「概要―1970」(上は表紙、発行:京都大学理学部附属植物生態研究施設)の冒頭で、当時の施設長である故・畠山伊佐男教授が植物園を含めた「植物生態研究施設」の当時のビジョンを、以下のように語っておられます。(以下、同パンフレット:p.2.「はじめに」より抜粋引用。)
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【はじめに】
「科研費総合B『生物科学の境界領域に関する諸問題の調査と研究』主催による“生物学と農学との境界領域の諸問題―とくに生態学と生物環境調節を中心に―”に関する懇談会が昨年催された。その際私は当研究施設のビジョンとして次のように述べた。」
「植物の生態学的現象を、何がどこに、どのように生活しているかという観点から研究した時代を経て、現在では環境についての科学と形態・生理学とを基盤として、なぜそのような生活を営むかを問題にする時期に来ている。」
「もちろんその際には“生きている状態”で問題にされるべきで、当研究施設では自然の生育環境が研究室に隣接しているので、野外研究と室内研究が相互に補完しあって、“生活”のより深い理解をすすめるのに理想的である。このような環境生物学の延長線上に、生物環境調節と農学との関係が新しい視点から問われることになるだろう。」
「(中略)上に述べた研究会記録がある程度配布された結果、理学方面のみならず、農学方面でも当研究施設についての認識を新たにされ、研究上の交流が促進されることにもなった。そこで、この種の研究施設は全国唯一のものでもあり、最近のように“自然とは何か”が問われているときに、このような刊行物も意義あるものと企画した次第である。」
1970年5月6日 (植物生態研究)施設長 畠山伊佐男
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【はじめに】
「科研費総合B『生物科学の境界領域に関する諸問題の調査と研究』主催による“生物学と農学との境界領域の諸問題―とくに生態学と生物環境調節を中心に―”に関する懇談会が昨年催された。その際私は当研究施設のビジョンとして次のように述べた。」
「植物の生態学的現象を、何がどこに、どのように生活しているかという観点から研究した時代を経て、現在では環境についての科学と形態・生理学とを基盤として、なぜそのような生活を営むかを問題にする時期に来ている。」
「もちろんその際には“生きている状態”で問題にされるべきで、当研究施設では自然の生育環境が研究室に隣接しているので、野外研究と室内研究が相互に補完しあって、“生活”のより深い理解をすすめるのに理想的である。このような環境生物学の延長線上に、生物環境調節と農学との関係が新しい視点から問われることになるだろう。」
「(中略)上に述べた研究会記録がある程度配布された結果、理学方面のみならず、農学方面でも当研究施設についての認識を新たにされ、研究上の交流が促進されることにもなった。そこで、この種の研究施設は全国唯一のものでもあり、最近のように“自然とは何か”が問われているときに、このような刊行物も意義あるものと企画した次第である。」
1970年5月6日 (植物生態研究)施設長 畠山伊佐男