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亡き人、別れた人、会えない人を思い出すことは、辛い。
好きであればある程辛い。
思い出してはいけないと思えば、思う程、なお辛い。
アメリカに行く直前に突然、父を失い
眠れぬ日々が続いていた。
思い出すことが辛かった。
思慕の念を抱くことは、辛いことだろうか…
四十九日を終え、最近ふと
思い出すことは、親孝行ではないかと考えた。
これ程、子どもに好かれていたのだから…。
ゴールデンウィークに
父が見たがっていた黒木の藤棚を見に行った。
辺りに漂う甘い香りが私を包んだ。
まだ、うまく言葉に出来ないが、父が何か教えてくれている気がした。
昨日は、熊本に講義に行ったついでに
あんまり天気が良かったので
父の車で阿蘇まで足を伸ばした。
『お父さん、綺麗ね…』
花が好きで、人をドライブに連れて行くのが大好きだった父。
父が免許を取ったのが私が六歳の時。嬉しくてダンボールで車を作り、うちのナンバープレートを貼り、
兄と引っ張り合いっこした。
その頃から父の横は、私の指定席になった。
『お父さん、あれな~に?』初めて見聞きした事を次々に質問し、
『あれはね…』
沢山教えてもらった。
よく一緒に歌も歌った。
『雪よ岩よわれらが宿り
おれたちゃ町には住めないからに
おれたちゃ町には住めないからに~』
町中で裕福な家庭で育った母とは対象的に
父は、田園の川沿いの兼業農家で仲の良い兄弟姉妹の真ん中で育った。
叔母ちゃんたちが口を揃え、父をこう振り帰った。
『九人の兄弟でお父さんが一番優しかった…』
『けいこちゃんは、ちゃんとそれを引き続でるとよ…』
そうか、引き継いでいるということは、命を繋いでいるということ。
たとえ、父が存在しなくなっても
父の温かさは、私の中にしっかりある。
歌声も頭を撫でてくれた時の優しい顔も手の温もりも。
小さい頃、お腹に手を当ててもらうと、ホッとして安心して眠れた。
父は、よく冗談も言った。
父の入院中のエピソード。
看護師さんに食事を残したか聞かれた時
父:『ご飯を…』
看護師さん:『どれくらい残しましたか?』
父:『残さず食べようとしたけど、茶碗に何粒かくっ付いて取れんでねえ~』
看護師さん:『もう~、まったあ』
私の息子たちは、一人暮らしの父を気遣い、
車で2時間の距離を時々尋ねてくれた。
父から言うと孫からのメール
孫:『今度の日曜日、そっちに行こうと思うけど、おじいちゃん、おる(いる)?』
父の返信メール
父:『逃げも隠れもいたしません』
私は、毎日 朝晩二回電話した。
私:『おはよう、今から仕事行ってくるね。』
父:『おお、今日はゆっくりやね。よか、よか。あんたは、いつも忙しいかけん。
いってらっしゃい!』
私:『仕事終わったよ』
父:『おかえり~。今日も頑張ったね。』
嬉しい話をすると
父:『私にまで分けてもろうてありがとね。良か話、私まで嬉しくなるよ。』
亡くなる2日前.母との馴れ初めを一時間話した後
父:『あ~つい、こんな話して、あんたに(娘に)こんな話して、あー何か変な気分』
私:『お父さん、慣れないことで照れ臭いんやろ。
娘やけん、親の馴れ初め聞けて、嬉しいよ。』
今からは、ドライブしながら、いっぱい話すね、お父さん。
『藤は、良い香りやね。』
『俵山、綺麗ね。』
『女神大橋、一緒に渡ったね。』
思い出すことをいけないと思うのは止めて
これからは、『思い出すことは親孝行』と思うことにします。
思慕の念を抱く相手がいることは、幸せ。
思慕の念を抱いて生きて行く。
以下、ゲーテの言葉。
思慕の念は、清らかな精神関係を
表現する意味でも
愛に似ている。
ただ、愛は、現在の持続性を要求するが、
思慕の念は、それを必要としない。(ゲーテ『箴言と省察』より)
読んでると、涙があふれてきました
何も、知らずにすみません。
姿はなくても、魂は先生や先生の子供さんの心の中でいつも一緒に生きているのだと思います。
そして、受け継がれて繋がっていくのですね。
きっと、今日も明日も・・ずっと先生の中にお父様もお母様もいて、一緒に旅しているのかもしれませんね。
熊本に、長崎に、対馬にも・・・。
こんなに、素敵な先生に出会わせてくださった御両親に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございます。
親子の温かさがとても伝わってきて、涙が出ました。
今でも温かい心の交流が続いていて、素敵です!羨ましいです。
アラスカの壮大な景色をお父さんも一緒にご覧になったんですね。
そんな素振りも見せられなかったので、しりませんでした。
お辛いですね。
ただ、命を繋いでいると読んで、救われる気がしました。
先生のお優しさは、お父さまから引き継がれた大切なギフトなのですね。
そして、息子さんたちもお優しく、ちゃんと引き継がれて
お父さまに『ありがとう』を言わせていただきたいです。
私は父に何にもしてあげられなかったと後悔しました。
もう会えないんですよね・・・
読んでて涙が出てきました。
みなさま、ありがとうございます。
私も17年前に姉を亡くしました。17年たった今でも姉の姿、私を呼ぶ声が鮮やに思い出されます。私が苦しい時、辛い時、なぜかいつも姉の香りがします。きっといつもそばで支えていてくれるそんな気がしてなりません。先生のお父様もきっと綺麗な藤の花を先生とご一緒に見られて喜ばれたことと思います。
お姉さまもきっと、ひなゆうさんを見守ってくれていると思います。
プレゼントしてもらったもの、大事にします。