長電話

~自費出版のススメ~

書き言葉で話す人々

2009-06-12 | アート
イチローは話し言葉ではなく、「書き言葉」「読み言葉」でしゃべっている気がします。予め頭にあるイメージを言葉に翻訳していく作業であるインタビューは会話とは違うのですから、そういった側面があるのは当然ですが、親しい人と喧嘩するときについつい「敬語」になってしまうように、自分を対象化し他人を寄せつけないときの精神状態を感じさせます。

同じように、「書き言葉」で発言する人だとオダギリジョーがそうです。一度彼が「他人」のことを「他者」というのを聞いて、驚いたことがあります。大河ドラマ「新撰組!」の撮影スタジオで、若い役者がワイワイ騒いでいるのに彼だけは隅で静かに本を読んでいるといったエピソードからも分かるように、単に「活字好き」らしいといった以上に、変わった実存を感じさせる言葉使いをします。

テレビを見ていると、語彙に乏しく表現の貧しいアイドルが、なにかにつけ、「元気もらった」っていっているのが気になります。脊髄反射のような台詞を垂れ流すルーティンワークの業界で、彼らの佇まいは異色ですが、コアなファンがしっかりついていることは救いです。