TREK&RIDE

山と自転車!

薬師・黒部五郎/山スキーツアー (第2日 薬師岳)

2007-05-08 | 山スキー
2007年5月4日 (2日目) 太郎平小屋~薬師岳~中央カール2本~東南尾根~右俣~太郎平小屋

夜半、強い風が吹いていた。明るくなるのを待って布団から出る。窓の外には薬師岳の稜線。雲は無く風も収まっている。まだ静かな小屋から外へ出て日の出を待つ。標高が低いためか思ったほど寒くなかった。


今日もまた非日常な一日の始まり。


薄い青からさくら色へ。


ダイヤモンド薬師?


まるで大雪原のなか基地のよう。

朝食のため小屋に戻り、普段の夕食並みに食事をいただく。

7時15分。
太郎平小屋出発。
ご夫婦、単独テレマーカーさん、僕の4人で出発。他にも薬師を目指す方がたくさん。
シールは薬師峠で貼ってもよいが、面倒なので小屋前で装着した。

7時35分。薬師峠。
ここから登りが始まる。
ご夫婦が先行してガンガン登って行かれる。かなり慣れていらっしゃるようでスキーの扱いがスムーズです。
標高2,550mの平原は新雪で化粧直し。振り返ると北ノ俣、黒部五郎が太陽を浴びて真白に輝いている。
平原を直進し、正面の壁を右の尾根へトラバースしようとしたが、アイスバーンの上の粉雪に板が横滑りして前進困難。堪らずクトーを装着した。
テレマーカーさんも難儀されている様子。アイゼン歩行に切替られた。
ここは夏道が右側の尾根を迂回するように、スキーでも尾根寄りにコースを選択すべきだったようだ。

標高2,650mで休憩していると雷鳥が現れる。
白く小ぶりな姿でチョコチョコと横断してハイマツの中へ逃げ込んでいった。


雷鳥1号。

尾根からは東側の右俣の大きなボウル斜面が覗き込める。
遠くから見ると壁のように見えたが、意外と斜度は緩そうだ。これなら然程怖くない。


薬師沢右俣。帰りに滑ったのは正面右側の沢。

8時35分。標高2,680m。
上部から2人のスキーヤーが滑り降りてくる。随分お早いなぁと思っていると…
なんとH達人とF名人ではないですか!
辺りの「ギャラリー」を圧倒する強烈なオーラを放ちながら颯爽と滑り降りて行かれた。

8時55分。薬師岳山荘。
ご夫婦はかなり先を快調に歩かれているようで姿見えず。

9時36分。避難小屋。
強風。薬師岳山頂までスキーで行くのは不安なので板とザックはデポ。
空身で山頂を目指すことにした。
アイゼンを着けて準備をしているところへ、下からHさん登場!
速っ!黒五小屋からですよね…?


強風なのでスキーはデポしてアイゼンで山頂へ。

9時52分。
Hさんもご一緒にテレマーカーさんと3人で空身で山頂へ。
一足先に頂上を極められたご夫婦と稜線の途中ですれ違う。強風で会話しづらい。

10時02分。薬師岳山頂。
風が強くて景色を楽しめない。
記念撮影をして、カールの偵察。
丁度、金作谷へ滑り込んだ二人組さんが登り返してこられた。
様子をお伺いすると表面の新雪の下の雪は硬いもよう(他の表現を使っておられましたが不勉強なため理解できず…)。ビビッてしまって金作谷はあっさり断念。

隣の中央カールの方がエントリーも緩斜面なので僕でも大丈夫そう。
避難小屋にスキーを置いてきたことを後悔。まだ時間もあるのでとりあえずスキーを取りに戻ることにした。

避難小屋に戻ると、Hさんから「ここから中央カールに滑り込んだら?」とアドバイスをいただく。「1本付き合うよ。」と仰っていただいたので、「それではよろしくお願いします!」と早速準備。


いよいよ中央カールへ滑り込みます。

カールへのエントリーはそこそこ急斜面。最初の2ターンは腰が引けた。
ここで、後から来るテレマーカーさんを確認しなかったため、テレマーカーさんは東南尾根を滑降してしまい、登り返していただく羽目に。確認を怠ったためにテレマーカーさんにもHさんにも大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。

10時57分。中央カール滑降。
カールの底には既に滑り終えたご夫婦が小さく見える。
では行きます!
雪は適度に硬く滑りやすい。巨大ボウルの底に向けて暴走気味にショートターン。
もっと丁寧に滑らないと折角の斜面が勿体ない。
標高差200mは僅か60秒のお楽しみ。


大斜面に優美なテレマークターン

カールの底で全員集合。
ここでHさんは右俣経由で黒部五郎方面へ引き返すため、東南尾根に向かって登り返し。
僕たちはHさんから右俣のコースと太郎小屋への帰着ルートを教えていただいたうえで、もう一本中央カールを滑ることにした。

今度は中央カール北側の尾根を狙う。
東南尾根の頭から滑り込んだみんなのラインが光を浴びて輝いている。



滑降ライン

12時00分。
薬師岳山頂南の稜線到達。
山頂から滑るより、ここからダイレクトに滑降した方が面白いとのことなので(ひょえ~)、シールを片付けてそのまま直ぐに滑降開始。行動が素早い。




12時08分。
僕も少し遅れてドロップイン。なるほど適度な斜度が痛快!
カールの中はどこを滑ろうと自由。みんな思い思いに自分のラインを描いてゆく。


大空を羽ばたく鳥のように…

12時10分。中央カールの底
東南尾根への登り返しのため腹ごしらえとアイゼン装着。
風が煩い稜線と違い、カールの中は静かで快適。

12時30分。キックステップで東南尾根へ。


上手い具合に雪庇が切れていた登り返しの到達点。

12時43分。東南尾根到着。アイゼン外して休憩。
13時05分。さて、本日最後の滑降。お待ちかねの右俣です。

今回滑ったのは右俣のうち、東側の沢。
避難小屋直下よりも若干高度は下がる。
滑り出しから斜度は緩い。午後の時間帯でも雪はまずまず。
丁寧に滑ることを心がけてゆっくり目に滑ってみる。
テレマーカーさんに動画を撮って頂いたりしながら、徐々に高度を下げる。
標高2,500mまで下ると斜度も緩く雪がベチャベチャで板が滑らない。


午後ともなると雪が重い…


事前にHさんに登り返しのポイントとして教えていただいた熊の足跡を発見!

13時40分。
このまま右俣を下ってもしんどいので2,400mから薬師平へシールで登り返し。

14時10分。薬師平。
昨日と同様雲行きが怪しい。さっさと小屋に帰りましょう。

14時22分。薬師峠。
小屋までの登り返しのためシールを貼るが、粘着力はそろそろ限界。

14時50分。
太郎平小屋に無事到着。
お疲れ様でした。何はともあれビールで乾杯!
小屋の前で腰を下ろしてグビグビグビッ。あーっ旨い!

小屋に戻って食堂でもう1回プシュッ!
おかげで、夕食はごはん1杯しか食べられず…


夕食のあとの静かな時間。明日も晴れますように。

夕暮れのシーンをカメラに収めて小屋に戻る。
食堂に集まって翌日の作戦会議。
天気予報は下り坂傾向。富山は晴れだが飛騨は曇。夜まで雨は持ちそうだ。
最終日の目標は黒部五郎岳。黒五の頂を踏んでから飛越トンネルに下山するのは少し欲張りか?しかしみんなの意思は固かった。
11時を引き返しのタイムリミットに設定して黒部五郎岳にアタックすることで全員一致。

部屋に戻って、今宵もバーボンをいただく。
贅沢な時間が静かに流れる。

つづく

薬師・黒部五郎/山スキーツアー (第1日 北ノ俣岳~左俣)

2007-05-07 | 山スキー
2007年5月3日 (1日目) 飛越トンネル~北ノ俣岳~左俣~太郎平小屋

前夜、飛越トンネルまでは車で入ることが出来た。事前の小屋からの情報では手前2キロから歩きとのことだったが、GWも後半。好天の後の降雨で一気に雪解けが進んだのか、行動時間が短縮できて大助かり。

朝、準備をしていると駐車スペースでGW前半に御一緒したHさんと再会。Hさんは黒部五郎小屋ベースで黒部から薬師までの広大なエリアを満喫されるとのこと。これから3日間お互い楽しい山スキーができればいいですね。

5時55分。飛越トンネル出発。
暫くはスキーを担いで夏道を歩く。
程なくして雪は現れたが、アップダウンが続くようなのでスキーは履かずに担ぎを継続。1時間程歩いてからスキーを履いた。

7時38分。神岡新道分岐。
この辺りで先行されているご夫婦と単独行さんの姿があり、会釈。

8時30分。寺地山。
薬師岳の展望が得られる。写真を撮っていると先程のご夫婦、単独行さんが到着され、会釈。


これから登る北ノ俣岳の斜面。

9時10分。避難小屋附近。
長かった尾根歩きを終えて北ノ俣岳の広大な斜面に取り付く。先行しているHさんの姿を探したが分からなかった。
快晴のもとで広い雪の斜面を登るのは実に爽快だ。

10時45分。北ノ俣岳山頂。
稜線に出ると、東側に広がる大パノラマ。午前中に目にしてきた景色とは全く異なる山岳景観が僕を圧倒する。頂上にはHさんが到着されていた。
まだ時間が早いので、このまま太郎平小屋直行で終了するのは勿体ない。薬師岳も考えてみたが時間的にも体力的にもかなり厳しいので、どこか楽しい所が無いか教えを請うと、「ちょっと冒険してみますか?」と左俣へ滑り込むルートを地図で丁寧に教えていただいた。
沢の下部は雪が割れている心配があるとのことだが…ここは一丁挑戦してみるか。

黒部五郎小屋へ向かうHさんの背中を見送ったあと、東に広がる大展望をボーっと眺めて過ごす。


Hさんが向かった黒部五郎方面。


黒部源流が見渡せる。


水晶岳のスカイライン。雲が次第に多くなる…

11時33分。
冒険の始まり。少し不安に揺れる気持ちを整えて北ノ俣岳東斜面にドロップイン。


気持ちいい~。

東斜面は上部を含めて傾斜は緩い。雪は硬く締まっているのでターンは快適だった。
広大な斜面に一人ぽつんと立つ。ここから下部は未知の世界だ。不安を前に僕の冒険心は竦んでしまう。登り返した方が安全だろうか…

沢筋に直接下りるとどんな地形に阻まれるか不明なので、やや高巻き気味にトラバースして谷の様子を窺う。
暫くトラバースを続けたが、次第に高巻きのし過ぎで谷との標高差が広がり過ぎた感あり。どうやら沢はしっかり雪が埋まっている様子なのでここで沢まで下ってみる。
沢はやや広め。初めのうちはデブリも無く順調に進むことが出来た。標高2,150mに記された滝も雪の下なのか気がつかなかった。


開放的な沢。滝はどこ?

標高2,080m以下では所々に大きな穴が現れる。ホールの下を雪解け水が流れ行く。附近に割れ目が走っているところは結構不安。ドカンと雪が陥没しないように場所を選びながらソロソロ通過。

標高2050m。沢が右に折れる地点は雪が崩れて前進困難のよう。丁度ここは太郎山へ向かう沢の方へ小尾根を乗り越えるポイントのようだ。一本のトレースに従って尾根に上がった。

12時10分。
尾根上は絶好の休憩ポイント。黒部源流地帯の片隅に身を置き、静寂を味わう。
休憩していると単独スキーヤーの方が到着された。静かに写真を撮りながら体を休める。


お昼寝していたいポイント。

12時45分。太郎平小屋に向けて登り返し。
トレースが残っていたのでこれを辿る。暫くしてトレースは沢寄りに降りていたが、僕は雪割れを心配して沢に降りなかった。これがちょっと失敗。その先で崖の上に出てしまう。足元に2,074mの平が見えるのでここは沢に下った方がよさそうだ。下りられない傾斜ではないので斜滑降で沢に下りる。丁度、北ノ俣岳から北北東に延びる尾根を滑降してこられたパーティーも沢に降り立ったところだった。

13時10分。
先を失礼して前進。少し先で再び沢が割れていたので、地形図上の夏道尾根へ登り上げているトレースに従う。ここから稜線までは標高差300m弱だが、これが結構キツイ。重い足をエイコラエイコラ掛け声をかけながら持ち上げる。
やっと太郎平小屋が見えてからも太郎山までの道が長く感じられた。


時折水晶岳の雄姿を振り返っては慰める。

14時15分。
小屋までの少しの斜面を滑ろうと太郎山でシールを剥がしていると上から白いものが…霰が降ってきたようだ。急いでザックを担いでスキーを履く。


小屋までひと滑り。急に天気が崩れてきた。

14時18分。
太郎平小屋到着。小屋の前にスキー板は意外と少なかった。

それでも個室は満室のようで、単独行は大部屋へ割り当てられる。
ひんやりとした大部屋の一角に腰を下ろして部屋着に着替えるが…迂闊にも持参したのは普通のジャージ…。この時期ならダウンやフリースを持って来るべきなのに、久しぶりの小屋泊まりに感覚がズレていた。冷たい布団に潜り込み夕食時間を待つ。トタン屋根を霰が激しく叩きつけ雷鳴が響く。

夕食の折、隣に座られた単独テレマーカーさんとお話しする。朝、寺地山あたりを同時刻に歩いておられた方と判明。失礼いたしました。
明日の行程をお聞きすると、薬師岳へ向かわれるとのこと。僕も薬師岳へ向かうと述べると、寺地山あたりでお会いしたご夫婦と薬師方面を滑られるとのことで、僕もメンバーに混ぜていただけることになった。

夕食後、食堂で地図を広げて作戦会議。地図を見ながらコースを組み立てるのはとても楽しい。時折全く違う山域の話題に脱線して盛り上がりながらも、明日は薬師岳から雪の状況をみて圏谷群を選んで滑り、最後は右俣を滑って小屋へ帰着するルートに決定。

このあとは、単独テレマーカーさんが振舞ってくれたバーボンで乾杯。
部屋に帰ってからもバーボンをいただきながら21時の消灯まで話し込んでしまう。
バーボンをいただいたおかげで体は温まり、冷たい布団の中でも凍えることなく朝を迎えることができました。

つづく

薬師岳~黒部五郎岳ツアー

2007-05-06 | 山スキー
GW後半は太郎平小屋をベースにして、憧れの薬師岳・黒部五郎岳ツアーに行ってきました。
予想以上の好天のもと、素晴らしい方々との再会・出会いに恵まれ、幸せな3日間を過ごすことが出来ました。
改めて山スキーの魅力と奥深さに触れることが出来た最高のツアーとなりました。


黒部五郎岳では雷鳥のつがいの歓迎を受ける(お邪魔でした?)

詳細はのちほど。

白山(東面台地)/山スキー

2007-05-02 | 山スキー
2007年4月30日 白山(東面台地)

前日の飛騨沢ワンデーで疲労困憊。温泉に入るのもやっとこさ。身体は食事を受け付けず、高山で蕎麦をツル~っといただくのがやっと。
新穂高から平瀬まで3度も車を停めて仮眠。やっとやっとで22時前にゲート前に到着した。
自転車を車外に下ろしてシュラフに入る。チャックも締められずにそのまま寝てしまった。

朝3時。近くに車が止まり目を覚ます。そろそろ早い入山者は自転車を漕ぎ出す頃か。目は覚めたが気分はどんより。
4時頃、また別の方が自転車で出発されるのをシュラフの中からお見送り。

やはり体調不良。モチベーションゼロ。自分への言い訳を見つけて今日はこのまま帰ろうかと思っていた時、車の窓をノックする音。
ドアを開けると、なんと昨日槍ヶ岳を御一緒いただいたHさんの姿。
「ご一緒しませんか?」のお誘い。
もちろん「是非!お願いします!」
不思議なもので体内のボルテージがキュイーンと上昇する。大慌てで準備開始。

5時00分。
モタモタしている僕を気長に待っていただき、漸く出発。
ペダルを漕ぎ出すと意外と身体は動くようだ。要は気持ちの問題か。

5時10分。
飲料水を車に忘れてきたことに気付く。
ダッシュで車まで取りに戻る。
無駄な時間をロスしてしまい、大変なご迷惑をおかけてしまった。

5時20分。
持ってきた飲料水をザックに詰め直し、白水湖を目指して再出発。ゲートから13キロの自転車漕ぎは所要2時間ほどらしい。
道は概ね川沿いで全舗装なので辛くは無い。むしろこんな天気の良い朝に自転車+山スキーが楽しめて…と前向きに考えてみた。


あの白き峰の頂きまで…ペダルを漕ぎ行くHさん

7時00分。小白水谷にかかる橋の先のカーブを曲がったポイントに到着。
7時20分。道端の斜面に取り付いて籔漕ぎ開始。辺りには雪は殆ど無い。小さな尾根の裏手に雪があるとは俄かに信じ難い状況。
それでも100m程余分に進めば雪が現れた。
こんなところHさんに導いてもらわなければ、僕一人ではきっと彷徨するに違いない。

雪は所々で切れており、籔を避けながら前進。
標高1,500mの先、急斜面を乗り越えれば植生が変わり、岳樺の疎林が現れてくる。
東面台地に乗っかったイメージ。落ち葉やブッシュも無い快適な雪面歩行に気持ちが楽になる。

前日の槍行きの歩き出しが氷点下の冬山モードだったのに対し、今日の白山は太陽が照りつける東斜面。汗は噴き出し喉が渇く。二人とも飲料水が不足がちで、雪をすくってペットボトルの水を増す。



転法輪谷と小白水谷に挟まれた広い台地の左側にルートを取り、標高1900mの平原に出る。

9時45分。標高1,910m地点。
スキーを脱いで大休止。前方の谷の中に先行者お一人の姿あり。


雪原にゴロンと横になって骨休め。


谷は広くて静か。シュルッシュルッとシールの音。

白山主峰の御前峰へはこのまま転法輪谷上部を詰めて御前峰の南のコルへ上がるルートを選択。
直射日光で雪が緩み歩きづらいが、谷の斜度は怖さを感じるものではない。クトーなしでコルまで登りつめた。

11時30分。標高2,490mコル到着。
少し霞みがかかっているが北アルプスの全山眺望。



御前峰へはコルから山腹を少し西側に巻いて直ぐに直登ルートを選択。
これがなかなかハード。ザクザクの雪に板が滑り、急斜面での登高はシールの限界。
最も勾配のきつい所は堪らず板を脱いだ。


標高2,490mコルから見上げた御前峰。左手のスカイラインを回り込んだ斜面を登った。


急斜面を乗り越せば、ラストは緩やか。白い雲が美しい。

12時25分。御前峰山頂到着。
今日は風も穏やかで周囲を見渡す余裕あり。


大汝山。


別山。

それでも、普段に比べれば周囲の山へ注意が向かない。
写真も雑。やはり余裕は無い様子…

13時10分。
結構山頂に長居したようだ。久しぶりにワックスを塗って滑走開始。
まず山頂から2,490mコルまで滑走。ザラメ雪が気持ちよい。

その下ボール状の大斜面。遮るものはありません。


Hさんのスーパーターン。


快適なザラメ雪。少し上手くなった気分にさせてくれる。


途中から台地方面へ大きくトラバース。

御前峰と剣ヶ峰の山体がどっしりと立ち上がる景観は迫力満点。
二つのピークに挟まれた中央の凹地が直登ルートか。
僕が今日登らせてもらったルートに比べて斜度も雪の状態もワンランク上とのこと。
そんな斜面には一本のシュプールが描かれていた。


輝き放つ白山東面


僕たちが滑った谷も午後の光を浴びてきらめいていた


のびやかで優しいラインが好き

台地上の滑走は緩急を繰り返していくらでも楽しめる。
こんなに登ってきたのかな?と思う程滑走距離は長い。


Hさんに置いていかれながらも、何度も何度も振り返る。
背中に目が欲しい…


もう少し早い時期なら、白い雪と点在する木々との競演も素敵だろう。

標高1,450m地点まで下ったあたりからブッシュが目立ち始める。
雪を追ってそのまま下っていると、登りルートから逸れて籔の罠にはまってしまった。
地図上1,407m付近で雪が切れたため、急斜面からスキーを放り投げて籔漕ぎ。子供の頃近所の山での探検ごっこを思い出す。

標高1,350~1,300mのダイラは籔ランド。蔓と小枝が板に絡まってイライラする。
最後は林道に向けて尾根を登り返すだけだが、昨日と同様ノックアウト。

14時40分。林道到着。
林道に下りた時はそのまま座り込んでしまった。

14時45分。自転車でダウンヒル開始。
今日は舗装道路なので楽ちんだ。
ガードレールのない崖から転落したら命は無いので安全に下る。
下まで下りてくると大白川渓谷の水の流れと新緑のコントラスト。儚げな山桜も色を添えて美しさを引き立てる。

15時15分。ゲートに無事到着。
一人ではとても山頂に達するモチベーションはなく、何よりルート選択の判断が無理だったと思う。
無事白山東面台地を楽しませていただけたのはHさんのおかげです。ありがとうございました。
そして昨日から2日間、お天道様がプレゼントしてくれた最高のお天気。ありがとうございました。

自転車を車に積んで、Hさんと別れ、158号線を南進。荘川桜はまだ見頃を迎えていなかった。
何かお腹に入れなければと思ったが受け付けるのは蕎麦くらい。今日も荘川蕎麦をいただいた。
一杯のなめこ汁が五臓六腑に染み渡る。熱いお椀を抱えるようにありがたくありがたくいただいた。

槍ヶ岳(飛騨沢)/山スキー

2007-05-01 | 山スキー
2007年4月29日 槍ヶ岳(飛騨沢)

GW開幕直前、飛騨の超人Hさんから槍日帰りのお誘いをいただいた。
自転車山行初体験への不安もあったがこんな素晴らしい機会はない。是非と思い、参加を申し出たろころ、快くご了解をいただいた。

今回は未だ経験したことの無いハード山行になりそうだ。足並みを乱して迷惑をかける訳にはいかない。睡眠時間確保のためアクセスはオール高速。通勤割引トリプル効果で懐の傷は浅めで済んだ。
21時半には新穂高に到着。約束の3時出発まで十分睡眠は取れそうだ。
しかし…神経が昂ぶっているのか、出発前に注入した「眠眠打破」が効き過ぎなのか…結局一睡も出来なかった。

3時前。予定どおりHさんと待ち合わせ。同行のTさんとご挨拶。よろしくお願いします!

3時00分。新穂高温泉駐車場出発。
スキー板を担いでの暗闇チャリ漕ぎは大変そう。ツアーブーツでのペダリングも心配だ。
駐車場を出てからバスターミナルへの連絡歩道の階段でいきなり転倒。前途不安…

4時00分。穂高平。
東の稜線が白みはじめるが、まだ空には星が瞬いている。
ツアーブーツのペダリングは意外とスムーズ。というか、歩いて押した区間が殆どだった…。

4時27分。柳谷。
柳谷のU字カーブを過ぎた所で自転車をデポ。シール歩行に切り替えるため準備。


薄暮の中に笠が岳が青白く浮かぶ。

4時38分。行動再開。
林道の雪はしっかり残っている。行きは白出小屋までスキーを脱がずに歩き通すことができた。

5時02分。白出沢。
抜戸岳の稜線が鮮やかなオレンジ色に染まる。
これから展開される朝焼けの情景をじっと見ていたいが、先を急ごう。



白出沢から5分程歩いた所で夏道を離れ、右俣谷へ下りる。
右俣谷左岸の雪はまだ十分残っており、行く手を阻む困難な地点は無かった。時期は今回の方が多少早いが、過去2回通過した時よりも雪量は多い。

6時30分。滝谷。
前日の降雪で滝谷も冬景色。沢にはたっぷり雪が堆積しており、通過に問題はなかった。


今日はより一層人を寄せ付けない雰囲気、雪の滝谷。


槍平へ向けて高度を上げてゆくと、後に穂高連峰が朝日を受けて輝いていた。


樹林を抜ければ槍平。雪はフカフカ。今日はまるで冬山のようだ。

7時22分。槍平避難小屋。
ここには、Hさんのお仲間が前日から入山している。この時間なので既に槍に向かって出発しているようだ。


槍平から涸沢岳を仰ぐ。

7時37分。飛騨沢に向けて行動再開。
先行の方のトレースを使わせていただいていて快適なハイクアップ。
最高の晴天、極上の雪景色。鳥の囀りが心地よい。
「鳥も喜んでますね」とHさん。


右俣谷と違って実に快適な飛騨沢下部。


今日はどの山行っても当りのようです。


快調に高度を上げる。気持ちいい。

9時頃になると、飛騨乗越から下山してくる登山者の方とすれ違う。
前日荒天だっただけに、フカフカの雪を跳ねて下る足取りも軽やかだ。
皆さんニコニコ顔で下って行きます。


この景色を見れば誰でもニッコリ。

10時13分。
標高2,870mまで上がった所で、上部から紅一点。単独行さんがひらひらと舞い降りてきた。Hさんのお仲間だ。
もう飛騨乗越まで達して、滑り降りてきたとのこと。速いです。
後ほど再会することを約して一旦お別れ。


GWにして雪は極上。昨日荒天の中頑張られたご褒美のようです。

10時44分。飛騨乗越。
GWの槍に付き物なのか?稜線上は今日も烈風。
風除けにもならない岩陰でアイゼンに履き替える。


眩い氷を纏った槍の穂先。槍沢からは続々と登山者。

11時10分。行動再開。
11時27分。槍岳山荘。
山荘前も強風。荷物をデポして山頂を目指す。
この時は雪の状況を甘く見ていた。自分も登れると軽く判断してしまったことに、後で後悔することになる。


いざ、山頂へ。

穂先へのルートは僕には厳しかった。ステップと鎖でルートは出来上がっていたが、雪が緩み始めた箇所はピッケルが効き辛く、肝が縮み上がる心地。途中で引き返すことも出来ず泣きながら最後の梯子に辿り着いた。

12時10分。槍ヶ岳山頂。
山頂からの景色を楽しむ余裕はあまりなかった。
下山のことで頭がいっぱい。


山岳展望を楽しむ余裕もなく…


穂高を眺める余裕もなし。


異様な美しさを放つ天上沢上部。

12時25分。下山開始。
下山はHさんにアドバイスしてもらいながら慎重に下った。
ホールドし辛い岩場の通過は冷汗ものだが、何とか無事通過。
13時06分。無事槍岳山荘に戻れた時は、どっと疲れが出た。

13時30分。滑走準備を整えて槍岳山荘出発。
飛騨乗越へはカリカリアイス。乗越下部の岩は露出しておらず、やはり多雪の印象。

13時45分。飛騨乗越直下。
アイスバーンはほんの僅かの区間。そこから先は最高の斜面がずーっと続きます。
午後になっても雪の状態は良好。GWにパウダーです。


感動するほどのスーパーテクニック、Hさん。


肩で息をしながらシュプールを見返る。


穂高をバックに最高のロケーションを滑るTさん。


こんな美しい雪景色を見られるとは思わなかった。

14時10分。槍平。
Hさん速すぎです…。僕は全身ガタガタ来てます。

ここから白出沢まで地獄のダイラ。
HさんとTさんはヒョイヒョイとブッシュを避けて滑ってゆくが、僕は小枝と悪戦苦闘。
デブリの通過もままならない。

最後の白出沢への登り返しでノックアウト。「難行」「苦役」とブツブツ呟き喘ぎ声。

15時18分。白出沢で大休止。
15時40分。柳谷で自転車に乗り換え。
16時05分。新穂高温泉直前の作業場で先に下山していたSさんに再会。
16時23分。無事新穂高温泉駐車場に到着。

まさか飛騨沢ワンデーが実現するとは思っていませんでした。
無事槍の穂先まで登頂させていただき、GWのパウダー滑走。
最高の1日を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

さて翌日も晴れの予報。
半日程度の軽いコースがあればいいのだが…
Hさん、Tさんの話を聞いているうちに「白山東面台地」に行きたくなってきた。
せっかく自転車も積んできているので、下部だけでも様子を伺いに行くことにした。
疲れた身体に平瀬までの移動がまた「苦行」だった。