ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

《子どものうつ》

2015年11月21日 | オススメです

《子どものうつに気づいたら…》

さて、子どもさんのことで、お母さん方の悩みは尽きません。

子どものうつっぽい症状は、過眠や過食、イライラなどにも現れます。

「子どものうつ 心の叫び」
「子どものうつに気づけない」
という児童精神科医の本から抜粋して紹介します。

傳田健三著 佼成出版社、2007年
ー医者だから言えること、親にしかできないことー
 
この本では、子どものうつについて、事例を中心に解説してあります。


親子関係の重要性についてや、
自分も専門家だが、一人の親としては決してその道の達人として振る舞えるわけではないと書いてあります。

成長期・思春期の子どもの心のひたむきさと脆さ、それを支える親の大変さと切なさ、親の大切さが身に染みます。

 「子どもを見守ると云うことは、
子どもに手をかけたいという気持ちを我慢し、
失敗したらかわいそうだという親心を抑え、 親に頼ってくれない寂しさをこらえつつ、
同時にその成長と自立をかみしめながら、
温かい眼で観察することなのです。」
 
◯うつ病と診断した患者家族への説明

①今の状態は怠けや逃避ではなく、うつという身体の病気であること。

②十分な休養と薬物療法が必要であること。

今の状態は3ヶ月くらいで改善するが、
薬はその後もしばらく飲み続ける必要があり、
治療の全体としては1年くらいを考えること。

③うつの症状として、ふと
「生きていてもしかたがない」
などという考えが浮かぶかもしれないが、決して早まったことはしないこと。

④治療中、症状に一進一退があるが、あまり一喜一憂しないこと。

⑤重大な決断は、治療終了まで延期すること。

⑥今後どうしたらよいか一緒に考えていくこと。


◯うつを発症した子どもの家族に求められる変化

①子どものことを観察し、理解し、コミュニケーションをとる。

 子どもは依存と自律のはざまにありながら、心理的親離れと独り立ちを課題にしている。

②子どもの危機は家族全体の危機である。

③お互いに自分の意見を伝え合う。

④新しい視点から問題を捉え直す。


◯「見守ること」の難しさ

・子どものためを思ってすることが、子どもにとってはお節介であり、勧奨であり、大きなお世話。

・親は、子どもを見守りながら、必要なときのみ手を貸すという、とても大変な作業を行わなければならない。

・子どもが思春期を迎えたら、相手を独立した一人の人間として尊重することが必要。

・子どもを見守ると云うことは、
子どもに手をかけたいという気持ちを我慢し、
失敗したらかわいそうだという親心を抑え、
親に頼ってくれない寂しさをこらえつつ、
同時にその成長と自立をかみしめながら、
温かい眼で観察すること。

・親を責めてもよいことがないのは、
責められて落ち込んでいる親を見て、
子どもはなおいっそう申し訳ないと自分を責めてしまうから。


◯ 父親の寂しさ
 現代の父親は私も含めて、家でとても寂しい思いをしている。居場所がないのである。
 父親の寂しさは社会全体の問題。


◯子どもに問題が起きたときの十ヶ条

①両親で何度もじっくり話し合う

②適度な反省は必要だが、必要以上に自分たちを責めない。原因を追及しすぎない。

③これから何をすべきかを考える。これまでの自分たちの方法でうまくいかない場合は、別の方法を考えてみる。

④誰かに相談する。一人であるいは両親のみで問題を抱え込まない。

⑤相談機関の医師、カウンセラー、相談員などと信頼関係を築き、
情報を交換し合って、協力していく。
父親も相談機関に可能な限り行く。

⑥子どもの立場になって考える。子どもが病気の場合、病気について十分理解する。

⑦子どものよいところ、プラスの側面を見る。子どもが現在できている部分を評価する。

⑧子どもが思春期に達したら、これまでの対応を改め、一人の人格として尊重する。

⑨最終的には、自分たち両親が対応し、
自分たちが支え、自分たちが状況を変え、
自分たちが変わっていくしかないのだと腹をくくる。

自分たちが解決のためのキーパーソンであると認識する。

誰かにすべてを頼りたいという過剰な依存はあきらめ、
なおかつ何でも自分で背負い込むという意地も捨てるべし。

〔10〕全てを一気に変えることは考えない。
小さな変化を大事にする。
今、ここから、できることから始めていく。

 逆転満塁ホームランを狙わずに、
バントでコツコツと1点ずつ返していくという心構えが必要です。

◯親子の合い言葉

・「あせらず」「あわてず」「あきらめず」

・今、ここから、できることから始めよう

・ジャマイカ療法:「じゃあ、まあ、いいか~」


◯うつ病の診断基準(アメリカ精神医学会)
 以下のうち5つ以上が2週間以上持続。少なくとも1つはA症状
A.
(1)抑うつ気分・・・子ども、青年はイライラ感でもよい
(2)興味・喜びの減退
B.
(3)食欲不振、体重減少(ときに過食)
(4)不眠(ときに過眠)
(5)精神運動性の焦燥、または制止
(6)易疲労感、気力減退
(7)無価値感、過剰な罪悪感
(8)思考力・集中力減退、決断困難
(9)自殺念慮、自殺企図


◯うつ病治療の七原則

(1)軽いけれども治療の対象となる「不調」であって単なる「気のゆるみ」や「怠け」ではないことを告げる。

(2)できることなら、早い時期に心理的休息をとるほうが立ち直りやすいことを告げる。

(3)予想される治癒の時点を告げる。

(4)治療の間、自己破壊的な行動(例えば自殺企図など)をしないことを約束してもらう。

(5)治療中、症状に一進一退のあること(三寒四温的な起伏のあり得ること)を繰り返し告げる

(6)人生に関わる大決断は、治療終了まで延期するようアドバイスする。

(7)服薬の重要性、服薬で生じるかもしれない副作用をあらかじめ告げ、関心のある人にはその作用機序を説明する。


 アプローチの基本;
まず心身ともに疲れ果てている子どもに休息を勧め、干渉的にならないように傍らに寄り添うこと、

そして症状を確認しながら、つらかったこれまでの状況を理解し、元気が出てきたら、あせらずに少しずつ、これからできることを共に考えていくことに尽きる。

回復期は自分のできる力の60~70%程度にセーブする感覚で。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 《お弁当~》 | トップ | NEW! 新しい講座にチャレン... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2018-06-20 15:25:52
子供を見守るということ・・・
つい、口出してしまう時この事を考えるようにしています
なのにら分かっているのに口が出る。難しいです。
でも、気付いてる私は少し成長したと自分を褒めるようにしてます
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。