今、ここにピアがいる幸せ。
当たり前のことが、どんなに嬉しいことか。
ピアはゆうべ行方不明になりました。
夜8時頃 主人がリードをつけて外へ連れて行きました。
遅いな、と思っていた頃 電話が鳴り、「ピアが逃げた」と 主人の声。
金属音に驚いたピアが、首輪抜けをして逃げたのだそうです。
こともあろうに 車がビュンビュン走るメインストリートを 車の脇をすり抜けたり急ブレーキをかけさせたりしながら車道を100メートルほど走り、
大きな交差点に飛び込んで それから歩道を一目散に走って行って、見失ったのだとか。
デュークならともかく、小心者のピアが逃げるなんて初めてです。
きっとパニックになって無我夢中で走っているに違いない。
「落ち着け、落ち着け。」と声を出して自分に言い聞かせ、携帯と懐中電灯を持って自転車に飛び乗りました。
怯えていたら、きっと私の声でないと出てこないに違いない。
「ピア!ピア!」と大声で呼びながら走り回りました。
「毛のふさふさの犬が この道をまっすぐ走って行ったよ。」という目撃情報があったので 大通りをどんどん進んだけれど 影も形もない。
車道に倒れているのではないかと 黒い塊がないかとヘッドライトの中で道路を透かし見ては走る。
2時間近く走り回ると もうだめかもしれない、と絶望的な気持ちになります。
こんな時、頼りになるのはレオさくさんです。
レオさくさんに電話して 「お願い、助けて!」と言うと、夜の夜中だというのに車で駆けつけてくれました。(レオさくさん、ありがとう!)
車でまっすぐ国道まで走ってもらうよう頼んで 私は駅の方へ。
電話で、家の近くを見てくれるよう頼んでいた友達が 「ネコかもしれないけど何かが走った。」と言うので、藁をもつかむ気持ちでその方角へ行ってみました。
いない、やっぱりいない、と思いながら 歩いている人を見つけ、追いかけて 犬を見ていないかと聞くと
「あ、そういえばあの辺に犬がいた。」と言ってくれました。
もう疲れているので ゆっくり歩きながら「ピア!、ピア!」と叫ぶと 遠くの暗がりの中、物陰からひょぃと黒い頭が出て こちらを見ています。
幻を見ているのかと思いました。
でももう一度「ピア!」と呼ぶと タタタと駆け寄ってきます。
「ピア!」とまた呼ぶと、もう全力疾走です。
ピアがどーんとからだ全体でぶつかってきました。
主人に電話して見つかったと言うと 「奇跡だ」と言います。
四車線の道を 車をぬって走っているピアを見ながら、何度も「もうだめだ」と思ったそうです。
ピアを連れて帰りながら 二人で
「宝くじに当たったような幸運だ。」と言いあいました。
たとえはイマイチだけど ほんとに一億円当たったような幸運で ピアはうちに帰ってきました。