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終戦の詔の全容 及び玉音放送  78回目の終戦の日に寄せて

2023年08月15日 16時17分53秒 | Weblog
本日(8月15日)は終戦から78年ということで戦争関連のテーマを選びました。
 
昭和20年(1945)8月14日の御前会議で、ポツダム宣言の受諾が決定され、同宣言受諾に
関する詔書が発布されました。鈴木貫太郎内閣の各国務大臣が署名しています。翌15日正午、いわゆる「玉音放送」が行なわれたのち、「内閣告諭」が読み上げられました。
「聖断既に下る」として、国を挙げて「国威を恢弘(かいこう)」する決意を明らかに
するとともに、「内争」・「軽挙妄動」を戒めました。

終戦の詔の全容を纏めてみました。
 終戦の詔は「大東亞戰爭終結ノ詔書」として国立公文書館に原文が掲載されています。

上の2枚の写真は上記国立公文書館より切り貼りして作成した原文です。
 
(注)現代語訳は朝日新聞デジタルより、英語訳はWikisourceより引用させていただきました。 

「大東亞戰爭終結ノ詔書」 
”Imperial Rescript on Surrender”
朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告

私は、世界の情勢と日本が置かれている状況とを深く考えあわせて、緊急の手段をもってこの事態を収めようと思い、私の忠良なる国民に告げる。

After pondering deeply the general trends of the world and the actual conditions obtaining in Our Empire today, We have decided to effect a settlement of the present situation by resorting to an extraordinary measure.

 朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

 私は、日本国政府に、アメリカ・イギリス・中国・ソ連の4国に対して、それらの共同宣言(ポツダム宣言)を受諾することを通告させた。
 
We have ordered Our Government to communicate to the Governments of the United States, Great Britain, China and the Soviet Union that Our Empire accepts the provisions of their Joint Declaration.
抑々帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所曩ニ米英二國ニ宣戰セル所以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庻幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス然ルニ交戰已ニ四歳ヲ閲シ朕カ陸海將兵ノ勇戰朕カ百僚有司ノ勵精朕カ一億衆庻ノ奉公各ゝ最善ヲ盡セルニ拘ラス戰局必スシモ好轉セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス加之敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尚交戰ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ是レ朕カ帝國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ
 
そもそも、日本国民の平穏無事を確保し、すべての国々の繁栄の喜びを分かち合うことは、歴代天皇が大切にしてきた教えであり、私が常々心中強く抱き続けているものである。先にアメリカ・イギリスの2国に宣戦したのも、まさに日本の自立と東アジア諸国の安定とを心から願ってのことであり、他国の主権を排除して領土を侵すようなことは、もとより私の本意ではない。しかしながら、交戦状態もすでに4年を経過し、我が陸海将兵の勇敢な戦い、我が全官僚たちの懸命な働き、我が1億国民の身を捧げての尽力も、それぞれ最善を尽くしてくれたにもかかわらず、戦局は必ずしも好転せず、世界の情勢もまた我が国に有利とは言えない。それどころか、敵国は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使い、むやみに罪のない人々を殺傷し、その悲惨な被害が及ぶ範囲はまったく計り知れないまでに至っている。それなのになお戦争を継続すれば、ついには我が民族の滅亡を招くだけでなく、さらには人類の文明をも破滅させるに違いない。そのようなことになれば、私はいかなる手段で我が子とも言える国民を守り、歴代天皇の御霊(みたま)にわびることができようか。これこそが私が日本政府に共同宣言を受諾させるに至った理由である。
To strive for the common prosperity and happiness of all nations as well as the security and well-being of Our subjects is the solemn obligation which has been handed down by Our Imperial Ancestors, and which We lay close to heart. Indeed, We declared war on America and Britain out of Our sincere desire to secure Japan's self-preservation and the stabilization of East Asia, it being far from Our thought either to infringe upon the sovereignty of other nations or to embark upon territorial aggrandisement. But now the war has lasted for nearly four years. Despite the best that has been done by every one -- the gallant fighting of military and naval forces, the diligence and assiduity of Our servants of the State and the devoted service of Our one hundred million people, the war situation has developed not necessarily to Japan's advantage, while the general trends of the world have all turned against her interest. Moreover, the enemy has begun to employ a new and most cruel bomb,[2] the power of which to do damage is indeed incalculable, taking the toll of many innocent lives.
Should we continue to fight, it would not only result in an ultimate collapse and obliteration of the Japanese nation, but also it would lead to the total extinction of human civilization. Such being the case, how are We to save the millions of Our subjects; or to atone Ourselves before the hallowed spirits of Our Imperial Ancestors? This is the reason why We have ordered the acceptance of the provisions of the Joint Declaration of the Powers.
 朕ハ帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ對シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内爲ニ裂ク且戰傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス
 
上の文の緑字「爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル」
現代語訳:あなた方国民の本当の気持ちも私はよく分かっている。

上の文の青字の部分 「然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所」
現代語訳:しかし、私は時の巡り合わせに従い、

上の文の赤字の部分「堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ」
現代語訳:堪え難くまた忍び難い思いをこらえ

上記文の太字部分「以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス」
現代語訳:永遠に続く未来のために平和な世を切り開こうと思う


私は日本と共に終始東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。日本国民であって戦場で没し、職責のために亡くなり、戦災で命を失った人々とその遺族に思いをはせれば、我が身が引き裂かれる思いである。さらに、戦傷を負い、戦禍をこうむり、職業や財産を失った人々の生活の再建については、私は深く心を痛めている。考えてみれば、今後日本の受けるであろう苦難は、言うまでもなく並大抵のものではない。あなた方国民の本当の気持ちも私はよく分かっているしかし、私は時の巡り合わせに従い堪え難くまた忍び難い思いをこら永遠に続く未来のために平和な世を切り開こうと思う

We cannot but express the deepest sense of regret to Our Allied nations of East Asia, who have consistently cooperated with the Empire towards the emancipation of East Asia. The thought of those officers and men as well as others who have fallen in the fields of battle, those who died at their posts of duty, or those who met with untimely death and all their bereaved families, pains Our heart night and day. The welfare of the wounded and the war-sufferers, and of those who have lost their home and livelihood, are the objects of Our profound solicitude. The hardships and sufferings to which Our nation is to be subjected hereafter will be certainly great. We are keenly aware of the inmost feelings of all ye, Our subjects. However, it is according to the dictate of time and fate that We have resolved to pave the way for grand peace for all the generations to come by enduring the unendurable and suffering what is insufferable.
朕ハ玆ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ總力ヲ將來ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ
 
私は、ここにこうして、この国のかたちを維持することができ、忠義で善良なあなた方国民の真心を信頼し、常にあなた方国民と共に過ごすことができる。感情の高ぶりから節度なく争いごとを繰り返したり、あるいは仲間を陥れたりして互いに世情を混乱させ、そのために人としての道を踏み誤り、世界中から信用を失ったりするような事態は、私が最も強く戒めるところである。 まさに国を挙げて一家として団結し、子孫に受け継ぎ、神国日本の不滅を固く信じ、任務は重く道のりは遠いと自覚し、総力を将来の建設のために傾け、踏むべき人の道を外れず、揺るぎない志をしっかりと持って必ず国のあるべき姿の真価を広く示し進展する世界の動静には遅れまいとする覚悟を決めなければならない。あなた方国民は、これら私の意をよく理解して行動してほしい。
Having been able to safeguard and maintain the structure of the Imperial State, We are always with ye, Our good and loyal subjects, relying upon your sincerity and integrity. Beware most strictly of any outbursts of emotion which may endanger needless complications, or any fraternal contention and strife which may create confusion, lead ye astray and cause ye to lose the confidence of the world. Let the entire nation continue as one family from generation to generation, ever firm in its faith of the imperishableness of its divine land and mindful of its heavy burden of responsibilities, and the long road before it. Unite your total strength to be devoted to the construction for the future. Cultivate the ways of rectitudes; foster nobility of spirit; and work with resolution so as ye may enhance the innate glory of the Imperial State and keep place which the progress of the world.
御 名 御 璽 (ぎょめいぎょじ)
内閣總理大臣 男爵 鈴木貫太郞
海軍大臣     米内光政
司法大臣     松阪廣政
陸軍大臣      阿南惟幾
軍需大臣     豐田貞次郞
厚生大臣     岡田忠彦
國務大臣     櫻井兵五郞
國務大臣     左近司政三
國務大臣     下村宏
大藏大臣     廣瀨豐作
文部大臣     太田耕造
農商大臣     石黑忠篤
内務大臣     安倍源基
外務大臣兼
大東亞大臣    東鄕茂德
國務大臣     安井藤治
運輸大臣      小日山直登
天皇陛下署名及び天皇の印
Emperor’s signature and seal
昭和二十年八月十四日
1945.8.14

玉音放送のYoutube動画他
玉音放送の英訳はJewel Voice Broadcast
西日本新聞では玉音放送の原文と現代語訳を掲載されています。(下記リンク)

玉音放送のYoutube動画をGooで共有させていただきます。

宮内庁:玉音放送の原盤を初公表 音声も公開(毎日新聞)
戦後70年に当たり宮内庁は2015年8月1日、終戦の日の昭和天皇の「玉音放送」を録音したレコードの原盤を初めて公表し、併せて音声を公開した。 玉音放送は、1945年8月15日正午からラジオ放送された昭和天皇による終戦詔書の朗読(約4分30秒)。前日の14日深夜、当時の宮内省内で録音された。昭和天皇はとり直しを希望して2回読み上げ、2種類の原盤が完成した。今回公表されるのは、実際に放送された2回目の録音の原盤。 

玉音放送(原盤音源 ノイズ減少処理)


上の2枚の写真は昭和20年(945)8月15日12時、玉音放送を聞く日本国民
出典:2023年8月7日 22:00 NHK総合テレビ「NHKスペシャル 発見 昭和天皇御進講メモ
知られざる外交戦」宮内省御用掛・松田道一の御進講メモ発見(2022年10月)
 
ポツダム宣言受諾までの経緯 

ポツダム宣言受諾までの経緯について下記ブログで纏めています。

日本に宣戦布告をした国々

第2次世界大戦で日本に宣戦布告をした国々について2023年8月7日 22:00 NHK総合テレビ
「NHKスペシャル 発見 昭和天皇御進講メモ知られざる外交戦」で紹介されていました。
1941年(開戦時)に宣戦布告した国は18カ国に対して1945年(終戦時)は40カ国に
なっていました。完全に外交の失敗を証明する事象であります。
上の写真は1941年(開戦時)に日本に宣戦布告をした国々(18カ国)

上の写真は1945年(終戦時)に日本に宣戦布告をした国々(40カ国)


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