Mooの雑記帳

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9月22日(木) 地方自治が試されている

2022-09-22 11:38:30 | 日記

下は今日の各紙の報道。従来、市民タイムス、大糸タイムスはそれぞれ独自の取材で報じていましたが、現在は大糸が市民タイムスに吸収合併されたために、池田町の記事は全く同文になっており、取材元の大糸タイムスのみ掲載しています。

これらの誌面を見る限り、大糸は「不祥事など具体的な問題が浮上していない人事案件の否決は異例」とし、信濃毎日も、「こうした事態を招くような(議会側の)反応は事前になかった」との甕町長の発言を紹介し「異例の不同意」と書いているとおり、いかにも町民には唐突で、過半数の議員が何らかの感情的な反発で否決に回ったような印象を与えています。

ただ、信濃毎日は、不信任の背景には「(副町長)が補佐役の意識に欠け、実質的なかじ取りを担っている」という議員の評価も紹介しており、行政運営における副町長としての姿勢や言動が問題になってきたことを示唆している点は重要です。
今回の議員の評決までには、議員個々が相当に迷い、考え抜いた時間があったことは、私自身よく知っています。決して軽薄な対応ではなく、反対、賛成の立場にかかわらず、それなりに議員としての熟考をもとに行われたことは間違いないことです。

この問題の中で、見落としてはならないのは、地方自治における議会の役割の問題です。全国的に、議会は行政のチェック役というよりは行政の追認機関に陥りがちであり、議会より首長が圧倒的な力を持って自治体運営にあたってきたというのが実情です。
今回の副町長案件の否決は、ある意味で甕町政に対する議会からの不信任の意志表示でもあり、ややぎこちない形ではあれ、ノーの意思を突きつけたという意味は決して小さいものではありません。町長提出の案件については当然「否決」もあり得る。提案者は、それを踏まえて、提案理由を説明しなければならないのです。

「こうした事態を招く事前の反応はなかった、気付かなかった」というのは、町長の表向きの気楽な発言で、もしそれが本心であり事実であるなら、もはや町長の資格はないというべきです。甕町政の言わば番頭役だったわけで、予算編成のための査定から、さまざまな事業の執行まで、実際の実務を仕切ってきた人ですから、どのように振る舞ってきたかを知らないはずはありません。見ていながら、その意味を解していないとすれば、もはや言うべき言葉はありません。

信濃毎日は「副町長不在が町政に与える影響に対し、町議会の責任も問われる」と書いていましたが、それはその通りでしょう。
同時に、議員を送り出しているのは住民の側ですから、住民自身の行政への関心やチェックが必要になります。来年には議員選挙が行われ、すでに病気などで継続できないだろう議員も存在することから、果たして立候補が定数を満たすのかどうか、二元代表制の片方を担うに相応しい地方議会を作り上げられるのかどうかがすぐに問われる。

先日も紹介した例の、議会攻撃「正体不明」ビラのように、議員個々の行状をあげつらって、議員数も1/3削減しろという程度の「反発」からは何も生まれない。生まれないどころか、地方自治を投げ捨てドブに捨ててしまうことになりかねません。

議員個々に対する、事実に基づく節度ある批判はむしろ必要だし、お互いに切磋琢磨して議員としての力量を高めていく力になるでしょう。
まず議会側が、住民の中に入り、意見を聞く努力を重ねることから始めるべきです。気に入らないような批判もあるでしょうが、それを恐れていては何も始まらない。兼ねてから、くどいほど指摘されながら、池田町議会はそれを怠ってきたのです(今年については、やろうとしてコロナの影響でできなかった面がある)。その他の議会改革の課題についても、似たような現状にある。

年数回の住民懇談会、説明会や、テーマを決めての討論会を制度化し、それをフィードバックする努力を2,3年続けるだけで、町の雰囲気は変わるはずです。
議会での一般質問も、町政の問題点に深く切り込むものでなければならないでしょう。単に態度を聞くような質問はやめて、具体的な数字や資料を駆使して行政の実情を明らかにし、政策課題への対応・方針を明らかにさせていかなければならない。
あらかじめ質問を出しておいて、それに対する回答が事務部局で準備され、議会ではそれをお互いに読み上げるだけでは、少しも発展性がない。質問通告が不要だとは思いませんけれど、それから逸脱する質問を遮るような議会運営は改めるべきです。

この事態は、議員にとってだけではなく、住民の側にとっても、地方自治をどう作り上げるのかを試す、大きなきっかけなのです。