京大植物園TODAY

京都市左京区の京都大学北部キャンパス内にひっそり佇む現代の杜、京都大学理学研究科附属植物園の日々の風景を紹介します。

「京大植物園設置:七萬二千円の豫算計上」日出新聞記事(大正11年1月17日付)

2012年04月05日 15時19分52秒 | Weblog
京大植物園設立に関する大正時代の新聞記事が見つかりました。元日本植物園協会の坂信之さんから、「京大植物園設置:七萬二千円の豫算計上」というタイトルの日出新聞(現在の京都新聞の前身と思われる)の記事を教えていただきましたのでご紹介します。記事の中で、植物園設立に関わった郡場寛教授のインタビューがあり、その中で植物園設立の理由が簡潔に説明されています。



日出新聞記事(大正大正11年1月17日付)

京大植物園設置:七萬二千円の豫算計上
―学問研究に必要と郡場博士語る―

「京大理学部附属の植物園が造らるゝ事になり文部省から七萬二千円豫算に計上さるゝ事となった。仮りにも植物園とも名づけらるゝものが七萬二千円ばかりで出来る筈は無い。京大からは敷地買収費、建築費、造営費等を合し相応多額の要求をしたのだが文部省で削られたものらしい。京都には約十萬坪の府立植物園が近く開園されよふとして居り其の園長は京大の郡場教授がやって居るのだから其植物園を使ったらべんりだらう、と素人が言ふのに対して郡場博士は

『府の植物園は可及的ポピュラーに造るのが目的ですから学問の研究には適当でない。諸種の設備植物の配置蒐集等総て一般民衆を目的とするものと学問研究を目的とするものとは自ずから異ならなければならぬ。若し又府の植物園を学問研究に適する様に造営しようとすれば莫大な金を要して到底実現さるべくも無い。是れ小規模でも学問研究に適する植物園を別に設置せざるを得ない所以です』

と言ひ岡本書記官も同じよふに説明して居る。七萬二千円の金を何に費やすつもりかに就ては未だ議会が何うなるかさへ定まらない今日だからと言つて両氏とも口を噤んで居るが通過するだらうとは一般関係者の観測で通過したならば直ちに着手する事になるであらう。」