長電話

~自費出版のススメ~

15ラウンド制復活を望む

2009-11-30 | スポーツ
日本シリーズ第3戦でしたか、シリーズの潮目が変わった阿部のサヨナラホームランの印象は「悪いものを見てしまった」でした。しかしそれさえも「フェアな力の勝負をやった上での勝利じゃないか」と思い返したくなるほど「酷いものを見てしまった」といった後味の悪いタイトルマッチ、内藤vs亀田戦。

どっちが勝っても構わないし、ジャッジがおかしくてもそこはすでにプロレス化している世界、チャンピオンをいくら作っても中継される程の人気のないスポーツになりはてたボクシング、そしてその業界ですから、誰が強いかは問題ではなく、優先してなされるべきことへの合意もあるのかもしれません。

ただ、ガードを固め、カウンターのみを狙う「勝てばいい」というだけの消極的でチャレンジャーらしからぬ亀田選手、相手の出方を恐れ、決定打を決められない内藤選手と、お互いの長所を潰しあう展開で、派手な打ち合いには決してならないと格闘技に疎い私ですら最初から分かる展開に5ラウンドあたりから、うんざりしてきました。

そして短い12というラウンド数。これでは野球を7回で止めるようなもので、あしたのジョーのような劇的逆転勝ちなど望めない短さです。計算外のことがそこから始まり、練習や才能の結果が証されようとする瞬間にゴングというのは、理不尽ですらあります。最終12ラウンドでは亀田選手の足が止まり、防戦一方となりました。サッカーの終了寸前のパス回しのようなものなのか、本当に弱っているのか、12ラウンド制で行なわれたこの試合で判断するのは難しいでしょう。

しょぼいタイトルマッチであることを両選手のせいだとか、また汚いことを亀田陣営がしたんじゃないかとか言うのは簡単ですが、結果は仕方ないとしても、内容は制度によって担保されるもの。こんなんでもチャンピオンになれるんだと思われてはボクシングはおしまいです。15ラウンド制に戻すことが業界の起死回生策だと思うのですが。

朝青龍という延命装置

2009-11-26 | スポーツ
朝青龍のスキャンダルもなく、いつのまにか始まっていた大相撲九州場所。弱い5大関と強い2横綱という本来の形に戻ったのでちっとも盛り上がらないなと思っていましたら、12日目、日馬富士がやってくれました。勝ち方としてはいかがなものかという相撲内容でしたが、相手は好調な横綱。意外性に乏しく盛り上がりに欠ける今場所の土俵に初めてアクセントがつきました。

とはいえ、客は入っていないわ、いつまで経っても成長しない若手に飽きるわ、我らが安美錦の負けが込むわと、散々な場所です。今週末には内藤vs亀田戦もあり、格闘技目線として比較するにつけ、テンションが下がりっぱなしです。アメリカでは野球とアメフト、バスケが入れ代わり立ち代わり盛り上がりを見せるスケジュールになっています。そういう意味でいえば、野球がオフシーズンに入ったにも関わらず、スポーツファンの心を捕えきれない大相撲の現状は、悲惨なものです。

1年前は朝青龍限界説の中、白鵬の成長、日馬富士の躍進、苦しむ老大関など、各関取に物語があったように記憶しているのですが、そのすべてに新鮮さが薄れ、その上ヒールとして土俵以外をも巻き込んだ朝青龍が「努力家」になってしまった印象があり、きっちり星を残しているのですから、人気がでず、話題にならないのもしょうがありません。

「悪役」朝青龍は、一時は自民党における「中興の祖」と呼ばれた、小泉純一郎のような延命装置だったのかもしれません。朝昇龍の俗物的人気を隆盛と勘違いする協会の仕切る大相撲もやはり衰退していくのでしょうか。

谷垣さんの役割

2009-11-25 | 政治
自民党の総裁の谷垣さんは大の本好きで、主宰の打ち合わせは神保町で開くことも多いそうです。単なる政治屋ではなく、インテリともしっかり会話のできる、大平正芳、宮沢喜一、加藤紘一に連なる知的な政治家なのでしょう。

かつて細川政権を追い詰めたのは、自民の武闘派による金銭スキャンダル追求によるところが大きかったのですが、その中心人物であった野中氏、亀井氏などはもういません。自民党というのはこういった乱暴かつ腹芸ができ、「左寄り」の思想をもった人達に活躍の場があり、イデオロギーというより人物をめぐって力関係が決まっていたように思います。

森喜朗によって決定的となった自民人気の凋落を救ったのが、『清和会』の小泉、安倍、という書生風へなちょこ親米右翼で、『経世会』的自民を駆逐、世情は荒んでいき、福田、麻生と処方箋を打ちましたが、時既に遅しで政権交代とあいなりました。

政争に加わることがあっても「加藤の乱」程度に収ってしまう、公家集団と呼ばれ、上品で知的だけど策に疎い宏池会に属する谷垣さん。個人的にはやり過ぎる可能性のある民主党の大きな政府に対して、「小さな政府を目指す」といいきった河野太郎氏を支持していましたが、彼が過激すぎてスポイルされたように、いくらよいことを言っても、言い方や、実行に移した時の運用がまずければ、政策に意味はありません。

英国労働党は団結してブレアを20年位かけて育て、首相にしました。政争は苦手でも育成は得意そうな谷垣さん。こうなったら(小泉進次郎氏とはいいませんが)若手のこれといった人物に目をつけ、10年スパンくらいの気持ちでのんびり自民再生の基礎を築いてほしいものです。

ミッドナイト・トーカー

2009-11-21 | アート
タバコをベランダや換気扇の前で吸ってもちっともおいしくありません。タバコは抑制作用があるので、高揚感と共にあってこそのものであり、何かをやりながら吸うのがなによりなのです。ただ吸うのが目的で吸うタバコはかなり時間をおかなければ面白くもなんともないことに、屋内禁煙を始めてみて気が付きました。

「マンハッタン」というウディ・アレンの映画のセリフに「タバコは吸わない。ふかすだけ、ガンになるから」というものがありました。ヘヴィスモーカーである友人は健康診断で「肺は透明のように綺麗」という結果がでて高笑いしていましたが、「ふかす」という吸い方が、冗談ではなくどうやらあるようで、凡百のスモーカーがいる中、様々なニコチンの体内摂取のスタイル、習慣があってもおかしくありません。たばこを吸っていながら毒(ニコチン)に免疫にある人もいるはずです。

ニコチンの量ではないのです。

俺はピッカー(拾い集める人)、俺はグリナー(ニヤニヤ笑っている人)、俺はラヴァー(愛人)、俺はシナー(罪深い人)、俺はジョーカー(冗談好きな人)、俺はスモーカー(喫煙家)、俺はミッドナイト・トーカー(マリファナ好きな人(パーティ好きのおしゃべりだと思っていました))

スティーヴ・ミラー・バンドの名曲を久し振りに聴いていると、ついつい喫煙を正当化したくなります。

禁煙失敗の値段

2009-11-19 | 政治
山の手線の内側に行くとまだ暖かいのですが、住宅街にある新しい事務所は広く、木造ということもあり、非常にしばれます。よく雪にならないものだと冷たい雨を見ながらベランダで一服。屋内で独りでいるときは禁煙、というストイックなきまりを作り、いまのところ守られています。

服や髪についてしまうタバコの匂いなど全く気がつかず気にしなかったのが、最近はなぜかよく分かるようになり、怪し気な副流煙の害よりも、あからさまな匂いの迷惑の方が(自分にとっても他人にとっても)重いと感じるようになりました。部屋にあるあらゆるものが黄ばんでしまうだけではなく、ベトついてくる屋内での喫煙は、体内より外部への影響が大きいのです。

民主党から「たばこを600円~1000円に」という案が出ており、財務省が実権を握り、族議員のいなくなった政権では値上げも遠からず実施されるのでしょう。

これを期に止められる人はよい。予備軍は相当数いるでしょうから、喫煙人口の半分は駆逐されるかもしれません。そして止められない人は「懲罰的」に、ものすごい税金を払うことになります。私のような長期にわたる高額納税者の医療費はタダにするとかしてくれないと、納得がいきませんね。せめて事業仕分けで「taspo」を廃止するくらいのことをしてくれませんと、厚生行政に対する恨みが収りません。

田英夫氏の立場

2009-11-17 | 政治
先日、オバマ大統領の「アジア関与宣言」ともいえる演説がサントリーホールで行われました。プラハのフラチャニ広場での「核廃絶宣言」、エジプトのカイロ大学での「イスラムとの和解」演説のように続き、東京という場所を選んでアジアへの平和的関与のメッセージを発したことの意味を、泊数にこだわり、日本軽視を吹聴し動揺する、情けない保守系メディアは理解できたでしょうか。

その彼等が好んで使う「日米同盟」という言葉でありますが、同盟というとそれは軍事同盟を意味し、それも相互的なものを指します。日本は「核の傘」の下にあり、明記はされていませんが、攻撃された場合は米軍が助けてくれる手はずになってはいますから、軍事的色彩はあります。ただ、アメリカが攻撃された場合、その紛争に参加する義務はありません。つまり辺務的であり、厳密には同盟ではないと言われています。大統領の演説にも「同盟」という言葉が使われ、当然のようなことになっていますが、これはいつからなんでしょう。

戦争の反対語が平和であるとすれば、日本は平和です。安保条約や核の傘が戦後の繁栄を守ってきたのは確かですし、無邪気に平和、核廃絶を主張するのは迂闊で、正式(?)には唯一の被曝国でありながら、諸処事情から態度としても感情としてもディバイドされている、ある意味で日本は面白い国です。

昨日、呼吸不全で亡くなった田英夫氏は、左翼系インテリでありながら(インテリってのは大抵左翼ですが)、共産党や社会党というドグマに縛られた連中と袂を分かち、社民連という現在の民主党の礎のような集団を作った人達のひとりだったそうです。晩年は地味でしたが、彼をはじめ、社民党の保坂さんのようにジャーナリスティックな視点を失わず、かつ単純な平和主義者でもない有能な政治家にもどんどんでてきてほしいものです。

既存メディアのネット記事化

2009-11-13 | 政治
噂の市橋容疑者の通報者の報賞金が1000万になったのは、遺棄された被害者がイギリス人だった故、外交的配慮からのものだったのだそうです。それから市橋氏の容疑は殺人ではなく死体遺棄だということも忘れがちであります。裸足で逃げたといわれる彼に靴を掃かせたのは誰なのか。警察が取り逃がした後の捜査のつたなさなど、報奨金の使い道や取材側に逮捕者まで出した現場の様子より調べるべきこと、伝えるべきことは沢山あるはずです。

無駄な地方空港を作る度に、JALが使われ、経営危機の問題と繋がっていることとか、我々の劣情に訴えるだけで本質を捉えないマスコミは、いわゆるマスゴミ批判としてネットでも攻撃されてはきましたが、今回の報道でいっこうに反省する気持ちがないことがよく分かりました。

需要がある、こういう構成だと視聴率はとれる、と彼等は思い込んでいるのでしょうが、日本人は最近それほど阿呆でもないような気もします。以前は私など一部の人達のみが「くだらねえ」と日本人の民度の低さを嘆いている、といったつもりだったのですが、決してそんなことはなく、期待から小泉で一時盛り上がった自民党政治の欺瞞を経験した多くの人が、いまや冷静にものを見ている気がします。

ネット情報はカウンターとしては有効ですが、決して調査報道など地道なことには向きませんし、ネット業界として(?)記者を育てる素地も余地もありません。つまり既存メディアの王道たる姿勢があってこそ報道のバランスがとれるってものなのです。

あまり視聴者のレベルを馬鹿に設定しない方がよいし、啓蒙的な立場にいることを忘れてはいけませんね。

女優と呼ばないで

2009-11-12 | アート
芸能人の薬の話が終わったら、次は素人の詐欺や逃走劇の顛末の話題が席巻。芸能マスコミのメシのタネが尽きないように配慮したかのような展開ではあります。

いつぞや長澤まさみを「それほど悪い女優じゃない」と持ち上げたことがありましたが、「隠し砦の三悪人」のリメイクをみて、撤回したくなりました。確かに現代劇では「ああいう娘、いるよな」という、おびえた様な演技は役柄に合えば効果がでますが、これが時代劇になると、演技と呼べるような技術はなく、ただトロいもっさりとした肉の塊に過ぎない存在になっており、この映画自体の酷さを差し引いても、こんな人を女優などと呼んでいいのだろうか、と疑問に思いました。

捕まった酒井某を紹介するとき、頭に「女優の・・・」とつけることの恥ずかしさったらないように、現場も歴史も知らないテレビ出身のスタッフが作った、未完成ともいえる作品内容を「新感覚」というキャッチフレーズで糊塗しようとする姿勢は醜く、悪い素材ではない俳優達を使いこなせないのは犯罪的ですが、作品は酷くても主演賞をとる人もいるのですから、いいわけにはなりません。

酒井某や広末某などの枕詞は「有名人の・・・」とか「タレントの・・・」などに変えてほしいものです。

寄る辺なき引っ越し

2009-11-11 | アート
事務所を移転しました。会社は法人扱いにしていないので移転に伴う印紙などもいらず、粗大と思われるゴミ(カーペットや布団)などは切り刻み、普通ゴミにしたりして節約。引っ越しにかかった費用は赤帽さんにお願いして約¥15,000、入りきれない大きな荷物をもう一度タクシー代わりに赤帽さんにお願いして約¥5,000。粗大ゴミ代¥3,900と、学生の引っ越し並に安く上げました。赤帽さんはオーダーした翌日でも動いてくれるのでとても助かります。

荷物はほとんどが本やオーディオ関係で、家具やピアノがあったりするお家は無理ですが、小規模な引っ越し、荷物の移動などをお考えの方には「赤帽」がおすすめです。赤帽とは一つの会社ではなく、一定の基準に沿った料金体系をもつ、赤帽というブランドを冠した(個人だったり会社だったりする)業者の集団で、料金設定や所有するトラックの規模も少々違っていることが今回の引っ越しで分かりました。

なにより気持ちよかったのは、料金の駆け引きがなかったことです。大手の引っ越し屋さんにお願いすると見積りで高額を出され、そこから値引きが始まり、シーズンオフですと半額くらいにしてくれたりしますが、私はそういうのが苦手で、ものすごいストレスになります。

引っ越しを始めて、いろんな手続き、整理収納を終え、結局落ち着くのに一週間かかりました。今回は友人も家族もことごとく忙しく、一部G女史に手伝ってもらいました(それでもとても助かりました)が、ほとんど独りで計画・実行した寄る辺なき引っ越しだったので、いろんなことが勉強になりました。新しい事務所は一軒家で、収納が多く捨てるかどうか迷うものも保管でき、音楽が大音量で聞けるのが快適。これが報いというのなら大変結構なことです。

物語の完結

2009-11-07 | スポーツ
松井は、今シーズンの締めくくりの大一番で6打点の活躍。代打でさえ結果を残し、地区シリーズからの文句のない成績でのWS・MVPの受賞でした。

イチローが個人で凄まじい記録を毎年のように更新しているのに対し、WBCに出場する機会にも恵まれず、アベレージヒッターへとマイナーチェンジした松井は、インタビューも生真面目で面白みに欠け、アピール不足の感があり、日本での話題もやはりイチローの後塵を拝する結果が続いていました。手首骨折の大怪我の後はさらに「阪神入りか」とか騒がれ、米スポーツ紙でも
不要説が流通していたそうです。

しかし、今年のシーズンは超大型補強もあったにも関わらず、そのチームバッティングが得点に活かされ、レギュラーを譲らず、ヤンキースは独走で地区優勝。そしてついにワールドチャンピオンという日本から持っていった夢がかない、その上MVPの称号の「おまけ」までついてきました。

いままでもワールドシリーズに出場した日本人選手はもちろんいますし、シーズンで主力を務め、さらに優勝に立ち会った選手も沢山います。ただ、松井がヤンキースにおいてワールドチャンピオンになることは、そのためにやってきたこともあるし、何度かチャンスがありながらも7年を要したこともあり、物語の完結を見ているようで、他の選手の晴れ舞台とは違うように感じました。

松井は50本のホームランを打ち、原監督初年度の日本一に貢献してから、「裏切り者」と呼ばないでといいつつ、大リーグにいきました。WBC不参加でのバッシングもあり、日本にいた時に比べれば、順風満帆とはいきませんでしたが、苦節7年ようやく地味な努力と抵抗が報われるときがやってきました。

これでようやくイチローと対等に話せるようになることでしょう。

傷ましき腕

2009-11-04 | アート
岡本太郎の晩年はテレビに利用され、そのキテレツな言動と佇まいは失笑の対象になることも多く、見ていて納得のいかないものがありました。凡人の捉える現実とは違う世界観をもつ天才は、常にしっかりしたマネージメントがないと、単なるさらしものになってしまうという、好例となってしまったのです。

あまりにもコンセプチュアルな岡本氏の表現方法は好きではありませんが、彼のスタイルが確立される前の巴里時代に制作し、出世作ともいえる「傷ましき腕」は、確かに傷ましい作品なんですが、80年代バブル期の戸川純を彷佛とさせるような、当時風にいえば、キッチュさがあって惹かれます。

戸川純もまた、ゲテモノ扱いと紙一重の評価の、あまり正面から語られることがないアーチストで、一時は芸能人のジャンルにも分けられることもありました。あのスタイルは岡本太郎同様、奇をてらっているわけではなく、何がしかが損なわれている人間こそのもので、才能がその奇異さとバーターとなっていることは、ライブや時々見かける街中での彼女の姿をみれば分かります。

ライブをときどきやっているそうなので、見に行ってみようかとも思いますが、彼女の書いた文章や絵や彫刻なんかも、もっとみてみたいものです。