おちよな毎日2

続「おちよな毎日」。

4月1日

2022-04-01 20:13:05 | 
4月1日(金)

金曜日なのに朝の電車が混むなーと思ったら、今日は4月1日でした。新入社員然とした、黒スーツ&ぴっちりした髪型&大きな荷物抱えた若い子の団体がちらほら。その他、春休みということで親子でお出かけ〜みたいな組み合わせも。子供が巣立ってしまい生活のリズムが単調になってきましたが、外へ出ると「そういえば学校は休みなんだー」などと気づかされたりします。

今週読んだ本;

「あんなにあんなに」(ヨシタケシンスケ);あんなに泣いたり騒いだりする子供がころっと変化するあれこれを描いた絵本。小さい男の子に振り回されるお母さんの「もう〜〜〜」が、あるあるで笑えると同時に、「あんなにわかかったのにもうこんな(自分)」というのにも、ほんまそれなと思いました。

「2030年ーすべてが加速する世界に備えよ(The Future is Faster than You Think)」(Peter H.Diamandis &Steven Kotler); あらゆる分野において、人々の想像を遥かに超える速さと規模でこれからの10年が激変するだろうという本。空飛ぶ車、培養肉、3Dプリンティングによる臓器や建設物の作成、キャッシュレス経済といった、もう日常に浸透しているか、コストなどの問題はあれど市場に登場目前である技術の進化の現状がいろいろ挙げられています。AIが日常の家事や趣味などあらゆる場面において、自分自身気がつかないような嗜好や心身のコンディションを考慮して選択を担うとすると、ちょっと怖い感じがしますが、この流れが止められない以上、何が起こっているか情報にはついていかないといけないんだろうなあと思いました。それにしても、インターネット見てたら出てくる「あなたにおすすめ」というやつは余計なお世話っていう感じしかしない。

「灰の劇場」(恩田陸);学生時代の友人同士で同居していた中年女性2人が飛び降り自殺したというニュースがずっと心に引っかかる作家。ニュースをベースにしたフィクション、フィクションが演劇になる過程、作家の視点とフィクションの登場人物の視点、前後する時間軸、現実と幻想と推測諸々が混ざり合って混沌とした物語でした。物語を理解できたかどうかはよくわからない。でも、自殺の原因は当然本人達しか知り得ないことではあるけれど、日常のほんの些細な絶望が積み重なるとき、自分の未来がないという現実を突きつけられたとき、「終わった」感がするだろうというのはきっとそうだなと思いました。





3月に読んだ本

2022-03-27 09:03:38 | 
3月27日(日)

今月読んだ本;

九十歳のラブレター(加藤秀俊);社会学者が65年間連れ添った最愛の妻に先立たれた寂しさとたくさんの思い出を綴った本。賢く美しい夫人が自分のキャリアは諦め、研究一筋の夫の度々の転勤について行き、その才覚とセンスで夫を支え家庭をきりもりしていく姿はいかにも昭和のインテリのおうちだなーと思いました。ここ数年、お互いに不自由な体を労わりながら、足りない所を補いながら、ニコイチでゆっくり生きていた静かで穏やかな毎日にある日突然終わりが。その日が遠くないだろうと予期していても、その寂しさはいかばかりだろうと思いました。

鎌倉男子 そのひぐらし(相羽鈴);鎌倉材木座海岸にある「そのひぐらし」という名前のカフェでバイトする高校生と大学生とフリーターの若い男の子3人とそれを取り巻くお客さんの話。いかにもキラキラした日常かと思うけど、実際のところは親や兄弟のことに悩み、将来に悩み、実らない恋に悩み、と思うにまかせないことがいっぱい。男の子3人の性格がそれぞれ素敵で、エピソードの切なさと甘酸っぱさとで久々にきゅんきゅんしました。あんまり関連性はないけれど、末っ子の高校時代をちょっと思い出しました。

エレジーは流れない(三浦しおん);熱海がモデルと思われる架空の観光地の寂れた商店街に母親と暮らす高校生男子の話。母親が2人いるという出生の秘密や自分の将来について、もやっとした気持ちを抱える毎日ながらも、彼のことを心配してくれたり温かく見守ってくれるお節介なご近所さんや愉快な友達に囲まれて、なんだかんだで彼は幸せ者だなと思いました。こちらでも末っ子の高校時代を思い出すっていう。

物理学者のすごい思考法(橋本幸士);日常の困り事や疑問に遭遇した時に、問題を抽出して定義を明確化し、それを解き、さらに実証するというモードに入るという物理学者の習性を説明した本。ニンニクの皮を剥いていて、積み上がったニンニクの山と皮の山の大きさが3倍違うことに気がついて、なぜだと思い(きっと私は何も思わない)、ニンニクを球だと仮定し(近似しがち)、微分でその現象を解いてその通りであることを確認するとか、餃子を作っていて終わりが見えてきた時に明らかに皮と餡の余り具合が違う時、両方きれいに使い切るための「UFOギョーザの定理」に到達するとか。こんな感じでは、毎日頭の中が超多忙だろうなあ。私も微積の苦手意識を克服して、日常の問題を近似しておとしこんでみたい…

三千円の使いかた(原田ひ香);それぞれの事情で節約が必要な親子3世代の女性の話。自分もそう、わかるわかると思う読者は多いんじゃないかと思いました。学生時代の友達とランチしてその活躍や華やかさにもやもやする子育て中の専業主婦の話は20代の頃の私、ガンの手術をしたり更年期の悩みを抱えている50代主婦の話はまさに今の私。70代で職探しをするおばあちゃんの話はきっと将来の私だなと。節約のヒントがちょいちょいあるのも今時だなと思いました。  


母親からの小包はなぜこんなにダサいのか

2022-03-12 15:10:29 | 
3月6日(日)

「母親からの小包はなぜこんなにダサいのか」(原田ひ香);題名が刺さったので読んでみました。エッセイかと思ったら短編集でした。

郷里の母親からの小包だったり、農家からの野菜お取り寄せだったり、謎の人から来る荷物だったり、いろんな荷物にまつわるそれぞれの家族や大事な人の物語。家族関係に悩む主人公の心に小包の中身がよりそう、しみじみする話でした。

なんにせよ、荷物が来るとちょっとうきうきするなーと思って、もうすぐ誕生日のうちの母親とぴよちんにお菓子を送ってみました。何にしようかなと選ぶのも楽しい(自己満足)。



今日は夕方、すみだトリニティホールへ群馬交響楽団をだんなと聞きに行きました。神尾真由子さんのバイオリンでウォルトンのバイオリン協奏曲ロ単調が演奏され、知らない曲だったのですが、むせびなくようなバイオリンの音にびっくり。顔も体もバイオリンも全て歌ってる、すごーいと思いました。

老後について考える

2022-02-23 09:58:35 | 
2月23日(水)

常日頃新聞や雑誌の書評欄で取り上げられている本を図書館で予約して順番が回ってきた本を読んでいるわけですが、大体いつもすごく予約人数がいて、半年とか1年以上待って順番が回ってきます。
そうすると、順番がやっと回ってくる頃には「なぜこれを読みたいと思ったんだろう?」という予約当初の動機を忘れていることしばしば。

でも今週借りてきた本は、自分のこれからについて考えさせられるという点で共通してたかも。

「にぎやかな落日」(朝倉かすみ);働き者できっぷのいい主人公のおもちさんというおばあちゃんの晩年の話。糖尿病と認知症で日々の生活にあれこれ支障が出たり、(誰にもわかってもらえない)寂しい思いをしたりすることが少なからずあるけれど、娘や息子の嫁や周囲の人々がいろいろ手を差し伸べてなんとかやっていけるのは、本人の真っ直ぐで、どこか憎めない性格のおかげだなあと思いました。

「じい散歩」(藤野千夜);こちらは昭和一桁生まれのおじいちゃんの話。自分が始めた商売が高度経済成長の波にのって羽振りの良い時代もあったけれども、家庭は妻に任せっきりで他に付き合う女性もできたりして、そのツケが老後にまわってきている日常。奥さんはまだらボケの状態ながら夫婦の関係性にずっと不満足な毎日を送っていて、3人いる男の子のうち2人は完全な引きこもりと定職のない居候という、客観的には閉塞した状況なんだけれど、悲壮感にあふれた話でもないのは、当の主人公がいろいろ散歩して外の空気を吸うのと、どこか他人事っぽい態度によるものかと。何事も自分でさっさと決めて我が道を行く生き方は今更変えられないし、また変える気もないし、そもそも自分に落ち度があるとは露ほども思わないし。おじいちゃんが散歩する場所がいくつか気になったので、そのうち行ってみようと思いました。

「The LONELY CENTURY なぜ私たちは孤独なのか」(ノリーナ・ハーツ);利己的な資本主義では大多数の労働者が効率を追い求める働き方を要求されてそれは果てがなく、自分の運命は自分だけが決めてその結果は自己責任であるという考えの浸透により他者への無関心が増大し、スマートフォンやソーシャルメディアの発達は異文化や異人種に対する嫌悪感情を増幅させたり生のコミュニケーションの能力をもたらしているなど、今までなかった深刻なレベルで孤独感に苛まれる人が増えている現代。これからの資本主義は思いやりやケアなどの観点から語られるべき。「誰の目にも入っていない」と感じる孤独な人々がお互いの相違点を乗り越えてつながりを回復するためには、思いやりのある多様なコミュニティーを作って帰属意識や一体感を得られるようにすることが必要。


待ち時間で読書

2022-02-06 10:14:16 | 
2月5日(土)

下瞼の内側がなんかごろごろして外側まで赤くなっちゃったので眼科に行ったら、ものもらいだと言われて抗菌剤やステロイド剤の目薬と軟膏が処方されました。いつも行く乳腺外科や婦人科も大変混んでるけれど、眼科もいつも混んでるなと思いました。本はよく読めるけれども、待合室が混むからコロナも心配だし、もう行かずに済めばいいんだけど。


今週は以下2冊の本を読みました。

「アンソーシャル ディスタンス」(金原ひとみ);彼氏との関係やコロナ禍やらいろいろこんがらがった状況の中で自分がどこに向かおうとしているのか、自分の存在価値が信じられず何かに依存せずにはいられない女性の短編5つ。どれも生々しくてヒリヒリする話だったので、時々本を閉じて休憩しながら読みました。自分よりだいぶ年下の恋人ができたから美容整形にはまっちゃうという話では、自分ももし同じ立場になったらそうするかもって思いました。

「硝子戸のうちそと」(半藤末利子);夏目漱石の孫で、半藤一利の妻のエッセイ。前半が祖母の鏡子(漱石の妻)や彼女の周りの人々にまつわる思い出、後半が夫の晩年についてでした。彼女の本を読むのは初めてだったので、鏡子のことについては自分の思っていたイメージとだいぶ違っていたなあと思いました。彼女のエッセイを他にも読んだ後、また「吾輩は猫である」を読み直すとまた違った味わいがありそうです。夫との暮らしとその看取りについては、他人事とは思えずしみじみしました。