NHKドラマ「白洲次郎」の原作者、北康利氏の講演会が母校であり、行ってきました。
1、人生は捨てたもんやない。
北氏は、母校を卒業したあと東大法学部に進学し、世の中を良くする為に高級官僚→政治家の道を志しますが、国家公務員試験をパスする事ができず、やむなく銀行に就職。そこで、支店での集金係という仕事に回されます。青雲の志が木っ端微塵に吹き飛び、毎日自転車で取引先を回り、頭を下げる日々に、一時絶望のどん底に追いやられますが、そこで一念発起。「どないしたらお客さんに喜んでもらえるやろう。」という事だけを考えて、銀行員としての損得は度外視して懸命に顧客をサポートした所、状況が好転。支店長に認められイタリア留学の切符を手にし、かつ、多くの顧客から90万円の餞別をもらうという快挙を達成。
2、死に方は決められないが、生き方は決められる。
留学を終え、フィレンツェ支店での夢のような日々を経験したあと、帰国後も銀行、証券会社で重要ポストを歴任した北氏ですが、癌宣告され、死を目前にされながら微動だにされなかったご尊父の姿に感動。
「死に方は決められないが、生き方は自分で決められる。」と、もう一度、生きているうちに何をすべきかを考え始める。
3、思いは感動のオブラートに包まないと人の心に届かない。
2008年6月、北氏は会社を退職。本格的に作家の道へ。
彼のターゲットは"評伝"。「自らの人生を夢、目標に向かって全速力で駆け抜け、偉業を成し遂げた人々の生き様を、特に若い人たちに伝えたい。そのことが若者達の未来に少しでもプラスになれば・・・。」そんな思いが彼を駆り立て、白州次郎、松下幸之助、福沢諭吉、川本幸民といった人物の生き様を見事に蘇らせました。
私は、人を動かすのは理論派の左脳ではなく感性をつかさどる右脳ではないかと思っています。教科書やWikipediaでは窺い知れないヒーロー、ヒロインの実に人間臭い人物像に触れた時、人は感動し、その魂のDNAが読者達の心にじかに伝わってきます。多くの若者が、そして今現在懸命に毎日を送っておられる方々が、彼の書いた評伝を通じて、先人の心を受け止め、未来に生かして下さる事を願ってやみません。
http://www.nhk.or.jp/drama/shirasujirou/
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2129671