茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

亥の子餅(いのこもち)

2008年11月16日 | Weblog
11月は茶の正月
炉開きをする月です
それは亥の月の亥の日(旧暦)が
陰である水の力極まるとき
それで
昔からこの日に炬燵を用意したり
炉に火を入れたりして
一年、火災から逃れるよう祈ったといいます

そしてまた
炉開きの時には亥の子餅というお菓子をいただきますが
これは奈良の昔からおこなわれていることで
期限は古事記に遡ります
むかしむかし
三韓征伐から戻った神功皇后の生んだ応神天皇に
跡目争いの時に神託で猪が加勢したので
その神意に感謝し
毎年猪の月の猪の日に
もち米と小豆でお餅をついてお祝いをしてきているというもの
さらに猪は子だくさんで有名
繁栄を象徴しています

菓子器に並んだ「うりぼう」はなかなかかわいいものです
今年のうりぼうはふとっちょだわとか
ころころでも無病息災が一番よねとか
ますます子孫ご繁栄をとか
そんな言葉が席中にのぼります

ところが
和菓子屋さんから「うりぼう」が消えている・・・
うりぼうでなく、ただの米小豆餅になっている・・・
「亥の子餅」売れないのだそうです
猪というイメージから
お茶関係者以外では買い求める人があまりいない
畳のお部屋が減って炉を開くお稽古場もなくなってきたし
まして亥の日に炉開きができる社中はそんなにない
などなど
お茶人も年中行事や陰陽五行から離れてきているようです

んー、うりぼうの危機です
猪の形をしていると、
そこからいろいろお話がひきだせて
楽しいのにな
来年はどうなっていることでしょう