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ケパとドルカス

『肝心なことは目では見えない』
これは星の王子さまの友達になったきつねの言葉。

大統領執事の涙

2014年02月18日 | 映画•映像

Photo  予告編で「観たい」と思っていた映画が公開になったので観てきた。実在の人物を描いた「大統領執事の涙」だ。

 実は見終わって少し混乱した。この映画のテーマが「父と息子の和解」なのか、「7代の大統領に仕えたたぐいまれな執事の話」なのか、でである。しかししばらくして、その両方ではなく、やっぱり原題「The Butler(執事)」にあることがわかった。そういう意味では、映画の日本語題名は原題とは違うし、映画の意図をわかりにくくさせていると感じる。 

 アイゼンハワーから七代の大統領に仕える、これは確かに凄いことなのだが、結果的に言うならそれは「白人への服従」に徹したからに他ならない。主人公が七代に仕えた・・・・・それはこの七代にどれほどの黒人の地位の変動があったかの生き証人として映画が語ることであって、決して大統領の執事そのものにという意味ではない。つまり息子が言ったことばによく集約されている。

「世の中をよくするために、父さんは白人に仕えている」

その父の仕事を恥じ、黒人の権利獲得運動に身を投じて、国と戦う長男。
兄とは反対に、国のために戦う事を選び、ベトナムへ志願する次男。

 この三人の生き様がまさに映画の主題となっている。次男は戦死し、空しさを現している。父は長男たちが戦って獲ち得ていく権利、それを大統領のそばで目の当たりにする。ホワイトハウス内での黒人執事たちが獲ち得た待遇の平等化も、実は息子たちの捨て身の戦いなくしては得られないものだった。そのことに気づいた主人公は、執事としての誇りも意欲も失い、最後には辞職する。そして息子の運動に身を投じていく父は、自らの生き方を悔い改める。
 権利とは、黙って棚ぼた式に得られるものではなく、戦って得られるものだ、と映画は訴えているように思える。原題「The Butler」とはその証明がリアルに描ける、そんな職業であるということではないか。それは黒人大統領オバマの誕生をラストに持ってきていることからもわかるのではないか。

 人間差別は絶対に恥ずべき悪であると思う。が、かなり極端な人物像(例えば、好きなように黒人奴隷を殺す農園主)が気になる。今の肉体を離れた永遠の住まいでは、彼の罪は殺人者として裁かれる。また執事として忠実なことは、決して間違いではなく、すばらしいことである。そのことはキング牧師が力説した通りである。だから主人公の悔いは、息子に対する父としての対応の悔いであったと取りたい。神の前には、奴隷も主人もなく、みな平等なのである。  ケパ


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