昨年の本屋大賞第一位の「海賊とよばれた男」を読みました。
160万部も売れているベストセラー。
読み進めていくうちに、
えもいわれぬ感動が湧き上がり、
ニッポン放送のナレーションドラマも聴いてみました。
これも、また空想が広がっていい。
「永遠の0」に続き、親世代の苦悩と忍耐、努力に思いを馳せた。
復興し、平和な日本に
ただ、ただ、感謝!
世界各地に展開していた会社を敗戦で、失った出光興産の出光佐三社長は、日本に残った社員を集め訓示した。
終戦の1945年8月15日からわずか二日後、社員に
「愚痴は言うな。愚痴は、泣き言だ。
日本は三千年の歴史がある。
日本人が居る限り、必ず復興する。」
と。
佐三は、会社の資産は失ったが、1000人の社員という財産が残っていることに感謝して、
社員は、家族のような大切な存在だとして、
一人たりとも社員を首にしない人間尊重を貫いた。
この佐三が起こした
日章丸事件、ご存知でしたか?
敗戦して、7年後、ようやくサンフランシスコ平和条約で独立が認められて一年も経たない昭和28年話。
当時の大英帝国を相手に
民間の小さな日本の石油会社が、拿捕覚悟で
イランと石油を取り引きするという事件を起こしたのです。
もともと、石油が手に入らず、真珠湾攻撃から始まり
敗戦後も、石油輸入を大国に牛耳られていた時に、
それに反発してどこの国とも取り引きが出来ないように制裁を加えられていたイランが、
まるで日本のようだと一民間の小さな石油会社が石油を買うことを秘密裏に進め、
まんまと成功して大型タンカー満タンの石油を積んで日本に持ち帰った。
敗戦で自信を無くしていた日本人が、
これから、欧米列強から自立して復興していけるという自信を取り戻すきっかけになったという。
こんな日本史が習いたかった。
作家の百田尚樹さんご自身もこの日章丸事件についてご存知なかったそうです。
放送作家を務める番組「探偵ナイトスクープ」のディレクターからこの事件について聴き
インターネットや資料を詳しく調べて
「こんなすごい男がおったんか」
と驚き
100年に一度と言われる不況で、
自信を失っている日本人に向けて、
今、書かなければと思ったというです。
百田尚樹さんは、執筆中、3度も倒れたそうです。
きっと、百田さんにも、強い信念があるのですね。
小説のモデルとなっている出光佐三さんは、
福岡県宗像市の当時赤間村のご出身だそうで、
同じ九州の人間としても誇らしく思います。
『海賊とよばれた男』で心に響いたのは出光佐三さんの理念です。
①勤勉 ②質素 ③人のため
つまり、
一生懸命働き、
贅沢をせず、
人のために尽くすこと。
日本人が忘れかけている大切な理念なのかもしれません。
そう言えば、戦争を体験した私の親も
そうだったなあ。
こうした多くの日本人のおかげで今の日本があることを忘れかけていました。
「海賊とよばれた男」オススメです。