近代法における債権の優越的地位
「「資本主義の発達に伴う私法の変遷」は、三部から成る。第一部は所有権論、第二部は債権論、第三部は企業論である。」
「第三部の企業論では、まず、金銭債権によって合理化された企業が、人的要素をすて客観的な組織として法律関係の客体たる地位を取得することを明らかにすべきである。然る後に、かくして次第に集中され巨大な組織となるに及び、企業は、漸次、法律関係の主体たる地位を取得し、やがて、私的な性格を止揚する傾向を示すことを吟味しなければならない。そして、おそらく、直接間接に会社制度の発展に関する研究を中核として、経済的民主主義の法律的特色を明らかにすべきであろう。しかし、その他にも、私的資本と労働者団体との経営権を巡る深刻な争や、国際資本と民族資本との絶え間なき摩擦、国家権力と企業組織との種々の結合等々、資本主義最近の進展を企業を中心に検討しなければならないことになるであろう。」(p6~7)
正に「予言の書」であるが、我妻先生の研究の最終地点は、企業(要するに(営利)法人)論だったのである。
そこにおいては、「客観的意義における企業」が「客体」(例えば、担保権の目的物)とされるのはあくまで初期の段階であり、発展段階では「主体」(企業=(営利)法人)となることが想定されている。
つまり、我妻先生によれば、「「集合物譲渡担保」なんて、まだ幼稚な段階だよ」ということのようである。
さて、上に引用した滋味掬すべき文章は、さきほど「予言」と言ったにもかかわらず、ある意味では「過去への遡行」という風にも説明出来そうである。
これについては、ギールケの団体法論が参考になる。
「「資本主義の発達に伴う私法の変遷」は、三部から成る。第一部は所有権論、第二部は債権論、第三部は企業論である。」
「第三部の企業論では、まず、金銭債権によって合理化された企業が、人的要素をすて客観的な組織として法律関係の客体たる地位を取得することを明らかにすべきである。然る後に、かくして次第に集中され巨大な組織となるに及び、企業は、漸次、法律関係の主体たる地位を取得し、やがて、私的な性格を止揚する傾向を示すことを吟味しなければならない。そして、おそらく、直接間接に会社制度の発展に関する研究を中核として、経済的民主主義の法律的特色を明らかにすべきであろう。しかし、その他にも、私的資本と労働者団体との経営権を巡る深刻な争や、国際資本と民族資本との絶え間なき摩擦、国家権力と企業組織との種々の結合等々、資本主義最近の進展を企業を中心に検討しなければならないことになるであろう。」(p6~7)
正に「予言の書」であるが、我妻先生の研究の最終地点は、企業(要するに(営利)法人)論だったのである。
そこにおいては、「客観的意義における企業」が「客体」(例えば、担保権の目的物)とされるのはあくまで初期の段階であり、発展段階では「主体」(企業=(営利)法人)となることが想定されている。
つまり、我妻先生によれば、「「集合物譲渡担保」なんて、まだ幼稚な段階だよ」ということのようである。
さて、上に引用した滋味掬すべき文章は、さきほど「予言」と言ったにもかかわらず、ある意味では「過去への遡行」という風にも説明出来そうである。
これについては、ギールケの団体法論が参考になる。