ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

母という病

2014年05月14日 | こころの子育て
「母という病」新書が出ていたので
母の日に読みました。

うつ、引きこもり、虐待、自傷、無気力、摂食障害、依存症…
これらの症状は、母子関係に原因があるとかかれています。

カウンセリング、再決断療法もまさに、そこを解決していこうというものです。

少し抜粋してご紹介します。
******************
p.19「発達途上のあなたの脳や体にとって、母親とともにあった密度の濃い最初の時間は、まさにあなたというものを形づくる特別な時間だった。

その幼い日々が満ち足りた、安心できるものだったか、そうでなかったか、それを一番反映しているのが、今の母親との関係なのだ。

(中略)

だが、不幸にして、母親が他のことに気を取られたり、さまざまな事情で幼いあなたに、気持ちや手をかけることができなかったりすると、その関係は不安定なものになりやすい。

そして、その特別な時間が、あなたの体だけでなく、脳や心を形づくるかけがえのない時間であるがゆえに、その影響は、あなたの対人関係の持ち方やストレスへの敏感さ、子どもや異性の愛し方、精神的健康のみならず、身体的健康や寿命、老化の速度にまで影響を及ぼす。

神経繊維の走行や受容体の数といった脳の分子レベルの構造までが、その時間を、母親といつも一緒に過ごすことができたか、よく世話をしてもらえたかによって影響を受ける。

いつも一緒にいて、いつも撫でられたり、世話をされたりして育った子どもは、いつも自分を愛してくれる存在がいて守られているという安心感を手に入れる。

それは、心理的のみならず、生理的な体質とも結びついていて、母親との絆が安定している人では、ストレスにも強く、うつにもなりにくい。

(中略)

p.268不安定な母親の場合も、支配が強すぎる母親の場合も、ネガティブなことしか言わない母親の場合も、近くにいすぎることは害悪をこうむり続けることになる。
子どもの自立や可能性よりも親の不安を紛らわすことが優先され、子どもの未来は邪魔され続ける。
そのことに自覚さえなく、当たり前のことだと思っている。そうした母親にとっては我が子は、自分の所有物だからだ。」

ポプラ新書「母親という病」岡田尊司 著より抜粋
******************


母親として、自覚がないと書かれると、正直、ぐさっと来ます。

ただ、文章に度々出てくる「愛情を注がれて育つ」という言葉は、
カウンセリングをする立場からは、
「たとえ、親が愛情を注いだとしても、
それを子どもが充分だと感じたか?」
「完璧な親は居ないので、
子どもがどれだけ愛情を感じたか?」
と捉える。

つまり、親たちがどんなに愛情深くても、
病気で入院したり、介護や食べて行くための仕事で忙しくしていたり
もっと、些細な出来事などでも
子どもは、寂しい想いをすることもあるので、
親の側が愛情を注いだとしても、
子どもの側からは、愛情が足りないと感じることがあり、
大事なのは、子どもの側の感じた満足か満足じゃないのかを見ていかなくてはならない。

これは、親である弁明になってしまっているかもしれないが、
親を責めたくはない。

ただ、子どもがどれくらい愛情を感じ、足りているかどうかを
自覚し直し、意識しないと
状況は、変わらないというのも事実です。

この本を母親たちを責める材料にしてはいけません。

そうでなく、子どもの健全育成のため、
人間育成のためには、母親をサポートすることが
何よりも大切だということに気づいて欲しいのです。

育児支援だけでなく、親が知ること、つまり親の教育も大切です。

今の保育園、学校などで、お母さん方には、先生方が気を遣いすぎ、
色々言ってはいけないような
教育も出来ないような妙な雰囲気ではいけません。
親と先生は、共同して同じ目標ー
心も体も健全な人間を育てているのです。


心や生活を支援する役割の人々…
父親、祖父母、先生、カウンセラー、近隣の人々などの精神的支援と育児支援の両方を充実させることだと思います。

岡田先生が書かれているのは、
生後間もない頃の母子関係が、個人の基本的安心感、人間を信じ、未来を信じられるかにつながるということ。

ジョンレノン・岡本太郎・宮崎駿などの著名芸術家の母子関係の事例も分かりやすく、面白いです。

繰り返しますが、
この本を母親を責めるのに使って欲しくないです。
自分や他人、子どもの中にもこうした親の影響が多大だということを知り、
母親、父親が自覚し、自分たちが精神的に安定することを最優先に考えて欲しい。

そのためにカウンセリングを活用すると良い。

だから、子どもの不登校や家庭内暴力などで、親だけがカウンセリングに来ても、子どもに変化が見られるのです。

昔から日本で「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものですね。
過去の親子関係を取り戻せないなら、絶望的ですが、
取り戻すのにカウンセリングがあります。

社会が成熟し、世界がボーダレスになり、
職業の自由、結婚の自由、育児の自由、離婚の自由
しても、しなくても、辞めても、辞めなくても、
何をするのも自由な世の中になってきました。
人々は、枠のある不自由の中で安定、安心を感じていた頃よりも
枠のない自由の中で、不安定になっています。

より一層、両親との関係が大きな影響を及ぼすようになって来ていると感じます。

だからこそ、
子どもの幸せのためには、お母さんが安定して子どもに愛情を注げること、
つまり、お母さんが幸せであることだと、私は思います。

オススメの本
ポプラ新書「母親という病」岡田尊司 著780円税別
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2 コメント

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初めまして (吉本 洋子)
2014-05-17 19:45:21
あるカウンセラーの先生から、
米倉先生なら今の私を治すことができる と紹介して頂きました。

とっても信頼している先生です。
藤原先生です。
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母にはなれなかったけれど (むっちゃん)
2014-05-18 10:28:39
仕事上こどもたちと関わりますが、どの子にも愛情を持って接しているつもりです。その子の個性を尊重しながら。そんな中、子育ての経験もある方、正規労働者やそうでない方。大人同士の個性の摩擦や言動、ストレス度。さあ、何から片づけていく?問題山積み?!いつの間にか焦っている自分に「大丈夫。感じる心があるから。」少しずつ今の一瞬の幸せを感じて、楽しい嬉しいが溢れていく。
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