長電話

~自費出版のススメ~

「ミステリと言う勿れ」をいまさら観た

2024-04-23 | アート
「月9」という、かつてブランドとして沢山の資本が集約され、主役を張ることは役者さんのステイタスだった時期がありました。

とにかく金はあるので、主役を盛り立てようとするあまり、こいつのファンも見るだろうと、出しときゃいいというということで有能な役者につまらない役を与えたり、方々への気遣いにより脚本が平面的になったりと、やがてあのだらしのなかった東京オリンピック開会式のように、電通やジャニーズ支配の匂いの漂う陳腐な枠として、私はほとんど期待することなく、関心を持たずにいました。

「ミステリと言う勿れ」は、2022年1月期に放送された作品ですが、原作とともに触れることもなくやり過ごしていましたが、ひょんなことから再放送を見る機会に恵まれ、私の「月9」への偏見を覆されることになります。

昨今の大河ドラマを始め、朝の連続テレビ小説ですら、光や構図を重視し、テレビの巨大化に合わせた映画的演出がなされるようになり、ショーケンや松田優作のように、演出など関係なくミディアムショットで存在感を示す役者の必要がなくなってきているのでしょう、その手法のせいで役者は才能のあるなしにかかわらず、労せずその生まれながらのルックスの良さだけで名声を得たりします。

それはさておき、この作品の登場人物の多く、主人公と周囲の人たち、犯人ですら細野晴臣のような抑揚のないしゃべり方をします。演技で例えればケビンスペイシー。歌で言えばジャニスイアンの「ウィルユーダンス」。それは自分のやってることに一般常識を照らし合わせず、自らの言動を迷うことなく信頼しているせいでしょうか。そのせいか迷いのある人たちは皆アグレッシブでドラマから追放されます。

2~3話のバスジャック事件で主人公は犯人役から「どうして人を殺してはいけないのか」と問われるシーンでは、私は「人を殺しても構わない」けど自分には無理という立場で、それは良い悪いの範疇ではなく、できるかできないかという人個別の話だと思っていましたので、主人公がその問いに対して何を言い出すのかワクワクしながら観ていました。

主人公は、その問いに対しては、話を広げ、答えを曖昧にし、その場で問われる設問自体の幼稚さと不自然さをあぶりだすことによって事態を展開させていました。

これは、気障な答えを結論として一言で言いたがる人たちの日常とは違い、しっかりとした脚本に基づいたドラマなのです。それも「月9」。

私はまだ3話しかみていないのですが、これから麦ちゃんも出演するとのこと。小室哲哉のようなルックスの瑛太の肌の綺麗さと台詞回しとも相まって、その期待から「アンナチュラル」以来のレンタルまとめ借りで、GWの暇つぶしに贅沢をしようと思います。

コメントを投稿