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命のカウントダウン(健康余命3605日)

トレッキング、カメラ、陶芸、スキー、釣り、カヌー、遊びなら何でも大好き。仕事も好き、時間がない!

とばっちり

2021-08-18 00:36:10 | 在宅医療
今夜、末期患者さんを3人、在宅で抱えています。おひとりは、脳幹部出血で昏睡 自発呼吸はあるのですが、不安定であり低酸素状態も続いています。在宅酸素発生機(5L機)を2台連結して10Lとし、リザーバーバッグを使用してSPO2:70-90前後です。昼間、呼吸数が1~2回/分にまで落ちていたので、あと数時間だろうと考えていたのですが、現在日が変わりましたが、まだ呼ばれないです。50代とお若いので、心臓が強いのですね。

2人目は、昨年から腎不全末期で透析を拒否されて、何とか自宅で過ごされてきた方70代男性なのです。eGFR 一桁で1年過ごされたのですが、8月10日に39度の高熱出現、と、同時に脳卒中発作を起こし、意識レベルが200に低下しました。昨日まで抗生物質を入れた500MLの点滴を施行していたのですが、ご家族の希望もあり、本日からは何もしていません。様子を見ているだけです。

3人目は肝細胞がんの末期です。時折腹痛を訴えられていたいたので、イーフェンバッカル等用意してはいるのですが、このところ、アンモニア脳症のせいでしょうか、頭呆感強く、痛みもあまり感じないとの事です。ほぼ呑まず食わず(氷の塊だけ少し食べられます)血圧は触診で20台です。

3人とも、コロナが無ければ、病院で看取りになったかもしれない患者さんです。コロナがあるので、ご家族が病人に付き添うことが出来ません。それで自宅での最期を希望される方が増えています。

私は、宅直です。おかげさまで、禁酒が出来ています。


新型コロナの在宅医療

2021-08-04 07:26:21 | 在宅医療
新型コロナ感染症がワクチン接種が進んでいるにもかかわらず拡大を続けています。

政府は、感染拡大地域での入院制限方針を発表し、波紋が広がっています。

症状が重くない患者は入院させない。ホテル療養も基本的にさせず、自宅で療養しなさい と、言いだしました。

東京近郊では、それだけひどい状況だというわけです。

自宅で療養すると、家庭内感染の可能性が拡大します。そして、勿論病状の変化に対する対応も遅れます。それでも、在宅で療養しろというのは、入院やホテル療養に数的余裕が無くなってきた、そして今後更なる感染拡大が予想されるからでしょう。

在宅医療は、訪問看護を中心とするチーム医療なのですが、はっきり言って対応能力の個別差が大きいです。訪問看護は複数人でステーションを形成していますが、医者は多くの場合一人です。

勿論、病院医療にも「当たりはずれ」があるのですが、病院には複数の医師がいます。在宅医療の医師は、「取り換え」が効かない事が殆どです。当たりはずれが大きいです。

これは、誰も言いませんね。(長尾先生以外)

在宅医療は良いですよ とは、皆が言いますが・・・・ネガティブな面も存在します。

大橋巨泉さんの在宅医療が失敗に終わった様に、「痛い在宅医」も存在します。(長尾先生の「痛い在宅医」読んでください)

痛い在宅医に当たる確率を下げるためにも・・・

新型コロナワクチン、接種してください。

新型コロナに感謝している事

2021-07-01 22:03:10 | 在宅医療
 新型コロナの大騒動で、厚生局の個別指導が当分無くなった事、その意味においてだけですが、私は、新型コロナウィルスに感謝しております。

個別指導と言っても、進学指導などの個別指導ではありません。
こんなものでございまして、
自殺者も出たことがあります。
開業医なんて、好き勝手なことやって、楽に金儲けしているのだろうと思われているかもしれませんが、そうでもないのですよ。その業界その業界で、辛いこともあるんです。開業医なんて、自分で働いてなんぼ、休んだら収入無くなる高級日雇い人足なんです!!収入は比較的高いですが、働いてなんぼですし、リスクは相当に高いです。誤診したら億!の訴えがあるかもしれないですし、何より心の痛みを伴います。その上・・・
 日本は国民皆保険で、ほぼすべての医療機関が医療保険制度下での医療を行っています。ですから監督官庁の厚生労働省には、全くもって逆らえません。厚生労働省に首根っこを押さえられているが故の苦しみも結構あります。その一つに個別指導があるのです。個別指導というのは端的に言えば、患者さん一人当たりの保険点数が高い医療機関に対し、医療の内容が正しく行われ、正しい請求がなされているかどうかを監査されるわけです。後ろ暗いところが無ければ何も臆することは無いだろうと思われるかもしれません。ですが、日本の保険制度は非常に難解でありまして、いちゃもんをつけようと思ったらいくらでも・・・という面も少しあります。まぁ、いやらしい監査員に当たってしまったら重箱の隅をつつきまくられた挙句、罪人扱いされたり返納金を収めたりと悲惨なのであります。

 片田舎の無床診療所である我が坂根医院ですが、通常一般診療を院内処方としております。それだけで、院外処方に比べると当然請求書の点数は高額になります。院外薬局に薬を処方してもらうと、当院の点数が低くなりますが、患者さんは薬代のほかに薬局での処方代が高くつきますので、2重の手間と待ち時間を要する上にお金も高くつきます。多くの医療機関が院外処方を選ぶのは、そちらの方がもうかるからです。
そのように厚生労働省が仕向けています。院内処方なんて古臭くて、面倒で、在庫をたっぷり抱えなければならず、良い所と言えば、患者さんの満足度が高くて支払額も少ない。それだけでしょう。

 でも、坂根医院はそこに拘って院内処方を継続していります。
 利点も色々あるのですが、坂根医院は頑固なので、基本、院内処方です。(希望があれば、院外処方にも勿論応じます!)

 患者さん1人当たりの保険点数(レセプト点数)が平均よりも高いと、点数が高いぞ!!と脅され、「集団的個別指導」とかいう名の「おらおら、点数下げないと、個別に来てもらう事になるけど、それでもええのんかい??ん??」という脅迫集会に連行されたり・・・・挙句の果てには、警告してあげたのに、まだレセプトの点数高いままなのね!個人的に指導せなあかんようやから、何月何日に、言われた症例のカルテ持って体育館の裏に来るように!!
 みたいな脅迫状をいただいて、合法的に拉致脅迫され、その上、後日金を脅し取られます。我が医院でも2回経験しました。

 この、個別指導 という強迫拉致監禁?怖いのですよ。前述したように、自殺者も出て問題になりました。

 我が坂根医院は、普通に内科診療をしているのだけでも、院内処方なので高点数です。その上処方日数が長めです。(定期通院されている方の平均は40日位でしょう)昼の休憩時間、そして夜に、訪問診療を行っております。在宅医療って奴です。これは、点数が高いのです。、時間外、特に深夜などに呼び出されると、特に高点数になります。


厚生労働省は、高い点数を算定しておきながら、在宅がん患者さん等を末期まで診て、毎日往診して、時間外にも対応したりして点数が高くなると文句を言う、おかしいと思いませんか?

 
 在宅医療は、超高齢化している日本社会において、とても重要な位置にあります。というのも高齢者の多くは、出来る限り住み慣れた自宅の環境、または似た環境で生活をし続けたいと思っておられます。それをサポートするのが在宅医療であり、訪問看護であり生活援助なのです。
 
 コロナに感謝しているというのは・・・

 なんと、なんと、コロナの関連で、個人的脅迫会は数年間開催されないことになったのだそうです。

 在宅医療にとって、コロナは、敵ではないですね。この、良い追い風が、コロナが落ち着いてからも続くことを祈ってやみません!!!!


日曜ですが、新型コロナワクチン個別接種を医院で試験的に施行しました。

2021-06-27 22:00:10 | 在宅医療
今朝は、日曜ですが、朝から1時間強、試験的に個別接種を10人施行する予定でした。ファイザーワクチン2バイアル使用しました。12本ワクチンが取れました。おひとり、喘息発作が出て接種を延期したので、医院での接種は9名。3人分が余ってしまいました。それで、在宅患者さんに電話をして、在宅患者さん1人と、そのご家族お2人に施行しました。そのご家族の1人は、昨年12月に新型コロナに罹患、重症化して人工呼吸器の装着に至った方で、2か月入院されていました。現在は退院されて後遺症もなく暮らしておられる50代男性です。
 罹患経験者のワクチン接種については、色々な意見があるようですが、1回目の接種に関しては勧めておられる方が多いようです。2回目は不要という意見もあります。色々な意見がありますので、3週間後までに、ご本人に決めていただこうと思っています。ご本人は、コロナ罹患でえらい目にあわれたので、今のところ2回目も接種希望です。

 もう1人のご家族は、100歳以上の在宅患者を診ておられる娘さんで、勿論この方自身も高齢者です。明後日、自治体の集団接種の2回目予定だったのですが、超高齢者の在宅患者さんが病状悪化して持続点滴中なのです。それで、自宅を離れるのが困難という事情があったため、2日早かったですが、今日接種していただきました。18日の間隔を置いていますので、問題ないと思われます。

 超高齢者への点滴加療等については、不要という意見もあると思います。
ですが・・・これまで、100歳を超えられてからも何度も抗生剤点滴等で窮地を脱して来られており、認知症はあるものの、意思の疎通もある程度は可能です。経口摂取も不十分ですが可能な状態なので・・病態が悪化すると点滴加療してしまっております。ですが、今回は下腿の血行不良による壊死も進んできており、予後は不良だと思っていますし、そう説明もしております。しかし、何もしないと(経口での薬物投与は、不可能ではないですが不安定です)下腿壊死とそれに伴う疼痛が悪化してきますので、控えめな点滴治療を続けてきました。しかし、先ほど訪問看護師から電話があり、「点滴の入っている上肢を動かされて、点滴が漏れたようです」と連絡があり、抜去していただきました。もう、点滴は卒業ですね。何しろ、103歳ですから!!

今後は病状とご本人、娘さんと相談しながら、出来るだけ苦痛の除去を目指したいと思っています。
さすがに、この方自身に対する新型コロナワクチンは接種しておりません。

昨日から、歯切れが悪いですよねぇ
ですが・・・・簡単に割り切れる事ばかりじゃないよなぁとも思っております。

魔法使いになった話

2021-06-12 22:20:42 | 在宅医療
数日前の話に、知り合いの訪問看護師から「一生のお願い!!いつも悪いけれど・・・」という、一生って何回あるねんな?と思ってしまうお願いを聞き入れざるを得なくなって、初めての方の往診に行った話をしました。 

 肺がん末期の方で・・・咳、呼吸不全、時折喀血、胸痛、食思不振という なかなかのシチュエーションでした。
 それで、がん末期治療の奥の手と言っても良い持続皮下注で、強力な痛み止めであり、強力な咳止めでもある(再強力な下痢止めでもありますが)塩酸モルヒネ、倦怠感を改善し、食欲不振をマシにする作用のある副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)を開始しました。思惑通り、翌日から全身状態が劇的に改善、患者さんもご家族もとても喜ばれているという嬉しい報告を訪問看護師から受けていました。

 昨日は、2回目の訪問診療でした。
訪問すると、患者さんが息を切らしながら話し続けられました。
「この治療をしてもらうまでは、一刻も早く死にたい としか思っていなかった。でも、この治療をしてもらってからは、咳がなくなり、血痰もほぼ止まって息苦しさも和らいだ(とはいえO2:4L/minでspO2:90%前後ですが・・・)食事もとれるようになったし、何より生きる喜びを感じる様になりました。先生、本当にありがとう、もう、いつ死んでもいいとも思います。」
返答しようにも声が出せませず、ただただいうなづいて、手を握り返すばかり。在宅医療冥利に尽きるとはこのことですね。有難い事です。

今回使ったPCAポンプはバクスター社製の物で、私は初めての使用になりますが、院外処方薬局が、セットアップを始め全て為してくれました。私は指示しただけで、非常に楽でした。いつもならすべて自分でするのですけれど、先日の第2水曜日は、全くそんな時間がありませんでした。PCAポンプでの麻薬使用、今後も時間が無い時などには院外処方を使いたいと思っています。

ご参考までに、以前書いたPCAポンプに関する記事です。