まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

1月8日 「手紙」東野圭吾

2012-01-08 18:02:14 | 読書のすすめ
今日は 一日読書三昧でした。
幸せ~

さて というわけで 東野圭吾の「手紙」を読みました。

手紙
東野 圭吾
毎日新聞社


貧乏な上に 働きすぎで体を壊して仕事を失った男が
裕福な老婦人の家に お金を盗みに入ります。
家にいないと思っていた老婦人が 起きてきて見つかってしまい
逃げようにも体が痛くて動けない。
警察を呼ぼうとする老婦人。
それを止めようとして男は 手に持っていたドライバーで 老婦人を刺し殺してしまいます。

悲劇はそこから始まります。
男には弟がいて そもそもこの強盗は弟の進学資金のためでした。
しかし 男が誰よりも大事に思っている弟は 
強盗殺人犯の弟という一生消えない烙印を押されてしまうのでした。

切ない・・・・

貧しいことは 犯罪の免罪符には ならない。
ましてや 殺人の理由にはならない。

分かっているけれど 男は 好きで罪を犯したわけではない。
ましてや その弟に 罪はない。

それなのに 努力しても努力しても 兄の罪により 世間からはじき返される弟。

そして 毎月届く 兄からの手紙。
弟の苦しさを知りもしない 返信を心待ちにする能天気な手紙。
兄が自分のために罪を犯したと知っているから 兄を憎みきることもできない弟。

この作品の中で 弟が好きな歌として ジョンレノンの「イマジン」が出てきます。
メロディが美しく そして歌詞も素晴らしい 不朽の名作です。

世界平和を訴えていたジョンレノンが 熱狂的なファン(と言われている)に
撃ち殺されたのは あまりにもショッキングな事件でした。

結局 私たちは 暴力と憎しみの連鎖から 抜け出すことはできないのでしょうか。

この本は それに立ち向かうことができる唯一の方法を 提示している気がします。
苦しみぬいた末に 弟がたどりつく境地です。

ご一読ください。

この本に描かれていることはフィクションです。
だから 所詮 綺麗事かもしれません。
多分 私は 例えば もし娘が犯罪の被害者になったら
絶対に 加害者に対してこの境地にはたどりつかないと思います。
でも そんな私だからこそ この本を読む意味が あったのかもしれません。


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