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1日1冊108円・・・・・・最近そうでもない。

飛騨高山に消えた女 西村京太郎 2000年10月29日 光文社

2016-02-02 07:30:34 | ミステリー
 飛騨高山でスケッチをしていた謎の女性が突然の失踪。
 東京では、不可解な連続殺人の発生。現場には、飛騨高山の美しい風景を描いたデッサン画が残されていた。
 十津川警部たちの執念の捜査の結果、〝名画贋作団〟の存在が明らかにされるが・・・・・・。
 謎の女性の恋人の自殺による復讐なのか!? 十津川警部の推理は意外な展開を見せる!
裏表紙より。
全部書いちゃってんじゃこれぇ!?と思わせてからのー!
初出は1989年12月~1990年7月の「小説NON」。



第一章 上三之町

 ひと眼見て、加東は、
「これは、うまい」
 と、思わず、呟いた。
巡回中だった加東巡査(42歳)、観光客らしい女性のスケッチを見て。
特に直接話すことはなく、女性は立ち去ったのですが・・・・・・。

翌日。
町の旅館から「女性客が失踪した」との通報がありました。
そう、昨日のスケッチの女性だったのです。
しばらく探していると、旅館に本人からの電話が・・・・・・
「父親が急病で東京に帰った。荷物は実家に送ってくれ」だってさ。

昨日見たスケッチが気になった加東は、ちょいと職権乱用で荷物を確認。
(違うな)
 と、加東は、首をひねった。
 同じ景色を描いているのだから、一見、同じように見えるのだが、デッサンの力が、明らかに、違うのである。
へー?


 しかし、派出所の一巡査の疑問を、誰が、取りあげてくれるだろうか?
 それに、あの女が、無事なら、何の事件でもないのである。
まぁ、事件では、ない、やね。
・・・・・・読点多くね?



それから10日後。
飛騨高山で若い女の他殺死体が発見される。
被害者の身元がわからず捜査は難航するかと思われたところで、
現場で発見したものから加東が先日の失踪騒動の件を持ち出す。
「どんな小さなものでも、見逃すことは、危険です。現場の指揮に当たっていた北原刑事は、無視したようですが」
「彼は、ベテランで、信頼できる男なんだが、時々、独断してしまうのでね」
加東、20ポインツ!
北原、マイナス20ポインツ!
そして向井警部(28歳、いわゆるキャリア組?)、お前のお手柄じゃねーから!
マイナス50ポインツ!


被害者は東京の人間「白石ゆか」なのかも・・・・・・
ということで、捜査を開始したのは我らが十津川警部!
「妙な具合だな」
「自分の住所」に「白石ゆか」は存在せず。
一方「実家の住所」には「白石家」が存在し、娘は確かに「白石ゆか」だけど、
彼女は現在アメリカに留学中。
・・・・・・それじゃ、「スケッチの女」は誰なのか?

岐阜からやってきた『せわしない男』向井警部と共に捜査続行。
 十津川は、亡くなった父親から聞いた話を思い出した。
 父は、今度の戦争で、何年間も、中国や、南方で、戦っていた。父の話だと、士官学校出の若いエリート小隊長が、一番、死亡率が高かったらしい。それは、実戦の経験がなく、戦闘になると、やみくもに、先頭に立って、突撃していくからだという。敵から、狙い射ちにされるのだ。
臆病な方がちょうどいいのよね。





第二章 一枚の絵

 若い向井警部は、次第にいらだって来て、元気をなくしていった。
本物の「白石ゆか」の周辺を調べれば簡単に、とはいかず。


 十津川は、そんな向井の様子を、微笑ましく、見ていた。彼の年齢になると、最初の見込みが外れても、動じなってくる。いや、むしろ、それだけ、範囲がせばめられたと喜ぶのだ。多分、年齢と共に、ずるくなっているのだろう。
「ベテラン」と言えるだけの経験があるかないかなんだよねぇ・・・・・・。


「スケッチの女」の捜査に進展がない中、都内で殺人事件が発生!
現場に向かった十津川警部が見つけたのは・・・・・・
 コンテで描いたデッサンである。
(よく描けている)
 と、感心してから、十津川は、急に、
「カメさん」
 と、叫んだ。
 亀山が、飛んで来た。十津川は、彼に、そのデッサンを見せて、
「これ、高山の町じゃないかね?」
飛騨高山は上三之町の絵。
もしかして・・・・・・?
東京に呼び出された加東が確認したところ、確かに「スケッチの女」の絵。
正確には、描かれた通行人の違いから加東が見た日の前日に描いたものだろうという話。
飛騨高山の事件と東京の事件には、どんなつながりがあるのか・・・・・・?


「まず、あのデッサンのことは、忘れてくれ」
えっ

だって明らかに怪しいじゃないっスか!
「それでも、忘れて、調べますか?」
「そうだよ。デッサンのことが、頭にあると、何もかも、それに結びつけてしまおうとするからね。それは、避けたいんだよ」
捜査に『先入主』は禁物なのじゃよ。


被害者・宇田川宏を調べていくと、最近飛騨高山に行ったらしい。
とすると、やはり飛騨高山と何らかの関係が・・・・・・?
 二つの事件をつなぐのは、このデッサンだが、いくら見ても、不審な点が見つからないのだ。
「スケッチの女」の身元がわからないままなのが痛い。


そうして捜査が行き詰った捜査一課にさらなる事件が!





第三章 第三の殺人

 デザイナーの沼田章は、背中を刺されて、寝室に横たわっていた。
 その死体の横に、例のデッサンが、落ちている。
なんだってー

新たな被害者・沼田章を調べたところ、宇田川と同じ日、飛騨高山にいたらしい。
「宇田川と沼田の二人は、本名で、高山に泊まっていたんですか?」
「いや、二人とも、偽名です。従って、顔写真で、確認しました。なお、沼田の方に、外から、電話が入ったことが、わかっています。十五日の夜、八時頃です。もちろん、偽名の沼田にです」
ぁゃιぃ


(だが、ただ会うためなら、東京でも会えるだろう。わざわざ、高山まで来て、会うこともない筈なのだ)
飛騨高山に何らかの秘密が・・・・・・?


岐阜県警では、東京で成果を挙げられなかった向井警部が復活。
「今度の事件で、コンテを持っている人間は、二人いるんです」
「一人は、自称、白石ゆかだろう。もう一人は?」
「すりかえられたスケッチブックの描き手です」
その発想は無かったわ。
『もう一人』も女、と『断定』して目撃者を捜したところ、
「スケッチブックを持ち歩いていた女」が確かに存在した模様。
・・・・・・特に根拠もなく「女」と決めつけた捜査で大丈夫かしらと若干不安。





一方、東京の十津川警部には1つの疑問がありました。
第四章 無名の画家

「なぜ、写真を使わなかったのかということですか?」
「ああ、そうだ。宇田川や、沼田に、飛騨高山を思い出させるためなら、写真でよかったんじゃないかな。その方が、簡単だ。二日もかかって、スケッチをしなくてもすんだ筈だ」
た、たしかにぃー


「つまり、犯人は、どうしても、スケッチでなければならなかったということですか?」
「そうだよ。写真ではいけなかったんだ。スケッチである必要があった。そして、描かれるのが、飛騨高山である必要があったということだよ」
事件の鍵は「飛騨高山」だけではない・・・・・・!
スケッチ・・・・・・「絵」であることも鍵だったんだよ!


新たな視点で捜査を進めた結果、去年自殺した画家・根元一成に辿り着いた捜査一課。
才能はあれど売れない画家だった根元は、生前贋作に手を出していたのです・・・・・・。
また、根元には周囲から夫婦と思われていた1人の弟子がいました。
一連の事件は、その弟子だった女の復讐なのか!?



・・・・・・と、ここまでが裏表紙。ページでいうと半分
向井のピエロっぷりが、十津川さんのベテランの技を際立たせる!
若い人こそ読んでほしい、ピエロ向井の活躍(笑)を!
いや・・・・・・真面目な話な(´・ω・)

「頼りになるベテラン」だから最近読んでんのかなぁと思わなくもない朝。


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