毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「ここ2,3年、日本の空気が変わった」No.1580

2016-01-30 23:38:08 | 日本事情

ピーター=バラカンさん:ロンドン生まれ。

イギリスから日本に渡り、日本生活40年になるブロードキャスターです。

私は、毎週土曜日の朝、

NHKラジオ『ウィークエンド・サンシャイン』で

彼の物静かで知性的なDJを聴くのが

日本に居る時の最大の楽しみの一つです。

そのピーター・バラカンさんが昨年、

(日本の雰囲気が危ない方向に変わってきているのではないか)

と危惧する出来事があったそうです。

SNSでは何度も読んだことがある記事ですが、

今日、バラカンさんの体験と他の事例を合わせて

今の日本を論じている記事を見つけました。

正直、今の日本は本当に怖いです。

 

―――朝日新聞デジタル 特別編集委員・山中季広 2016年1月16日

服もせんべいも映画も…時代の狭量さに思う

音楽番組のキャスターとしておなじみのピーター・バラカンさん(64)から先日、意外な話を聞いた。

昨秋、東京都心の広尾から六本木へ歩いていたところ、2人の警官に呼び止められたという。

「どこかへ抗議に行かれる予定ですか」。え? 

「あなたの服に9条と書いてありますので」

   No9 NO WAR

   LOVE & PEACE

シャツの胸にそうプリントされていた。

これで僕に質問ですか?

「抗議活動があれば事前に把握したいので」

安保法が強引に可決されて一月もたたない金曜日の昼下がりのことだ。

「それにしても」とバラカンさんは余憤を隠さない。

「日本に40年住んでいますが、こんなことは一度もなかった。

広尾や六本木は仕事や子どもの学校で親しんだ街。驚きました」

FM局へ収録に向かう途中だった。シャツに憲法という文字はなかった。

「9の字が見えたらだれでも警官が呼び止めるのでしょうか。

仮に僕がデモに行く途中だったとしても、それはそれでとんでもない話。

日本は何だか危ない方向へ行ってませんか」

バラカンさんの話から、数字の9が頭に次々浮かんだ。

音楽ならベートーベンの第九。

野球なら魔の9回。

京都には九条せんべいだってある。

特産の九条ネギを使ったお菓子だが、

このご時世、もしや何かひどい目に遭っていないか。

写真・図版

製造元のひとつ、京都市東山区の三善(みつよし)製菓所を訪ねた。

「いまも焼いてます。ただ『憲法9条ねぎせんべい』式の

ゴロ合わせの宣伝は控えています。

商売には右も左もありませんから」。

知恩院に近い店で経営者の男性(63)は淡々と語った。

商品化したのは十数年前。自衛隊イラク派遣で論戦が続いたころだ。

海外で隊員を危険にさらしたくないという思いを込め、

いっときは9条2項の条文を包装紙に貼った。いまは違う。

「2、3年前から世間の雰囲気がガラッと変わりました。

世の中がここまで右傾化すると用心もいります」

 だれもが感じている通り、日本の雰囲気はこの2、3年で驚くほど変わった。

人口が減り、国の借金は増えた。成長戦略は見えず、中国は強大化していく。

官邸だけでなく人々も気持ちに余裕がなく、万事ギスギスしてきた。

ささいな日本批判が気にさわる。

象徴的なのは、米映画「アンブロークン」をめぐる騒ぎだ。

アンジェリーナ・ジョリー監督が日本軍の捕虜虐待を取りあげた。

米国では一昨年の秋に封切られ、数十カ国で上映された。

日本公開は遅れに遅れた。来月6日から上映されることになったものの、

「反日」「日本をおとしめる」といったネット上の反発はなお消えない。

たまたま私は昨年、出張中に国際線の機内で見た。

一体どこが反日なのか、さっぱりわからなかった。

主人公をいたぶる日本兵の加虐癖は不快だが、

米映画でのロシア人やイスラム教徒たちのゆがめられ方に比べたら、ものの数ではない。

ひと頃の中国抗日映画のように、愚かで小心な日本人の描写が延々続くわけでもない。

B29による空襲の場面では、米軍の残虐さも一応は指摘されている。

この映画を見て侮辱されたと憤る人が本当にいるのだろうか。

もしいたら失礼ながら、その方々の了見の狭さはさすがの私をも上回る。

日本兵による捕虜虐待を扱った映画はいくつもある。

「戦場にかける橋」(1957年)や「戦場のメリークリスマス」(83年)など。

これらの作品でも、虐げる役の人物造形は「アンブロークン」と大差ない。

それでも当時の日本には、見もしないで「反日」と決めつけて

上映を妨げるような動きはなかった。

すぐれた映画なら正当に評価する度量もあった。

いま、時代の狭量さを示す例にはこと欠かない。

映画、服、せんべい。

いくらでも挙げられるのが情けない。(特別編集委員・山中季広

―――http://digital.asahi.com/articles/ASHDH4HFRHDHULZU00M.html?rm=454

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