Mooの雑記帳

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2月9日 沖縄南部戦跡で起こっていること

2021-02-09 22:38:27 | 沖縄

雑誌「世界」3月号では、軍事化する琉球弧のさまざまな問題点をえぐり出しています。
与那国島から宮古、石垣、沖縄本島、鹿児島県の馬毛島に至るまで、隙間なく自衛隊、米軍の基地軍が中国封じ込めの第1列島弧を形成するという、「本土」からは何も見えない軍事基地化がどんどん進行中。

寂れる地域を活性化させる唯一の手段として法外な金を積んで土地買収や「振興」予算をつけるという手法は原発立地と何も変わらない手法です。住民は、廃れる地域を放置するよりも、交付金、補助金などを受け取って地域振興にあてることが「現実的」だという誘導に流される。決して容認するわけではないがとしながらも、金の力には勝てない。結果、地域は分断され、修復不能になるまでズタズタにされる。

沖縄本島で、辺野古の基地建設のために、いったい何が起こっているのか、最近ではコロナ禍の影で全く報道されることはありません。基地がいつ終わるともしれない巨大な工事が延々と続けられ、今も大浦湾と沖縄中を破壊し続けていることに、全く無頓着となっています。
沖縄に基地があるという意味は、まさにここにある。
地理的に遠いために、何が起こっているのか知らされないために、あるいは知っても身近な問題ではないためにすぐに忘れるから、まことに都合がよろしい。問題はその土地の問題であり、我々の問題ではないということにされてしまっています。「捨て石」は、遠くにおいておくに限るのです。

日本軍が朝鮮半島や中国本土で何をしてきた国民が知らなかった(いまだに知らない)のも、これと全く同じ構図でした。現地でどんな蛮行が行われようが、知らない(知らされない、知ろうとしない)が故に、すべては美化され許容される。「皇軍がそんなひどいことをするはずがない」という感覚は国民に広く共有されていたのではないでしょうか。

沖縄の南部戦跡のある地域で、いま土砂採取が始まろうとしています。写真の通り、「熊野鉱山」の開発業者が、大規模に土砂採掘を行って、これを辺野古の埋め立てに使おうというのです。

(写真は「チョイさんの沖縄日記」より)

ところが、ここは沖縄戦の最終局面で、多くの県民が逃れてきて逃げ場を失い米軍の艦砲射撃や地上戦での激戦に巻き込まれて数多くの死者がでたところです。その遺骨はいまなおこの土地に眠っているのです。
直ぐ近くにある魂魄の塔は、周辺の道路、畑などに散乱していた何万という遺骨を戦後直ぐに集めて納めたところです。言わば周辺一帯は、犠牲者の無念が積み重なった場であり、神聖そのものの土地なのです。

土建業者は「自然公園法」も「森林法」も無視して工事を始めたために、さすがに一時中止の指示を沖縄県環境部が出して現在は中断してはいます。鉱山のある糸満市は、「遺骨収集を行う」「風景の保護」などを条件につけて届を県に出すようにしたとされており、県も「基本的に届出に形式上の問題がなければ受理する」と報道されており、これが受理されれば2月中旬以降にも開発が可能となってしまいます。

工事が再開されれば、取り返しのつかない環境破壊と戦跡地域破壊を引き起こすことになってしまいます。
次は、沖縄平和市民連絡会が1月26日に沖縄県に提出した要請書です。遺骨混じりの土砂を、こともあろうに戦争のための米軍基地建設の埋め立てに使うなど言度同断!実態を知った県民の怒りはいま広がり初めています。

糸満市・「魂魄の塔」横での土砂採取の中止を求める要請書

辺野古の米軍基地建設工事とともに、沖縄本島で何が起こっているのか、まず知ることからはじめたい。

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