です。
自分の持ってるイメージが映像化できて、それを他の人と比べられたらとても面白いのになぁといつも恩田さんの本を読むと思います。(閉ざされた空間を素敵に登場するので・・)


同著者『puzzle』も再読。
何度読んでも、内容を覚えていない自分の記憶力のなさが怖い。。。
死体の関係性をも忘れていたことには、自分でも唖然としました。


劫尽童女が無性に読みたいです。
どこかにうまっているらしく、探し出すのが困難です。
そろそろ本気で本棚がほしいです。サンタさん・・・キラキラ・・・

読了本は伊坂さんのギャング。ほー!

恩田陸さん『図書室の海』を読。

2006-09-21 | 恩田陸
積本理由
「予告編らしいので、全部読んでから読みたかった」。

恩田陸さん『図書室の海』とは
予告編的な、短編集。
ホラーが強い。
割と昔の作品も収録(1995年など)

この短編集に説明は不要と思うので、
単なる雑感のみを記します。あしからず。

う~む。
ネタバレは気にしませんが、読む順序は一応気にするのです!
ということで、本書の
「イサオ・オサリヴァンを捜して」「ピクニックの準備」「図書室の海」
未読となります。関連作品を読んでから読みたいと思います。
やー。イサオは評判いいので気になるんですが・・。


「図書室」というのは、実は自分にとってなじみのない場所でだったりします。
毎週必ず、市の図書館に家族で行くことが決まっていたので、
そこで借りてたので、学校の「図書室」は利用せず。
(借りないってことで、通ってはいました!)


以下雑感。


「春よ、こい」
おバカな私は、途中でこんがらがり~
ぐるぐるしながら読みました。

「茶色の小壜」
血は苦手なので、途中で読むのを断念しそうになりました。

「睡蓮」  
今作のみ、再読になります。
う~む。何度も思うけど、ホント黒いなぁ。

★「ある映画の記憶」
こわ~い。
なぜか、『不安な童話』を思い出す。

「国境の南」
『ユージニア』を思い出しました(単純)

本人も記していますが・・。
どこかで読んだことのあるような。そんな印象を受けました。
恩田さんだからこそ、もっとなんかひねってほしかった。
と偉そうなことを言います。

★「オデュッセイア」
読んだ瞬間はまりました。雰囲気が最高に好きです。
ココロコ。動く街。
しかし、読み進めていくと、非常に怖くなってきました。
何を暗喩しているのか、途中でやっと気がつき・・・

★「ノスタルジア」
「時間は連続してない」という彼の主張が、一番面白かった。
なるほど。
たとえば、子どもの頃からの、懐かしい記憶がある。
それと同じ場面と出逢う。
「なんだ、これ昔見たからこんな記憶があるんだ」
ではない。
「今見ている記憶が、子どものころの記憶に逆戻りしているんだ」
と。なんとまぁ、奥の深い。
私だったら、「あ~夢で見たんだな~」で終わるぞ。


恩田陸さんの本を読むとき、
「聡明な少女」が必ず思い浮かびます。
本が好きで、他人をどこか冷めた目で見、
それでいて、他人との距離をうまくつかみ、
決してそこからハズレナイ少女。

恩田陸さんの初読み本には、おススメしません。
何作か読んで恩田さんを好きになった人のみに読んでいただきたいような、
そんな本。はやくイサオ~が読みたいです。

next積本→『伯爵と妖精』也。いくぞ!

恩田陸さん『象と耳鳴り』読!

2006-07-27 | 恩田陸
再々読なり。短編集は説明しにくい。。単なる感想です。

恩田陸さん『象と耳鳴り』とは
★「象と耳鳴り」
ー象を見ると耳鳴りがするんですー
★「机上の論理」
ー犯罪にかかわった人間の部屋の写真が4枚、さて部屋の持ち主は?ー
★「ニューメキシコの夜」
ー九人の男女を殺した死刑囚から、毎年夏に届くはがきー
★「給水塔」
散歩をするのも大変です。ー「人食い給水塔」の真実ー

退職した裁判官・関根多佳雄が遭遇した、奇妙な12の事件。


久しぶりの恩田陸さん。でもないか。
この本は、自分の恩田作品読みで、3,4作目?くらい。
あまり内容覚えていなかった。

噂の関根家が登場。
主人公「関根多佳雄」は『六番目の小夜子』関根秋の父親。
兄の「春」・姉の「夏」も登場。
という、豪華ラインナップ。関根家ファン必見(笑)


短編「推理」小説という印象。
恩田さんの本はミステリーでも、
「あまり「推理」に重点はおいてない作品が多い」。
と勝手に思ってます(いい意味で)。
でもこれは「推理」を中心にしたものが多かったです。
私は同著者の『puzzle』がどうも異質な感じがするのですが、
それをいうと、これも結構異質な気がします。
だめ!とかいい!とかではなく、なんとなく、なんとなく。


勝手にベスト3
1、机上の論理
2、給水塔
3、待合室の冒険


「机上の論理」はかなり好き。
こういう日常っぽいものを、謎として推理していく話、好きです。
あと、偉そうに(?)しゃべる人って好きなのです。
なんといっても、関根兄VS姉。必見。
私は大好きな一冊ですが、はじめての恩田本にはおススメしません。
初めての短編集なら『光の帝国ー常野物語』の方がおススメです!

恩田陸さん『黒と茶の幻想』読破。

2006-05-03 | 恩田陸
発売日に読んだのですがすっかり忘れてました。ホントに感想。

恩田陸さん『黒と茶の幻想』とは
華麗にして「美しい謎」
――目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。
学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた「過去」の闇。旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか……?

すっかり忘れていたので、楽しめました。
やはり、大好きな一冊でした。
同作者『ネバーランド』の大人版だと勝手に思ってます。
結婚してお互い妻(夫)も子どももいる、昔の友人。
未知の世界。Y島。
美しい謎。
過去。

誰しも過去に何らかの「異物」を抱えている。
月日がたち、触れる必要も、非難される必要もない。
しかし、その過去から逃れることができない。
触ったら最後、すべてがあふれ出してしまう。
ーーそれゆえに過去は美しい。

全部で四章。一章ごとに登場人物の名がつけられ、
その人物が基本の語りになります。
何年も前、一回目に読んだときも考えたことで。
「なぜ、最終章が節子なんだろう」
今回もやはりその疑問が湧いてきました。
利枝子、彰彦、蒔生ときて、なぜ最後に、最も関係のなさそうな節子がラストを飾るのか。もり下がるのではないか。と。
しかし、やはり最後には「ラストは節子だよな」と納得してしまいました。

彰彦が好きです。(節子とのやりとりも好きです)
蒔生は「もー;」という感じ(笑)
節子は最終章でちょっぴり寒気がしました。実はこの人が一番なんでも「見えて」るんじゃないかと思い。
利江子は聡明な人だなと。

初めての恩田本にはお勧めしません。(とてもおもしろいですが)
この作品は、『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』などと関連のある作品ですが、とりあえず、『麦の海~』を読んでから読むことをお勧めします!

恩田陸さん『劫尽童女』読破。

2006-03-21 | 恩田陸
あまりおもしろくないという評判でしたが・・・。

恩田陸さん『劫尽童女』とは
「私はいつもひとりだ・・お父さんはなぜ私を創ったの・・」
「焼き尽くせ・・すべて・・」
父である、「伊勢崎博士」の手により、「遥」は超能力を与えられた。少女は組織から抜け出し逃亡生活を送る中で、やがて父を失う。
残ったのは自分と同じ特殊能力を持つ犬「アレキサンダー」。そして自分を守る不思議な孤児院。「血」とは無縁のその場で殺戮が繰り広げられる。
戦いの中でやがて見つけた「仲間」。
しかし、それが本当の戦い、そして悲劇の始まりだった・・・。

つまらないと聞いていたのですが・・。うーん。
嫌いではないです。が、あまり人気がないのは分かる気が・・。
結構安っぽい感じがしました。
もしくは、展開が速すぎたとか。
全部で5章あったけど、その1章ごとに別の独立した本が成立するんじゃないかな、って感じがしました。もっと長ければもっとおもしろかったかも?
でももちろん好きです。

「遥」を取り巻く運命がひどすぎる・・。最後の最後まで悲劇の繰り返し。遥が、何気なくいい子なのがさらに悲しさを倍増。孤児院のあたりで、みんなが巻き込まれることを心配したり・・。うぅ・・。
孤児院の「ユキオ」が妙に気にかかりました。またどこかで彼を登場させて欲しい・・・!他にも、脇キャラで気になる人の多い本でした。「神崎」も最後の最後まで気になるキャラでした。
あとがきと解説がおもしろかった・・!ちなみに解説は「外薗昌也」さん。
会話っぽくなってて、よかったです。
ところで、犬について全然詳しくないのですが「シェパード」が「コリー犬」に変装するのはどのくらいできることなのでしょうか・・?私のアレキサンダーのイメージは、大きくてふさふさしたゴールデンなんとかという犬だったのですが・・?そんなに大きくないのかな?

とりあえず、積本一冊クリア!
Next積本→北森鴻さん『孔雀狂想曲』