阿武山(あぶさん)と栗本軒貞国の狂歌とサンフレ昔話

コロナ禍は去りぬいやまだ言ひ合ふを
ホッホッ笑ふアオバズクかも

by小林じゃ

父と運転

2019-04-20 09:38:14 | 父の闘病

 85歳の父は現在、喉頭がんの放射線治療のため入院中、1日15分の治療だが安佐北区の自宅から南区宇品の県病院まで毎日通うのは大変だろうと入院になった。家族としては隣町の総合病院に転院してほしかったが本人は田舎の病院にあまり良い印象を持っておらず治療のモチベーションにもかかわることなので仕方がなかった。週末は外泊許可をもらって帰って来て今は外で畑を眺めている。父はまだ車の運転をしていて、最近は町内の医者と車で片道10分、隣町のスーパーまでしか運転してなかったのだけど、今回はがんの検査などのため宇品まで片道一時間を何度か往復した。私は左目の視力がなく自転車でもまっすぐ走れないから免許は取っていない。父は杖をついたりスーパーではカートを押せば少し歩ける。入院中は車は置けないから外泊の行き帰りは不動院でバスを乗り換える。自宅から最寄りのバス停まで私の足で徒歩3分、父は5分以上かかるのだけど、これが限度だ。私が一人で県病院に行くときはJR芸備線で広島駅まで出て、皆実高校の横を通るバス、これが一番早くて運賃もバスを乗り継ぐより安い。しかし私が徒歩7分のJRの駅はバリアフリーの工事を今しているけれど距離だけでも父には厳しい。広島駅でホームからバス乗り場までも父には厳しい道のりだ。戻って来る時は広島駅のバス降り場が福屋の裏でさらに問題外かな。父は外泊の度に家族がバスで一緒に送り迎えというのが不本意で、パスピー(広島地区の交通系ICカード)の使い方をしきりに私に尋ねるのだけど、85歳で足もおぼつかない父を一人でという訳にはいかない。そこは父に言っても中々わかってもらえないから、一人で帰さないように病棟の看護師さんにお願いしてある。幸いなことにPET検査で見つかった結腸のポリープは陰性で放射線治療が終わるGW明けに退院できる予定だ。

 昨日金曜日、父が病院から一時帰宅してテレビをつけたときにやっていたのが、87歳が運転する車に通行人がはねられ死傷者が出たという池袋の事故だった。これはもちろん他人事ではない。父にも起こり得ることだ。しかしながら、加害の可能性を考えると返納した方が良いと理屈ではわかっていても、うちも免許を返納ということにはなっていない。そろそろという話はするけれども、もし車をとりあげてしまったら、田舎での生活は厳しくなる。買い物には行けなくなり、通院もあまり行かなくなるだろう。若い人なら逆に良く歩くようになって健康に良いということもあるかもしれないが、85歳だとそうはいかない。行動範囲は自宅と庭だけになり、歩けなくなる時期を早めることになるだろう。話はしているけれども、あまり強くは言えない。寝たきりになれと命令しているようなものだから。

 父もあと一回更新できるかどうかという話はしている。事故を起こした87歳男性もやめるという話をしていたという。しかし実際は中々決断できない。ネットでは年齢制限という意見も見かけるが、私も更新を厳しくするか、年齢制限があった方がかえってありがたいと思う。決断できない人が多いのは間違いないところだから。厳しくするとなれば地方ではバリアフリーや公共交通機関が充実していないという批判は当然出てくるだろう。地方の衰退や景気という観点からもマイナスかもしれない。しかし、自主返納に頼っていては、池袋のような事故はこれからも起きるのではないかと思う。

 これを書いている間に父は運転して隣町のホームセンターで野菜苗を買い、菜園で作業している。畑仕事は腰を曲げたりしゃがんでいる時間が長く、あまり良い感じはしない。しかし散歩しろといっても杖をついてよろよろ歩くのも心配だ。子としては、父が自分の足で歩ける時間がもう少し続いてほしいと願っている。それにしても免許の事は頭が痛い問題だ。