植物園の向に農学部綜合館がある。その南の入り口に奇妙な球体が展示されている。森林科学3回生の作品らしい。人に聞くとまだ過程の段階とのことだ。設置した角度から考えると地球儀の角度だ。しかし、ムカイノ・カッパが思いつくようなものは彼等は作らないだろう。完成がちょっと楽しみだ。
影はいろいろな事を想像させる。植物園の池にはしばしばアオサギの幼鳥らしきものが来る。ムカイノ・カッパが追う。彼は逃げ、高い木にとまる。そろそろと写真を撮る。影だ。ふっと思う、つげ義春の「鳥男」だ。「鳥男」は水門に佇み、そして飛ぶ。アオサギの幼鳥はムカイノ・カッパの気配で飛ぶ。「鳥男」は落ちる。アオサギの幼鳥は飛んで行く。人間と鳥との差はその程度のものだ。
画家三橋節子は植物園の小さな池を愛した。1968年に描かれた「池畔」は淡い色づかいで描き出されている。この淡い色づかいは人物を扱う時も例外ではない。三橋節子の色づかいは彼女の優しさなのだ。三橋節子は36才で夭折している。
ユリ科の植物。別名、リュウノヒゲともいう。ムカイノ・カッパには馴染みの植物だが「ジャノヒゲ」という立派な名称があるとは知らなかった。昔、笹竹で鉄砲を作りその玉がこの「ジャノヒゲ」の実だった。実の核が固く丁度笹竹の空間と合っていた。「クスダマ鉄砲」と称して遊んだが、なぜクスダマという名称になったのかは分からない。
素人が木を調べる。思いつくのが葉を一枚採るという行為である。しかし、葉一枚を持っていても普通の図鑑ではなかなか該当する樹木には到達しない。原寸図鑑『葉っぱでおぼえる樹木』はムカイノ・カッパにとっては重宝な図鑑だ。葉と似たものを探し、原寸だから重ねてみれば特定できる。この本は2005年に柏書房から刊行されている。定価は3400円。
第46回観察会は地球研の瀬尾明弘さんの「シダの多様な生活」。気にしていないと見過ごしやすいシダが今回のテーマ。群生はしていないが植物園の各所にシダが生えている。葉裏にびっしりと胞子を蓄えたシダ、葉の表と裏が余り変わらないシダ、植物園の中にもいろいろな種類があるようだ。植物園の温室の中にはシダの貴重な標本があるという。昔、植物学教室の中にシダ専門の研究者がいたのだろう。主不在ながらもその標本は大事に保存されている。
植物園の中央あたりにイヌビワが林立している。ふえているようだ。時々、実をつけたイヌビワがある。それも疎らだ。2月22日の観察会は「イヌビワについて」を小吹和男さんがガイドしてくれる。ちょっと癖のある姿をした木だ。
宿り木にはちょっと考えさせられる。木から木が生えているのだから変だ。ただ、ヤドリギ科という分類がある以上は彼等にとってそれが常態だ。首をかしげながらも納得するしかない。宿り木が繁茂すると親木(?)が枯れることもあるという。加減の妙というのも宿り木は体得しているのだろう。