☆GREEN HEART☆

漫画と本と国府津があれば生きていけるかもしれない「ことは」のブログ。
はじめましての方は「自己紹介」をどうぞ!

綾辻行人『時計館の殺人』

2007-08-21 | 綾辻行人
綾辻行人さんの『時計館の殺人』とは
【亡霊が出ると噂される鎌倉の時計館。その館では、数年前、館主人の娘の死をはじめ多くの死者がでていたーー
雑誌『CHAOS』の特別企画の取材として鎌倉の時計舘に閉じこもった、霊能力者と雑誌編集者、そして大学超常現象研究会のメンバー。三日間、外界から閉ざされた時計舘。そこで次々と起こり始めた連続殺人。
ーー時計館に住んでいた少女、そして館を巡る多くの死。そして今回取材として館に入り込んだメンバーたち。一体過去の何が連続殺人を生み出しているのだろうか。時計館に隠された真実とは。】

一番、「十角館」に近いものではないかと思います。
十角館以降の館シリーズは正直あまり・・でしたが、時計舘はおもしろかったです!やはり本格ミステリーと言われる類のものは、登場人物が多いほうが面白い。


シリーズものゆえどこからネタバレになるか分かりませんので、もう全部隠します。一応舘シリーズ時計館までの作品ネタバレ注意!!


面白かった!

しかしラスト四分の一は少々退屈・・でした
なんかもういーよ、みたいな・・短気ですみません・・でも私犯人に対して、うんたらかんたらと推理をしてさらにそこから「ここからはあくまで私(探偵)の推測ですが・・」から始まる犯人の動機予想、犯人の涙なみだの過去と動機が二人(犯人と探偵)によって語られるという、推理ものに欠かせない一連のシーンがあまり好きじゃないという致命的なあれが・・・だって飽きちゃう(おい)
とか言って、時計館にはあまりそういうのありませんでしたが(おい)
でも盗聴器とかいろいろ分かりやすすぎた!

かっこいい大賞は瓜生さんでしょうか!
身近に居たら結構うっとおし・・・いやいやでもかっこいい。
瓜生くんは、最後まで残ってて、このまま生き残ってくれるのかなあ~なんて思ってたのですが、あれれ・・・ガクン。
江南くんは結構ぱっとしない役回りだったような・・!頑張れこなんくん!


ネクスト積本→はやみねかおるさんの3冊目。

情報にうとくなっています。相変わらずおお振り中心に日々が動いています。
来月は文庫化も漫画発売もほとんどなしでどうすればいいのやら、です。

恩田陸『まひるの月を追いかけて』

2007-08-14 | 恩田陸
積本消化期間開始

恩田陸さんの『まひるの月を追いかけて』とは
渡部研吾が姿を消した。
研吾の異母兄弟である静は、彼の恋人優佳利と共に奈良で消息を絶った研吾を探すたびに出た。
旅の途中で明らかになっていく、研吾周辺の女たちと彼の関係。研吾の行方、そして彼の秘密の決意。研吾の行く先とは?

一言でも余計なことを書くと、ネタバレ・・?になるので、ここは説明少しで。
おもしろかったけれど、私の中の恩田陸素敵本ランキングでは、それほど上位ではありません。ほかの恩田作品と比べ、印象が薄い気がします。

「まひるの月」
すべて読み終わってから、題名についてぼんやりと考える。
最後まで読む前は、すごく素敵でキレイな題だなあ、と。
まひるのつき。
ぼんやりと見えるとき。全く見えないとき。
見えそうで見えない。とらえられそうでとらえられない。
でも見えないわけではなく、そこに確かにある。
うーん。
まひるの月、は恩田作品では、蒔生みたいな人かなあなんて思います。


自分の考えていること、自分が感じていることは、
  大部分が自分の中で形にはなっていない  (【】内本書p379l5より引用)

恩田さんの本はミステリーとかSFとか書かれていることがあるけれど、
これはミステリーではなくて、結局なんだったのか、と聞かれれば、。
うーん。一人の男とピー(伏字)人の女の奇妙な関係の話・・
ぎすぎすした男の取り合いではなく、さらっとした(?)男に惹かれた、そして男が惹かれた女の話。
と、
奈良を旅するという中で、話が進むので、その寺やら街の描写があり旅行書・・・としてみても楽しいと思います。

ネタバレ注意

最後、このまま終わってしまうのかと思いました。
出家、そして妙子の死、衝撃的だけど、これで終わりだと話の締めくくりとしては弱い・・
と思ったら、そういえば、彼の好きな人、がまだ謎のまま・・
うー

物語関係なく、冷静に?考えて。
妙子の手紙に書いてあった「優佳利と妙子であの人の話をするときに、静の名前を出していた」というあたり。はっきりきっぱり怖いと思いました。
一番怖かったかもしれない。背筋がぐわーっとなりました。
会ったこともない一度くらいしか会ったことがない、兄の彼女と友人。
兄に好意を寄せる、誰よりも彼のそばに居る女二人、永遠に彼の心は得られない。
その彼が思いを寄せる女。思い違いならまだいいけれど、それが別の人間、彼女の母であると知りながら、彼女静の名を出し、それを語る。
こわいー



ネクスト積本→綾辻さんの時計館

魚住直子『超・ハーモニー』

2007-08-07 | ■あ行の作家
何事もなかったかのように、久々なのにいきなり本の感想!

魚住直子さんの『超・ハーモニー』とは
小学生の頃は頭がよいと言われ、有名私立中学に受験した響。見事合格し、そのまま順風満帆な学生生活が送れるかと思いきや、レベルが高すぎて、授業についていくのがやっとという現実。両親は顔を見れば「うまくやっているか」と勉強のことばかり。友人も勉強ばっかりで回りに無関心なやつばかり。話しかけてくるやつといえば、なんだかうっとおしい太だけだ。
そんな退屈な生活に、突如現れた、一人の兄。数年前に家出をした兄が、戻ってきた。しかし記憶の中にある兄ではなくなっていた。彼は「女」になっていたーーー


『非・バランス』が読みやすかったので、次の作品を。
勉強うまくいかねー!両親うるせー!友達うっとおしー!
え?兄ちゃん?帰ってきたの?
あれから一度もあってないけど・・・
え?!女?!兄ちゃんがスカートはいて化粧してる?!
みたいな話だったりそうでもなかったり。
たぶん「そうでもなかったり」の方が多いと思います。

子どもが抱えているであろう(とオトナが考える)悩み、が根底を流れていると思います。
『非・バランス』も同様であったと思うけれど、非~ではサラさん、本書では兄の存在が、あまりその子どもが悩みを抱えてるんだぞ、っというのをしつこくなくする役割を果たしていると思います。
あまりはっきりと「子どもの悩みを描いてます!」という本はちょっと苦手です。でも、例えば梨木香歩さんの『裏庭』のようにそこへ非現実的な存在が加わることで、それらが軽く?なっているので、がちがちした感じがしないと思います。

題名にあるように、「音」も重要な役割を果たしているようです。
兄ちゃんの音を聴いてみたい。音を拾いに散歩に出る。
キレイな音だけを拾うのではなく、がちゃがちゃな不協和音も拾って、曲をつくる。

にいにゃんの気持ちを全部、聴かなくちゃいけないと思った(本書p169l13)

ネタバレと個人的ななにか
ネタバレ注意です!

太に金を借りていく場面で、最後に全部使わずに渡したのがびっくりでした。
きっとお金を使っちゃって、ラストそれがバレルか太に脅されて?、わー!
ってことになると思いました。全然違いました。いつものことです(苦い笑い)
しかし、響は結構いい子?かと思ってましたが、あれは怖いです。あれやられたら、傷つきそうです。

オトナから見た子ども像というか、オトナが「こうであるべきである(はずである、あってほしい)」子ども像というのがあって、それはあさのさんの『バッテリー』でも感じたけれど、魚住さんの本もそういうのが強いかもしれない。でも私は魚住さんの子ども像が好きだ。(本書の内容というより、同著者の『未・フレンズ』文庫版あとがきに共感できたから、なのかもしれないが)あとは、やっぱり非現実的・・と言っていいかわからないけど、サラさんとか兄ちゃんていうのが、入り込むことで、それが軽く・・なってるというか・・そんな感じです。
太と仲直り?みたいのをして、兄ちゃんの音楽をいいねってあたりからの展開は、・・ハッピーエンド?へ向かいすぎな気がしたけど、両親が最後来なかったのでそれはよかったと思いました。
女になった兄ちゃんは、きっと家を出る前より、かっこいいな、と思いました。


ぱらぱらっと読みやすい本でした。『未・フレンズ』も読書中。