本件事案のように、「譲渡担保」であるかどうかが争われる事案において、最も重要なポイントは、対象物を誰が「占有」しているかである。
そのことを、最判平成18年2月7日は以下のとおり判示している。
「 買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である。」
このことは、譲渡担保が「占有原則」の脱法を狙ったものであることに鑑みれば、余りにも当然のことである(なお、譲渡担保権者が目的物を占有する例外的なケースもあるらしいが、これを「譲渡担保」と呼んでいいかどうかは疑問である。)。
本件事案について言えば、本件土地を一貫してX又はその従業員が占有しており、Yが占有していた期間はないということと、もともと譲渡担保権が設定されており、そのことをYも知っていたという事情があるため、やはり「譲渡担保」という認定に傾いたようである。
さて、不動産の譲渡担保がなぜ用いられるのかという疑問に対し、民法学者の多くは以下のような説明を行っている。
担保物権法 -- 現代民法3 第4版
「一言でいえば、民法典の定める典型担保の(債権者の立場から見た)不備によるのである。・・・
不動産(の所有権)を目的とする担保手段として,民法典では,質権と抵当権とが規定されている。しかし,まず質権は,目的不動産の占有を債権者に移転することが必要とされ,現代社会では用いにくいものとなっている。抵当権は,この点では合理的な担保手段であるが,その実行には裁判所の手続をふまねばならず,時間・経費がかかる。また,競売では,しばしば時価より安くしか換価できない。・・・
これに対して,権利移転予約型担保では,目的物の占有を移す必要はなく,原則として簡易な私的実行の方法をとりうるほか,抵当権に関する諸規定も当然には適用されないのである(類推適用はありうる)。」(p309、p272)
ここだけ読むと、この先生が譲渡担保に対してどのようなスタンスをとっているのか(とりわけその危険性をどう見ているのか)は不明である。
だが、後まで読んでいくと、ぎょっとする記載に遭遇すると同時に、この先生が譲渡担保の危険性についておそらくは無自覚であることが分かる。
そのことを、最判平成18年2月7日は以下のとおり判示している。
「 買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である。」
このことは、譲渡担保が「占有原則」の脱法を狙ったものであることに鑑みれば、余りにも当然のことである(なお、譲渡担保権者が目的物を占有する例外的なケースもあるらしいが、これを「譲渡担保」と呼んでいいかどうかは疑問である。)。
本件事案について言えば、本件土地を一貫してX又はその従業員が占有しており、Yが占有していた期間はないということと、もともと譲渡担保権が設定されており、そのことをYも知っていたという事情があるため、やはり「譲渡担保」という認定に傾いたようである。
さて、不動産の譲渡担保がなぜ用いられるのかという疑問に対し、民法学者の多くは以下のような説明を行っている。
担保物権法 -- 現代民法3 第4版
「一言でいえば、民法典の定める典型担保の(債権者の立場から見た)不備によるのである。・・・
不動産(の所有権)を目的とする担保手段として,民法典では,質権と抵当権とが規定されている。しかし,まず質権は,目的不動産の占有を債権者に移転することが必要とされ,現代社会では用いにくいものとなっている。抵当権は,この点では合理的な担保手段であるが,その実行には裁判所の手続をふまねばならず,時間・経費がかかる。また,競売では,しばしば時価より安くしか換価できない。・・・
これに対して,権利移転予約型担保では,目的物の占有を移す必要はなく,原則として簡易な私的実行の方法をとりうるほか,抵当権に関する諸規定も当然には適用されないのである(類推適用はありうる)。」(p309、p272)
ここだけ読むと、この先生が譲渡担保に対してどのようなスタンスをとっているのか(とりわけその危険性をどう見ているのか)は不明である。
だが、後まで読んでいくと、ぎょっとする記載に遭遇すると同時に、この先生が譲渡担保の危険性についておそらくは無自覚であることが分かる。