選手の成長に関して言われ続けていたことです。
選手が記録が伸びないのは、指導者の責任です。
100%ではない理由は、レースで勝つか負けるかという勝負になった時に勝敗を決定づける最後の1%は選手の勝負魂にある、と考えているからです。
そこまで互角の勝負をしていれば、本当に勝ちたいという気持ちの強い選手が勝利すると思っています。
そこに至る99%は指導者の責任であるということです。
よく指導者側から聞くのが「選手が頑張らないから」とか「環境が…だから」というような話です。
私も日々指導していて、そのようなことを口にしたくなる気持ちはよくわかります。
しかし、それを何とかするのが指導者であって、そのようなことを口にしても何も解決しません。
学習でも同じことがいえます。
学習成績が上がらない理由を「生徒が勉強しないから…」という教員がいますが、その時点で教員として失格であると考えています。
スポーツ選手にしても学習を志す生徒にしても、指導者が満足するように自ら率先して努力する生徒などほとんど出会ったことはありません。
こちらが驚くような努力をする生徒もごくまれにいますが、そのような生徒はすでに相当なレベルに到達しています。
練習や勉強をしない生徒をどのように指導するか、ということが私たちの仕事であって、それに対して不満を口にしている指導者の下で成果が上がることはおそらくないでしょう。
人間というのは苦しいことを避け、楽を選ぶのが普通であって、率先して目標実現のために苦しみに耐えようという人は少ないと思います。
すぐに楽な方向へ向かおうとする人が、指導の結果、苦しいことに耐えられるようになることもほとんどありません。
努力が足りない人は、たいてい常に足りないままであって、常に努力の必要性を言い続ける必要があります。
それを諦めていたら成果にはつながりません。
それが人間というものであると私は思っています。
私のこのような人間の見方も、これまでの指導の経験や読書から学んだことです。
そのような見方をしていればそれほどストレスを抱えることもなく、努力が不足している場合の指導の仕方を考えるだけです。
すべての責任は指導者にあると考えるこの教えは、選手や生徒に責任転嫁しないことを示してくれます。
この教えをもっていれば、指導に対する姿勢も変わり覚悟が生まれるのです。
竹村知洋