☆GREEN HEART☆

漫画と本と国府津があれば生きていけるかもしれない「ことは」のブログ。
はじめましての方は「自己紹介」をどうぞ!

川上弘美『あるようなないような』

2008-11-14 | 川上弘美
「すきだから、すき、でもだめなものもある、けど、そこもすき」、ってとこが好き。

『あるようなないような』
エッセイ集
2ページ~4ページくらいの短い話がたくさんです。
結構前に読みましたが川上弘美ブーム到来のため再読。
爆笑するような話ではないが、どこかおかしい。
エッセイもへんてこりんな感じで、流れる空気が好きです。
なんか、ライフスタイルブック?通販雑誌?とか雑貨屋さんが好きな人は、好きだと思う。
はことかべるめぞんとかままいくことか。


作者、市、主催の文章添削を受ける。
【何を言おうとしているのか不明】(【】内p109l16-l17より引用)
と添削されて返ってくる。
ぶっは、と笑いました。たぶん、私が川上弘美すきーじゃなかったら、今の作品読んでも、「いみふめー」と感想を言うと。そう思ったらなんだか笑いが。
川上弘美の文章は不明である。最大級のほめ言葉でっせ。


かばんが重い、芥川賞受賞、サボテン、頭蓋骨、さかいめ、かわりめ、生肉、玉ねぎ、誕生日、メールオセロ、

好きだなあと思うのです。

川上弘美『パレード』

2008-10-26 | 川上弘美
そうめんは細いから

川上弘美『パレード』
そうめんをゆでる
薬味を盛る
食べる
腹がくちくなる
じーじーと言う蝉の声を聞きながら横になる
眠る
手をつなぐ
昔の話をする

センセイと並んで
センセイと一緒に
昔、ともに過ごした日々を思い起こす。今ではもういないあの二人のことを。
『センセイの鞄』のもうひとつの物語。


川上弘美すきーの感想です。
だいぶ前に読みましたが、本日再読。昨日「ら行」がどうのとか、頭から離れなかったのは、どうやら久々に川上弘美ブームがきたようです。しかし残念。文庫化したのはすべて読んだので、再読しかない。
さて、
センセイとツキコさんの話だわーい!と読むと、半分くらいはセンセイの出てこない月子の昔の話なので、拍子抜けするかもしれません。好きです。
昔の話、私の好きなへんてこりんな川上弘美話かと思いきや、ちょっとの違和感。主人公が小さな女の子だからでしょうか?川上弘美=成人女性というイメージ。
そうめん食べたいです。くるりんとまいて。
『センセイの鞄』でもたくさん美味しそうな食べ物がありました。ほとんどが酒、酒のツマミだったような。あとキノコ。『パレード』はたくさんは食べ物でてこないけど、やっぱり美味しそう。だって私そうめんあまり好きでないのに。あんなに美味しそうな食べ物にみえるなんて。あんなに美しい食べ物にみえるなんて。

『パレード』川上弘美
    絵 吉富貴子

川上弘美『古道具 中野商店』

2008-09-18 | 川上弘美
これで最後、

川上弘美『古道具 中野商店』
古道具屋でアルバイトするヒトミ
だめ男店主中野さん
同じくアルバイトタケオ
麺類作るよマサヨさん
古道具に囲まれながら、時々来る客を相手にし。
店員たちの間に流れる微妙な関係。
愛情友情恋情道具と人の間に流れる様々な情のかたち。


結構前に読み終わって、読み返しながら感想書こうとして、
あれ?あんまり印象に残ってません。
やはり私は『龍宮』とかのが、好きみたいです。



【死ぬ兆候はなかった。でも兆候で死ぬものでもないだろう、人間は。】
                      (【】内本書P20212Lより引用)


中野さん、ヒトミ、タケオ、マサヨさん。

中野さんのいい加減っぷり、タケオの「っす」しゃべり、マサヨさんのきりっ具合と男関係、そして古道具。持っていたと思ったら、いつの間にかどこかへ行ってしまった、古道具。つかんだとおもったら、すぐにわからなくなってしまう古道具屋の面々。
これで、未読川上本文庫はなくなってしまいました。たぶん。一人川上弘美ブームが来たらどうしよう…クウネルを読むしかない!

川上弘美『いとしい』

2008-05-28 | 川上弘美
これで未読川上本文庫は、古道具~のみになりました。ああさびしい・・

川上弘美『いとしい』
チダさんミドリ子紅郎オトヒコさん鈴本鈴郎ユリエマリエ。
猿のお屋敷遊び、情事を行うと耳が裏返るミドリ子、膜に覆われ休眠するユリエの恋人オトヒコさん、休眠中のオトヒコさんの影としゃべるユリエ・・・
伸び縮み変化する人々。

春画を描く義父。教え子の愛人が母の恋人。さらに・・と、文庫裏の説明だけ読んだらどんだけどろっとした話なんだというあれです。
皆無です。
それを期待するとある意味裏切られるかなあと思います。


「外に出ないとね、なんだか、むしゃ、とする」
「むしゃ」
「むしゃ。むしゃくしゃの、前半だけみたいな感じ」
「なるほど」
「あなたは、むしゃ、とする、それとも、くしゃ、とする」   【】内本書P39L12-16引用


漢字のテストの話が面白いと思いました。漢字の書き取り。
覚えてないけど、例えば「夜空を見上げる」「自転車に乗る」「散歩する」とか。
その漢字を書かせるための文章だけど、どこかキレイ。人間の基本的な動作や感情を表しているからかな?


今までの川上本と最後のあたり少し違う印象を受けました。言うなら、キチンとした恋愛小説、みたいだった。最後だけ特に。いや恋愛小説なのかもですが・・



紅朗という名の響きが好きでした。

川上弘美『龍宮』

2008-05-20 | 川上弘美
川上弘美『龍宮』


君は短命な人間に短命の秘訣って言うかね。
「そういえば言いませんねえ」
男に言わないことは女にも言わない。短命に言わないことは長寿にも言わない。

(【】内本書P68L1-3より引用)


「北斎」-その昔蛸であった浜で出会った男に酒をおごる。蛸の冒険の話を聞く。
「龍宮」-オトさま。曾祖母のイト。
「狐塚」-正太。あぶらあげを食べる。ケーンとなく高らかに鳴く男。
「荒神」-しっくいを食べる。台所の荒神さま。
「うごろ(鼠+晏)鼠」ー拾ってきた人間。
「轟」ーイチコフタバミツヘシマとゴマムツキナナヨ
「島崎」-先祖にひとめぼれしたわたし。
「海馬」-海から出た。子供は4人。4人目の子供はわたしより先に海へと帰った。


既読川上本の中で、一番好きな本となったかも知れません。
相変わらず、へんてこりんな話ばかりで、人なのか人ではないのか、
じゃあ、海馬かモグラか幽霊か蛸かと聞かれても、はいそうですとは答えがたく。

「うごろもち」、のうごろが出ないので、ひらがな表記です。うごろは、鼠+晏と書くようです。『いとしい』も読了したので、未読文庫本は古道具~だけに。現在読書中です。

川上弘美『光ってみえるもの、あれは』

2007-11-11 | 川上弘美
想像していたものとは違ってました。好きです。

川上弘美『光ってみえるもの、あれは』

(以下〝〟内「BOOK」データベースより引用)
ああ、やっぱり僕は早く大人になりたい―友がいて、恋人がいて、ちょっぴり規格はずれの「家族が」いて。いつだって「ふつう」なのに、なんだか不自由。生きることへの小さな違和感を抱えた、江戸翠、十六歳の夏。みずみずしい青春の物語。


正直このまま読まずにずっと放置していたい川上本でした。
まず、主人公。
私の浅い川上弘美歴から考えると、主人公が子ども(未成年)であるという場合は、皆無だった気がします。
そこへきて、解説文から察すると青春物語。
でも川上弘美だし・・と思いつつもやっぱり放置。
そしてかつてないほどの川上弘美ブームが到来し読了。
最初は違和感とかどうもなあ、と思いましたが、すぐにああ川上弘美、でした。
たぶん川上さんの本を読んだ事がなくて、初読みがこれだったら、好かん!で終わりだっただろうなあ、と思います。

「おい、シャツとか着ないで、直接それ、着るのか」花田が肌にじかにセーラー服の上着を着ようとしているのを見て、僕は聞いた。
「でもTシャツだって、服にじかに着るし」
「セーラー服の上の部分は、Tシャツにあたるわけ?」
僕と花田は眉を寄せて首をかしげあった。
まったく世の中は難しい。世間のことを自分がちっとも知っちゃいないことを、僕らはことあるごとに、痛感する。(【】内、本書p162.l10より引用)


以下ネタバレという話でもないですけど、一応ネタバレ注意な人物紹介

江戸翠。
いつだって女の人、だけど僕を生んだらしい、愛子さん。
後におばあさんだとわかる、愛子さんを娘としてもつ、おかあさん。
遺伝子上の父であるらしい大鳥さん。
女の服を探す花田。
手紙や日記を持ち歩く平山水絵。
キタガーくん。

翠と水絵と花田の高校生。
翠と母親と祖母の家族。
大鳥さんと翠。
キタガーくんと大鳥さん。

それぞれの関係性というか、一緒にいる時それぞれの雰囲気が好きでした。

川上弘美の初読み本としては、おススメしません。
青春小説として詠むのも、おススメしません。
川上弘美の、日常であり非日常でもある世界を楽しみたい、
川上弘美の、大人と子どもの会話を読みたい、「えびおくん」好きだったな、そんな時に。


そういえば、男が主人公、という話ももしかしたら初めてかもしれません。

川上弘美『蛇を踏む』を読みました。

2007-06-20 | 川上弘美
誰かの目からみたらこう見えているのであろう、自分の見ている、けど見えていない世界?


川上弘美さんの『蛇を踏む』とは
(【】内「BOOK」データベースより引用)
藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた…。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。“消える家族”と“縮む家族”の縁組を通して、現代の家庭を寓意的に描く「消える」。ほか「惜夜記」を収録。

三話目「惜夜記」みたいに、とても短い話をさらに短く区切って題をつけている話が、好きです。

「縮むことは多いんですか」
最後に父が訊ねると、ヒロ子さんの祖父がひそひそ声で
 「よく縮みます」と答えた。
父と母は顔を見合わせていた。
 「この家族はよく消えます」
そう父が言うと、ヒロ子さんの祖父は重々しく頷いてから、
 「家族ごとにありますなあ」と言った。 
                        (〝〟内本書P98より引用)

2話目の「消える」↑も好きです。
川上さんの書く話は、へんてこりんな中に、秩序とか決まり(同じ)があるのが好きです。
へんてこりんな人たちがへんてこりんな世界の中で、へんてこりんなことを真面目な顔して守るのが面白いと思います。
「へんてこりん」は、私基準です。だって話の中ではそれがきっとへんてこりんではないのだろうから。


毎度のことですが
意味わからん何がいいんだ、て終わるか、
ああこの感じふふふふ・・、て終わるか。
もちろん私は後者です。

あとがき有りでした。
川上さんのエッセイが読みたいです。
まだ読んでない川上本たくさんあります。楽しみです。

川上弘美さん『溺レる』をちょこちょこと。

2006-11-13 | 川上弘美
一昨日まで焦っていたのに、今日になったら急に余裕で終わる気がしてきました。
なんだ、どこにそんな余裕があるんだ。不思議だ。川上パワーか、そうなのか。

川上弘美さん『溺レる』とは
(出版社/著者からの内容紹介より)
もう帰れないよ、きっと。
重ねあった盃。並んで歩いた道。そして、二人で身を投げた海……。時間さえ超える恋を描く傑作掌篇集。女流文学賞、伊藤整賞W受賞

ちょこちょこ電車で読了しました。
川上本は電車の中がよく似合う(と勝手に思ってる。)いい意味で、です。

なんだか読んでたら、割と初期の本なのかな~という印象を受けたのですが、
今調べると2002年初版発行と。はて?古いのか、そうでもないのか。
『センセイの鞄』から始まり、今日に至る。川上本読み。
この作品は、最初のころ私が読んだ時に一瞬戸惑ったものと同じ印象を受けました。
そういう作品は、特に「しおしお」とかなんでしょう、二つの語を繰り返す言葉がよく似合います。おいおいとかとてとてとか、なんだかそんな感じ。
前にもちょっと書いたけれど。後、ひらがながよく似合うと思う。

どっかとぼけてるというか、なんというか。
 「この歳でセーラー服着たらこわい」
  「セーラー服好きなんだ、ぼく」
  「そういう問題じゃいでしょ」
  「問題なんてオソロシイ言葉使わないでよ」 (本書P33l10~13)

七面鳥がですね、胸の上に乗ってるのです。
枇杷をむいてですね、汁がたれるのです。
畳を拭いたら、古い畳になってしまったのです。
シンコの季節に、店のシンコを食べつくしたり。
そうして幾年もの月日が流れていくのです。

ただし私は、シンコがなんなのかわかりません。
すし屋にあるからには、魚か、貝か、何か・・なのだろう。

川上本が無性に読みたい。
そしてまちにまった「光ってみえるもの、あれは」。
ダメだ・・
解説や他のところで感想拝見する限り、今求めてるのとは違う気がする。
エッセイが読みたい(要するにそういうこと、なだけ)

川上さんが好きでない人や、慣れない人や、なんだか苦手な人は、
意味不明だといわれてそれで終わりだと思うので、読まないことをおススメします。そんなのばっかりですが(笑)
でもそれでもなぜか私は好きだなぁと思うのが、とても不思議です。

書きたいことをただ書いたので(いつもいつも)話が前後しすぎですね(笑)
そういう気分だったということで・・・

川上弘美さん『ニシノユキヒコの恋と冒険』を・・

2006-09-18 | 川上弘美
どれほどこの時を待ったことか。

川上弘美さん『ニシノユキヒコの恋と冒険』とは
「なぜ僕はきちんと人を愛せないんだろう」
男、ニシノユキヒコ。
優しく、男前。仕事も○。清潔。独身。
多くの女性に好かれ、多くの女性と関係を持つ。
でも最後には、みんなニシノユキヒコから離れていく。

「なぜ僕はきちんと人を愛せないんだろう」
男、ニシノユキヒコの恋と冒険の物語。


本当にどれほどこの時を待ったことか。
ブログを書き始めるきっかけとなった本を、ついに読むことができました。
長くなりそうです。
いつもは、とりあえず書きなぐってから、だいぶ削除してアップしますが、
今回は書きなぐりのままアップしたいと思います。

川上本にそろそろ慣れて?きたようで、
読む瞬間に、ふっと川上本の空気に包み込まれる感じが。
ふんわりした空気。優しく、あたたかく。それでいて、どこかさびしい空気。


ニシノユキヒコ。
女と会ってるときに、別の女からの電話が鳴り止まない男。
昔の女と一緒に食事させる男。
付き合ってる女がいるときも、他の女と旅行に行く男。
正しい道、生き方が「怖い」という男。
人を愛したいと思う男。

ーーいろんな女に愛される男。
いろんな女に捨てられる男。
西野くん。幸彦。ニシノくん。ユキヒコくん。西野さん。ニシノ。
ニシノユキヒコ。

ニシノくんが不実だとは、思わなかった。
ニシノくんは、常に真剣だった。
ニシノくんは、かわいそうだ。
ニシノくんのそばに、いてあげたい。
だから。
私から身を引こう。
だってニシノくんは私を愛してはいない。
今、ニシノくんは私から気持ちが離れてしまったんだ。
だから。
ニシノくんと一緒にいられない。

そんなことを考えてしまう私は、
確実にニシノくんに会ったら、恋をしてしまうだろう。
ニシノくん。
この呼び方が、一番好きでした。

恋愛本は、嫌いだと豪語する私ですが、
川上さんは別です。
ハラハラするわけでもなし。理屈じゃ説明できないことばかりが書かれている。
「川上本好きじゃないっていってる私」の方が容易に想像がつく。
なのに、「川上本が好きっていってる私」が存在している。
不思議だ・・。好きだ。


この本を読んで、
「ニシノ、なんてとんでもない男だ!」と怒ったら、
私としては「う~ん?」だな。と思いました。
そういうことじゃ、ないんだよな、なんて知った顔で。
そう思ったのですが、解説で思いっきりそれが書かれたたのが、驚きでした。
と思ったら、『ルート225』の藤野さんでした。
そういう話じゃないと思うんだけどなぁ。
でも、読み方は人それぞれなので・・

たとえば、ニシノくんをつかまえて、
「どうしようもない男だ」と言うならば、
糾弾する口調ではなく、
ちょっと笑って、「まったく。もう。」
という感じの、「どうしようもない男だねぇ」だ。
苦笑しつついう感じ。
それが私の中の「ニシノユキヒコ」像。

「誰かを好きになること」(本書P139l11より)が、私もとても好きだ。

今度、ニシノという名前の人に出会ったら、一瞬トキメイてしまいそうです。

川上弘美さん『椰子・椰子』を読みました。

2006-08-16 | 川上弘美
ころころころ。。。コツンッ! こてっ。 

川上弘美さん『椰子・椰子』とは
春夏秋冬。
妊娠中のもぐらと写真を撮る。
中くらいの災難に見舞われる。親指の上に親指が生える。
「一日幼児」になる。「おなかちゅいたでちゅー」と言ってみる。
「奇跡実演講座」でアルバイトする、鳥。
へんてこりんな日常。


あ~またしてもわけのわからない、素敵な世界。
川上さんの頭には、一体どんな生物が住んでいらっしゃるのでしょうか。


冬眠から覚める。子供たちが二倍にふくらんでいる。
会社のコピー機の裏。4歳くらいの子が住んでいる。
結局最後までどちらかわからない、鳥のジャンとルイ。
「中くらい」の災難に見舞われる。
気分転換に、町へ出かける。
もちろん、子どもはきちんとたたんで押入れにしまっておく。
帰ってきたら、だすのも忘れずに。


川上さんを一言で表すと何だろう。
「お」かな。
「おかしい」
「おもしろい」
「おや、まぁ」
「おいおい」(泣き声)

「途中から、無理やりじゃないか」と思ったあなた。
正解です。
しかし、川上作品の中で泣いている人(?)が出てくると、
「しくしく」でも「うえ~ん」
でもなく、「おいおい」だと思う。


まっ。なんといっても言いたいことは、
「重力ピエロの感想はどうした」ということでしょう。