matta

街の散歩…ひとりあるき

あけび…山女、山姫…

2013年10月30日 | 自然
LeicaM8.2/summilux 75mm

十月八日にアケビをあげたが、最近、以下の文章に出会った。
少々長いがユーモラスなのでご紹介。

 「実の形は短い瓜のようで、熟すると…厚い果皮が一方縦に開裂する。
始めは少し開くが後にだんだんと広く開いてきて、大いに口を開ける。
その口を開けたのに向かってじいっとこれを見つめていると、
にいっとせねばならぬ感じが起こってくる。
その形がいかにもウーメンのあれに似ている。
その形の相似でだれもすぐそう感ずるものと見え、
とっくの昔にこのものを山女とも山姫ともいったのだ。
なお古くはこれを(草冠のある)開と称した。
すなわちその字を組立った開は女のあれを指したもので、
今日でも国によるとあれをおかい又はおかいすと呼んでいる。
これはたぶん古くからの言葉であろう。
そしてこの植物は草である(じっは草ではなく蔓になっている潅木の藤本だけれど)
というので開の上へ草冠を添えたものである。
こんなあだ姿をしたこの実から始めてあけびの名称が生まれたのだが、
このあけびはすなわちあけつびの縮まったもので、
つびとは、ほどと同じく女のあれの一名である。
しかし人によってあけびは開肉から来たと唱えている。
すなわちその実が裂けて中の肉を露わすからだといい、
また人によってあけびは欠伸から出た名だといっている。
すなわちその実の裂け開いたのを欠伸口を開くに例えたものである。
国によるとあけびをあくびと呼んでいる所がある。
なおあけびの語原についてはその他の説もあるが、
しかし上の開肉の説も欠伸の説もなにもまずいことはないがあまり平凡で、
かえって前の開けつびの方が趣があって面白く、また理窟にも叶っている。
そのうえ既に昔に(草冠のある)開の字を書いたりまた山女、
山姫の字を用いたりしたところをもってみれば、
この方の説を主張してもまんざら悪いこともなかろうと思う。
あけびを一つにおめかずらと称え、
またおかめかずらと呼ぶのもけだし女に関係を持たせた名であろう。」
   (『牧野富太郎選集3』さまざまな樹木・アケビ(昭和11年)より)

 

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