この教えは水泳部の教えというより、教室で言うことの方が多いと思います。
「文武両道」でも伝えましたが、本を読むということが学習や教養を高めるための第一歩です。
読書というのも習慣であって、読んでいる生徒は誰に言われるまでもなくすすんで本を読んでいますが、読んでいない生徒はまったく本に触れることもないようです。
本を読む習慣のある生徒は概して成績は良好であり、思考や言語にも深みがあります。
読んでいない生徒はマンガどころか、せいぜい雑誌に目を通す段階にとどまっています。
スマートフォンの普及によってますます活字離れが進んでいるようなので、最近はマンガや雑誌でもよいから読むことを薦めています。
本の分野や本を読むことの理由は人それぞれでしょう。
本を読むことがどれほど重要なことであるか、ということは本を読んでいけばわかることです。
思考は言語で行うため、言語力が豊かであれば物事のとらえ方や表現の仕方も豊かなものとなります。
世界や人生に対する見方に深みや広がりがでれば、学習やクラブ活動に対する取り組みも変わってくるはずです。
これらの教えの数々は水泳部に伝えられてきた言葉ですが、その言葉に対する解釈には私が様々な本から学んだことが含まれています。
孔子や仏陀などの言葉を引用することが多いわけですが、水泳部の教えには先人たちの思想に通ずるものが多いと感じているからです。
これまで数千冊という本を読んできましたが、自分の人生や世界に対する見方を支えている本との出会いはかけがえのないものです。
自分が考えていたり、体験していることはすべて先人が経験していることであり、それが著作物として伝えられています。
特に人間を人間らしくする道徳的なことは二千年以上前から普遍的なものとして伝えられています。
私たちはそれを学ぶことで誤った道に進むことなく、安定した人生を歩むことができるのです。
インターネットがいくら普及しても、本の重要性を理解する人がいる以上、日本から紙の本がなくなることはないでしょう。
私が歴史や伝統を大切にする理由も本から学ぶことができました。
それがこれらの教えを大切にしようということにもつながっているわけです。
その考え方もいずれお伝えしようと思っています。
竹村知洋