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命のカウントダウン(健康余命3605日)

トレッキング、カメラ、陶芸、スキー、釣り、カヌー、遊びなら何でも大好き。仕事も好き、時間がない!

在宅医療とDr.コトーの共通点

2022-12-14 22:16:50 | 在宅医療
奈良県中部の医療法人坂根医院の院長 坂根俊輔です。

私、在宅医療が好きです。通常の外来+発熱外来+在宅医療と3本立てで働いているので、結構忙しいです。なんでこんなに忙しいのに、在宅医療にまで手を出しているのだろうか、考えてみました。

私、TVドラマのDr.コトー大好きなのです。生まれ変われたら、Dr.コトーになりたいと真剣に思っております。ドンくさい私では、どんなに頑張ってもDr. コトーにはなれないです。Dr.コトーのモデルになった鹿児島県薩摩川内市・下甑(しもこしき)島の手打(てうち)前診療所長、瀬戸上(せとうえ)健二郎医師は本当のスーパードクター、スーパー外科医です。あそこまではなれなくても、ある程度の対応が出来る「島の医者」にはなれるのではないか。生まれ変わったら、そうなりたいなと思っております。 

考えてみたら、私が傾倒している在宅医療って、Dr.コトーの孤島治療ににちょっとだけ似ているのではないか、似ているから私は在宅医療が好きなのではないのかなと思ったのです。
島と同じく、在宅に医者はなかなか来てくれません。医者がなかなか来てくれないと言うシチュエーションは相似ですよね。その程度は相当に違うかもしれませんが。

患者さんのご自宅って、都会の真ん中にあったとしても、孤島に近い部分があるのではないか・・・・そんな風に感じ始めている私です。




在宅医療と家族の負担

2022-11-04 01:01:51 | 在宅医療
奈良県中部の田原本町で一般的な内科開業医をしていると同時に、在宅医療に関してもある程度ですが頑張って来た自負あります。医者1人の診療所なので、頑張って来たと言ってもそれなりにです。内科なので、ドクターコトーみたいに、派手な手術するわけでは全くないですしね。

これまでに患者さんのご自宅で300人程度はお看取りして来ました。2/3位の方が がんの終末期の方で、残りの1/3程度の方が神経難病や老衰など「良性疾患」での在宅看取りでした。
がんの終末期のお看取りは数か月以内であることが殆どで、中には数日であったり数時間であったりもします。病院から家に帰って来られる時期が様々だからです。自宅に死を迎えるためにだけに帰って来られる方も、最近では少なくなくお見受けします。それも、ご本人の希望やご家族の希望もあっての事であったりするので、一概に良い悪いは言えないです。

逆に、良性疾患の方は、長ければ10年20年のお付き合いになる方もおられます。良性疾患の患者さんは、介護がいつまで続くのか全く分からないのが辛いですよね。がんなどの悪性疾患の介護では、本当にしんどい時期は1,2か月程度で終わることが多いです。

皆さん、人生の最後、どこで過ごしたいですか?アンケートを取ると、6割程度の方が、自宅で最期の時を過ごしたいと言われます。でも、実際に自宅で最期の時を過ごす方は1割強にしか過ぎません。


ライフステージ 【終末期】
住み慣れた場所で最期を迎えるという選択肢
●住み慣れた場所で最期まで穏やかに生きるために
  • 内閣府の調査によると、多くの人が住み慣れた場所で最期まで穏やかに生きたいと願っています。
  • しかし、実際には病院などで亡くなる人が8割を超えています。
  • 同じく内閣府の調査では、人生の最後に延命のみを目的とした治療を控え、自然の経過に任せた最期を迎えたいと望む人が増えています。
  • 自分にふさわしい生き方、最期の迎え方とは何か、そのために準備しておくべきことは何か、私たちは、考えていく必要があります。

■多くの人が望む、住み慣れた場所での穏やかな最期
「自宅で最期を迎えたいですか?」
それとも、
「病院などで最期を迎えたいですか?」
 内閣府が平成24年に行なった「高齢者の健康に関する意識調査」では、「万一、あなたが治る見込みがない病気になった場合、最期はどこで迎えたいですか」との質問に、54.6%の方が「自宅」と答えています。
 一方、「病院などの医療施設」と答えたのは、27.7%です。


■病院での最期が8割、自宅で最期を迎える人は1割だけ

 厚生労働省の人口動態調査によると、昭和20年代の終わりまでは、自宅で亡くなる人が8割を超えていました。病院などで亡くなる人は1割余りに過ぎませんでした。
 その後、医療技術の高度化、核家族化による家族介護力の低下などを理由に病院で亡くなる人の割合が年々増加しました。病院などで亡くなる人と自宅で亡くなる人の割合が逆転したのは昭和51年のことです。
 現在、病院などで亡くなる人は8割を超えています。意識調査では過半数の人が自宅での最期を希望していることと併せて勘案すると、心ならずも病院などで亡くなっている人が多いといえます。
■なぜ自宅で最期を迎える人が少ないのか
 厚生労働省が平成20年に行なった「終末期医療に関する調査」によると、高齢で日常生活が困難になり、さらに治る見込みのない状態になった場合、自宅以外で最期まで療養したい理由(複数回答)として、「家族の介護などの負担が大きいから」(85.5%)、「緊急時に家族へ迷惑をかけるかもしれないから」(53.3%)と回答した人が多くなっています。自分の意向よりも家族への配慮を優先する日本的な考え方によるものと思われます。
 また、家族の側では「自宅で最期を迎えることは本当にできるのか?」といった不安を抱えていること、「痛みなどで苦しんでいる時に、医学で対処できる何かがあるはずだ」という固定観念があること等から、病院などを最期の場所として考える傾向があるようです。入院していれば、24時間体制の看護・容体の変化に素早く対応が可能等、本人・家族ともに安心感が得られますので、最期の場所として病院を選ぶ、という選択肢も当然尊重されるものです。

自宅で最期を迎えたいと思う貴方!!、状況を整えてください。介護してくれる方を最低一名確保してください。そして、確保した人数によって(場合によってはゼロ名でも)それなりの覚悟をして下さい。多くの場合、配偶者に見捨てられたら哀れです。でも、覚悟によっては、独居での看取りも可能です。

病診連携について:特に退院時カンファレンスについて

2022-10-28 01:12:17 | 在宅医療
病診連携と言うのは、診療所・クリニックと、病院が情報交換をまめにして、協力してやっていきましょうね患者さんの為に!という事です。

我が坂根医院では、在宅医療を行っております。
在宅医療とは、寝たきりなど、状態が悪くて移動の難しい患者を、自宅などお住まいされている場所に医者が出かけて行ってその場所で診療するというものです。在宅医療の対象者は、老衰の方、脳梗塞などで寝たきりの方、がん末期の患者さん、神経難病の方、小児がんの患者さんなど、様々な方がおられます。

病診連携の具体例を挙げますと・・・・ALSと言う難病はご存じでしょうか?
アイスバケツチャレンジで有名になった病気です。
この病気の方がA病院に入院されていたのですが、病状が安定し、退院されることになったとしましょう。病状の進行を遅らせる薬はありますが、残念ながら現在のところ治癒の見込みがない疾患です。全身の神経がやられて、その先の筋肉が動かなくなります。それで、病状が進行すると、自分で食べる事、自分で呼吸することが出来なくなってきます。食べられなくなることに対しては、胃に直接栄養剤を注入する穴をあける「胃瘻造設」をするか、鼻から胃や腸に栄養剤を送り込むチューブを入れるか。または、心臓の近くの太い血管に栄養剤点滴用のカテーテルを入れるか。そんな対処をします。
呼吸が難しくなったら、最初は口や鼻から酸素を送り込みますが、それでも呼吸筋が動かなくなってきたら、人工呼吸器で空気を送り込まなければいけないことになります。体が動かなくなってくると、床擦れもできやすくなりますから、それに対する対処も必要です。

電動ベッド、エアマット、栄養剤の注入装置、点滴装置、在宅酸素、人工呼吸器、色々な機材の手配と運用が必要になります。
退院に当たっては、それらの機材の手配、運用にかかわる多くの業者、訪問看護師、在宅医師、ヘルパーなどと、病院側の担当医師、担当看護師、リハビリ担当者、薬剤師、などが一堂に会して会議をします。それが退院時カンファレンスという病診連携の華のような会議です。

退院カンファレンス、病院の勤務医は超多忙です。・・・退院時カンファレンスなんて本当に意味あるの?と思っておられる医師が多くおられると感じています。それは重々承知しておりますが、それでも意味があると感じています。
哲学書を読んでいくら納得しても、実際の人生を生きていないと分からないことは多いですよね。だから、リアル人生、生きる意味ありますよね。それと同じように、FAXなどでの情報のやり取りだけでは分からない事があるのです。直接会ってはじめてわかる事は多々あります。医師同士もそうですが、患者さん、患者さんご家族にとっても、退院時カンファレンスは、今後の覚悟を固めるとてもいい機会になるのです。


エゴサーチしてみたら・・・

2022-06-22 21:12:32 | 在宅医療
30代から抱えていた腰痛に加えて、脊椎管狭窄症による両下肢の痺れ、加速してきた物忘れ、人生も終盤に差し掛かって来たなぁと感じる事が多い今日この頃です。

私の人生って何だったのだろう?
など思う事もあって・・・

エゴサーチしてみました。

エゴサーチって、自分の事をネット検索してみる事です。

開業医という目立つ職業を20年以上続けていることもあって、結構沢山引っかかって来ました。

まず、手ひどい評価が少なくて?ホッと致しました。あるにはったけど、好き嫌いハッキリしているし、それを隠せない性格だから、ある程度の方には反感を抱かれるのは仕方ありません。三つ子の魂百まで・・・なので、今後もけんかっ早い性格は変わらないでしょうねぇ。

私の未だ知らないどこかに手ひどい評価があっても、教えないでくださいませ。知りたくありませんです!!気が小さいのです。私。






全体的に見て、私の人生のテーマは在宅医療なのでしょうねぇ
これまで、ある程度この方面で頑張って来たと思っています。

でも、今後を考えると、そろそろ足抜けしたいなとも思うのです。
私、既に68歳です。在宅医療は好きなのですが、それでも、自由に遊びに行きたいとも思うのであります。一人でやる在宅医療はやはり足かせであります。

24時間対応って、連携していても・・・やはり重荷なんですよねぇ

重荷にならないシステム作りが残された課題だと思ってはいます。なかなか難しいのだなぁ、これが!!!

エゴサーチをしてみたら、自分の今後も見えてきた気がしました。

迷惑を掛けないうちに少しずつ足抜けしていきましょう。出来れば、誰かに医院を引き継いでいただきたいと思っております。誰かおられませんか?奈良の田舎ののんびり内科。貴方色の診療が出来ますよ!!







入院先がなかなか決まらなかったお話

2022-03-07 07:08:29 | 在宅医療
先日、慢性呼吸不全の患者さんで在宅で治療していた高齢男性の状態が悪くなりました。患者さんご本人は病院嫌いで「絶対に入院したくない」と、これまでおっしゃっていたのですが、その日は呼吸不全の悪化、心不全の悪化などから意識レベルも低下していました。在宅での持続点滴が一か月前から続いてきたこともあり、ご家族の疲労も限界に達しており、総合的に考えて「入院加療しかないですね」という結論に達しました。(ご本人はこの決定に参加しておられません。傾眠状態でしたから)
それで、土曜の夕方6時ころより入院先を探しました。話にリアリティを持たせるために、病院は実名をあげます。でも、入院を断られたことを非難しているわけでは決してないです。病院には各病院の事情があります。それは理解しているつもりです。入院が困難な現在の状況を皆さんにお伝えしたいと思います。

先ず、その日の当番病院であった国保中央病院に電話をしました。当直医師「これから、コロナの陽性患者が入院します。病棟をやりくりしても、チョット難しいです。他を当たってみてください。どうしてもダメだったらまた声をかけてください。」との事でした。それで、どこで受けてもらえそうですか?と、聞いたところ「奈良県立医大病院はどうでしょうか。」と言われました。
それで、奈良医大の呼吸器内科に繋いでいただいたのですが、なんだかんだやり取りがあった後、「カルテが無い方の新規入院は無理です。」との事でした。その後、済生会中和病院、天理よろづ病院、平成記念病院、平尾病院、土庫病院、高井病院(順不同)とことごとく断られました。病院に電話を掛けるたびに患者さんの状態を説明し、窮状を訴える。そして断られるというのは相当な精神的ダメージです。普段からこんなことを繰り返されている救急隊員の方々、本当にご苦労様です。今回は、救急隊を呼ぶ前に入院先を決めようと思っていました。これで国保にもう一度断られたら、救急隊に探してもらうしかないかなと思っていました。

勿論、新型コロナは抗原検査でを確かめていたのですが、役に立ちませんでした。済生会中和病院は、以前院内クラスター感染で痛い目にあったので、入院時にPCR検査を日を変えて2回施行するとの事でした。そうでもしないと入院患者を守れないのですね。病院も大変です。
それで、振出しに戻って国保中央病院に、全て断られた話をし、患者さんの状態をもう一度伝えたところ、「では少しお待たせすると思いますが、来てください」と、入院許可をもらいました。それで、そちらで待つのであれば、救急搬送を1時間遅らせて、その間にPCR検査しておきましょうか?」と、提案しました。お願いしますと言われたので、患者さん宅にもう一度お邪魔をし、鼻咽頭ぬぐい液を採取して医院に戻り、PCR検査を施行。1時間後に陰性を再確認、その後救急車を依頼し、病院まで搬送していただきました。

その後、患者さんは容体安定化しているとの話を担当看護師から聞かせてもらいました。(コロナの関係で病棟には上がれず、看護師が救急玄関まで降りてきて病状説明してくれました。日常業務の邪魔になってしまいました。)

奈良県中部で、直近土曜日の夕方に、呼吸不全の男性がなかなか入院出来なかったというお話でした。大阪や兵庫、そして東京などは、もっとひどいかもしれないです。東京で40の医療機関に断られたとか、救急車が6時間動けずにいたという話も聞きましたから。
皆さま、体調が悪いなと思ったら、早めに受診してください。交通事故にも気を付けてくださいね。