札幌・北海道のレトロ建物大好きおぢさん日記

札幌(北海道)のレトロでモダンな建物を見たり撮影するのを趣味としています。

札幌の建築探訪 中央区⑦ 

2023-05-14 21:43:55 | 札幌市中央区

⑦からは書籍「札幌の建築探訪」以外に気になった中央区の建物を載せて行きます。

 

「PIVOT」

 

所在地:札幌市中央区南2条西4丁目
建設年:平成7(1995)年改築開業 
指定等:なし

 

令和5(2023)年5月16日で「PIVOTピヴォ」は閉店する

令和元年ダイビルが買収し、近隣のビルとともに再開発をすすめることになった

ダイビルにより近隣のペンタグラムビル、ダイビルピヴォ南館(旧桂和MTビル)とともに、令和5年中に解体されることになり、5月16日に営業を終了することになった

※一部wikipediaより

 

 

元は昭和43(1968)年開業の「中心街デパート」である
その後、昭和48(1973)年に北海道1号店である「ダイエー札幌店」が開業した。

昔の札幌駅前通りは小さな商店が多く、これらが集合し寄合百貨店として新築・開業した例が多い

北隣の「旧4丁目プラザ」、南隣の「ナナイロ(旧コスモ)」、さらに南隣の「アルシュ(旧エイト)」などがそうだ。

このようなビルは地権者が多く、まとめづらい印象がある。

ただ「中心街デパート」は創業者がいたようで、後にセントラルホビーをPIVOT内に移転開業している(その後移転)

 

私は当時札幌に居なかったのでダイエーが来た時の盛り上がりは知らないが
おそらく大賑わいをしたことだろう。

 

このビルは地下街ポールタウンに直結している

 

 

 

私が覚えがあるのは札幌に移住し、地下からダイエーに入り食品を購入したこと

 

それと当時1階にあった「大中」によくウィンドウショッピングをした
(記憶は定かではないが同様の店舗で「文化や雑貨店」でよく買物をしていたからだろう)


※昭和62年発行 さっぽろタウン情報別冊MESHより

 

当時の雑誌ではここは「ダイエー」だ。


※昭和62年発行 さっぽろタウン情報別冊MESHより

 

なので正直「PIVOT」に関しては「4丁目プラザ」のような思い入れは
ほとんど無いのだが

 

 

やはり長年そこにいたビルが無くなるのは寂しいものだ

 

ペンタグラムビル

昔、セントラルホビーがあった

 

ダイビルピヴォ南館

 

 

 

PIVOTパーキング

 

 

 

これらがすべてなくなるようだ。

 

 

はす向かいで開業を待つ「moyuk SAPPORO」のような
個性のあるビルになればなと思うがどうか。

 


2023年5月撮影

 

 

 

「4丁目プラザ」

開業:1971(昭和46)年
閉店:2022(令和4)年

中央区南1条西4丁目

 

4丁目プラザは「4プラ(よんぷら)」の愛称で長らく若者に親しまれたファッションビルである。

老朽化により2022年1月31日をもって閉店、解体される。

中央区の南1条西4丁目という札幌市内でも有数の場所にある
駅前通りを挟んでパルコ、斜め向かいには三越
そして市電の駅もあり、地下では地下街が接続され地下鉄駅やススキノへも行ける。

それによりもっとも地代の高い場所の一つです。

開業の1971(昭和46)年は札幌オリンピックの前年にあたり札幌地下街と市営地下鉄が相次いでオープンした。また多くのビルが新築され札幌市がもっとも盛り上がっていた時代でしょう。

その4プラが閉店するとのことで昨年の8月に外観を
12月に7階を撮影してきた。

 

 

 

 

 

 

7階には過去のポスターが展示され、初めて見たものも多かったが
当時はバーゲン時などTVCMをやっていたのを思い出した。

 

 



このフロアマップは1987(昭和62)年のタウン誌に掲載されたもので
それでも35年前の店舗ですよ

店舗名を見ると札幌パルコがDCブランド中心だったのに対し
4プラはリーズナブルなカジュアルなイメージ。

 

個人的には7階の「自由市場」ばかり行っていたので多少思い入れもある

「自由市場」は、このエスカレーターに架かるゲートがまだあった!
残念ながらライトは点いていなかったがそれだけが記憶あった。

なんかもっと暗くて小さな店がごちゃごちゃしたイメージがある
もう閉店するので早めに退店したお店もあるんだろうね
それでもこんな明るかったかな?

 

ここではとにかく中古レコード店へ行った
「records-records」だった気がする 結構買ったね
そのすぐそばにファッションの「boogie boy」にも好きなブランドがあったのでよく購入した。

 

「文化屋雑貨店」は流行ったなぁ 私が行ったころは今の裏参道にあったと思うが
また同じような店で「大中」がコスモかエイトにあった記憶が…

6階のハッシンフォーメンではコートやシャツを買った
2階のアルファベット・クラブは当時10代~20代前半くらいがターゲットの
「45RPM」ブランドを売っていた 私も「ボーイズ45」のシャツとか買ったっけ。

 

昭和62年ごろの中心部
左の端に4プラがあり南隣りがダイエーだった(現ピヴォ)
さらにコスモ(現ベガスベガス)

ほかにYES、金市館、長崎屋、東宝日劇とか…
ほらね、やっぱり懐かしむ内容になってしまったよ
30年くらい行っていないのにねぇ

 

同じように4プラはたくさんの人が利用しただろう
普通のビルと違い、常に大人数の出入りがあったからさ
建物も疲れ果てたしこれでお役目ごめんだ

 

長い間本当にお疲れ様でした

 

 

 

「旧伊藤義郎邸」 

 

伊藤義郎氏は伊藤組土建の名誉会長で札幌の経済界、建築業界、ほかスポーツ界などでとても高名な方

この方の邸宅は札幌市民の中でもトップクラスに有名で、また名前でピンとこなくても場所を見れば納得でしょう
その住所は中央区北5条西8丁目にある

グーグル衛星写真で大体の位置を

中心部全体にすると小さくなるが、中央の大きな緑地が「北大付属植物園」で
その右上の一角に隣接してある緑地が「旧伊藤義郎邸」です
現在の衛星写真では緑地の真ん中にタワーマンションが建っているのがわかる

ちなみに左下の一角の緑地は「知事公館」真ん中下の緑地帯が「大通り公園」、植物園の右隣が「旧北海道庁」
真ん中上部に切れているのが「北海道大学」です。

こうしてみると大きな緑地を中心部に持っており、かつ個人の住宅などここしか見当たらない
その規模が伺えると思う。

伊藤邸の隣、7丁目の京王プラザホテル、5丁目のセンチュリーロイヤルホテルの上階から西を見ると
まるで北大植物園の別庭のように見えるのが伊藤邸であった。

 

 

この写真はかつての伊藤邸です


*平成2年発行■さっぽろ文庫・別冊■ いまむかし札幌を歩く<第三部-ふるさとさっぽろ>より

 

赤い屋根に黒地の板張り、窓枠は白い上げ下げ窓、玄関上のバルコニーなど今現在見ても
とても素敵で素晴らしい邸宅です (確かこの後に改装をされたと思う)

また敷地は約1・4haもあり、大古からの樹木や植物、湧水が出るメムの跡などから開拓当時の札幌の原風景が残っている貴重な土地とされてきた。

付近は市民の散歩コースでもあり多くの人が伊藤邸の門構えを見てきたことであろう。

 

伊藤家では後継者難などから土地を一部手放して土地の有効活用を模索したが
そのようなこともあり、伊藤家のみの問題ではなく札幌市の都市計画審議会では保存か開発かで大きく揺れたそうだ

それで邸宅の部分の開発は認められたが樹木のある土地の部分は保全するということで開発の許可が下りた。
住友不動産が伊藤邸の建っている敷地約0・5haを取得しタワーマンションの建設を始める

 

2012年ごろから売却、開発の検討を始め、一時は札幌市が買い取る話もあったようだが
自然景観を守りながら開発したい伊藤氏の意向と合わなかった。


伊藤邸は2015年11月に取り壊され 伊藤氏は別所に住まわれている
2019年に「ラ・トゥール札幌伊藤ガーデン」が竣工した

 

 

北5条通りに面している伊藤邸正門から歩いてみた

マンション部分以外の樹木地は伊藤氏の所有のままである
よって正門と表札は残されたのであろう。

 

おや?

正門の横に新しい小屋があった
ここには「伊藤 受付」とあり警備員?が常駐しているようだ

確かこのような小屋は以前はなかったので新しく設けたのであろうが、黒地の板張り、赤い屋根、窓枠の白色は旧伊藤邸を彷彿とさせる
もしかして旧邸を解体したものを再利用したものならいいねぇ?

マンション建設の事情を知らないと奇異に映るかもだが
この土地の所有者は伊藤氏と住友不動産である。

 

塀の中はもちろん、歩道にはみ出して原始の樹木がある
塀は以前からのもの

 

石山通方向の西に堀沿いに進むと、また小屋があった
ここは昔からある小屋である
何に使用しているかは不明だが…

高床なので中に何かしらの保存をしているものか
もしくは庭の管理小屋として機材などがあるのだろうか

 

旧伊藤邸時代の小屋、塀、街灯を

 

9丁目で敷地は終わるので右折する
堀はグリーンの壁になった

これは新しく塗り替えたようですね
やはり樹木の保全が第一なようだ

 

函館本線の高架に当たるところで右折する
ここは「北6条エルムの里公園」として住民のオアシスでもありバスケットのハーフコートもあり
若者も利用している

ここからタワーマンションが臨める

 

最近は近隣のサラリーマンによる喫煙、禁止の自転車の往来、若者が増えたことにより治安の心配など
評判が今一つなのは残念だ。

 

ここを抜けて右折すると東向きになりタワーマンションの入口がある
真向かいは京王プラザホテルの駐車場出口と業者の納品場所と少々せわしないかな?

旧伊藤邸のころは右手に建物があった

*2010年グーグルストリートビューより

シャッターが見えるのでガレージのようですね。

 

 

マンションの内容を見て初めて知ったのだが、敷地内は完全に分かれており
住民だからといって伊藤氏所有の緑地帯に入ることは出来ないようだ
*上画像の左端に塀が出来た

ここで約1周をしてきたね

 

 

さて伊藤義郎氏は伊藤組土建の3代目社長であった。
それだけ会社は古くから土木、建築業界の発展に寄与しているし
ご本人は札幌経済会の重鎮である。

 

初代社長は越後からの移住者である伊藤亀太郎氏で創業者である
創業は明治26(1893)年。

2代目は伊藤豊次氏、そして3代目が伊藤義郎氏である
その後の社長は伊藤家からではない。

初代から3代目までに多くの歴史的建築物を建設した
社歴に従いいくつか紹介をします。

 

明治31(1898)年 ジョン・バチェラー博士邸

現在は北大付属植物園内にあり

 

明治41(1908)年 札幌駅舎(3代目)

現在は北海道開拓の村にあり 3/4のスケールである

 

明治42(1909)年 古河記念講堂

現在は北海道大学内にあり

 

大正13(1923)年 北海道拓殖銀行小樽支店

現在は似鳥美術館である

 

昭和2(1927)年 札幌北1条教会


*伊藤組土建株式会社 HPより 現在は取り壊し済 
同設計者、田上義也氏により新しい北1条教会が、また羊ヶ丘展望台にも1/2で再現されている

 

昭和9(1934)年 小樽駅舎

 


昭和45(1970)年 真駒内スピードスケート競技場

 

 

歴史と実績のある会社なのでもちろんこれ以上に
たくさんの人が知っていたり利用している施設がある
現存しているもので代表として

明治35(1902)年 旭川偕行社
昭和43(1968)年 北海道庁庁舎
昭和45(1970)年 北海道百年記念塔
昭和48(1973)年 道立近代美術館
昭和54(1979)年 札幌市青少年科学館
昭和57(1982)年 道立三岸好太郎美術館
昭和61(1986)年 アスティ45ビル
平成5  (1993)年 テルメインターナショナルホテル
平成6  (1994)年 札幌厚生病院

この他にもたくさんありますよ。

平成25(2013)年には創業120周年記念式典を行った。

 


最後に余談であるが伊藤義郎氏には伊藤組土建会長、伊藤組社長のころに何度かお目にかかったことがある
伊藤氏が来た時の役員さんをはじめ部課長職たちの緊張がありありとわかった
社員への指示を聞いていたが1ミリの妥協もしないイメージだった
さすが30歳で伊藤組土建の社長になられたオーラがあったなぁ。

 

 

 

「第2弘安ビル」 

所在地:札幌市中央区南7条西1丁目13
建設年:昭和48(1973)年竣工 
指定等:なし

 

第2弘安ビルは南7条橋のたもとにあり、閉館した札幌第一ホテルの隣の敷地にある
個人的には会社で営業をしていたころ何度か入館していたビルだ。

規則正しい区分けされた外観、最上階だけ違うのが印象的。

今改めてビルを見て驚いたのは向かって左ハジにある展望?エレベーターだ
東急デパートや旧ラフィラのような商業ビルではお馴染みだが
このような事務所のテナントビルにあるとは。

敷地内にはほかの弘安ビルがあるが、内部の駐車場へはトンネル型の入り口から入る
なぜ普通に角型ではなく弧を描いたのか興味がある。

 

札幌オリンピックが昭和47(1972)年で、この前後でたくさんのビルが建てられた
そして築50年を迎えて建て替えが特に札幌駅から大通にかけて進んでいる。

この第2弘安ビルの外観を見ると確かにレトロっぽい印象はあるが
建て替えはまだまだ先に見える。

 

 

 

 


2021年8月撮影

 

 

 

「北海道建設会館」 

 

所在地:札幌市中央区北4条西3丁目
建設年:昭和41(1966)年竣工 
指定等:なし

 

北海道建設会館は株式会社であり、設立は昭和24(1949)年であった。

その後に昭和41(1966)年に正式名称を「北海道建設会館」と改称し現在に至る
テナントビルで建設業界の団体や各種団体、以前は岩手銀行もテナントで入っていた記憶がある。
私も過去の仕事で何度かビル内のテナントに営業をしていた。

外装等は補修しているが築60年にならんとしているビルには解体、改築の話題があった

そこで思い出したのが駐車場である。

 

このビルの駐車場は日本でただ一つの構造である。
施工は三菱重工業株式会社が請け負った。


以下公式HPより

【旋回式立体駐車場・スターパーク式カーエレベーター】

・円筒のエレベーターシャフトをポイントとした美しい外観を持っています。
・エレベーターが旋回しながら昇降し所定位置方向にケージ出入り口が開閉するので処理は迅速です。
・駐車階から同階のオフィスへ直行できるという利便性を備えています。
・スムーズな旋回塔の動きに重点がおかれた設計は、機構も簡単であり安全性・高い耐久性が保証されています。
 

公式HPより
 

【駐車方法】

1 車両は自走でエレベーターケージ内に乗り入れます。

2 係員がエレベーターケージ内の操作盤の押しボタンを押すことにより、入口扉が閉まりエレベーターは昇降  と旋回を同時に行い、所定階に停止します。   

3 押しボタン操作により扉が開けられ、車両は自走で駐車位置に移動し、駐車操作を完了します。
 
4 車両は原則的に、エレベーターシャフトを中心として、放射状に格納されます。
 

公式HPより 建築時の見取り図


目的のフロアに停めれるのは素晴らしい

駐車代金は 200円/30分 札幌駅前の一等地である。
11月に久しぶりに利用した。(前記の閉館したホテルを撮影のため利用)

 

 

 


階段もレトロだ

 

 

 


2022年11月撮影

 

中心部に車を入れると旋回しながら上下するのである!
これは子供なら喜びそうだ。

車内から撮影をしていると係りの方が気づき
「一度最上階まで行きましょう」と言って動かしてくれた。

なんと素晴らしい係りの方だろう
また撮影するお客さんも多いのだなと推測できる。
(あくまでも平日で空いていた時間だからと思うので引き合いに出すのは止めてね)

 

ビルのためにも、そろそろお役目ごめんで良いのかと思う
今回はいつ解体になるかわからないので行けるうちに行ってみた。

ちなみに駐車までの動画撮影もしたが「gooブログ」では動画のアップが出来ないので
興味のある方はYouTubeにいくつかの動画が投稿されているのでそちらで確認を。

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿