紫陽花記

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★49 (★47の続編) 落下した子燕

2024-08-04 06:25:51 | 「と・ある日のこと」2024年度
先日、我が家の巣から燕の子たちが親共々巣立った。早朝の旅立ちだ。



 この猛暑の中、子育てをしていた燕。巣は、カラスなどの襲撃に遭わないようにポーチの中心にある照明器具の側面。やりづらい作業だったかもしれないが、出来上がると卵を産み、抱卵を開始。子燕の数が4羽だと思っていたが、3羽であった。

 ある日の朝私は、毎日のルーティンで庭を徘徊し、玄関ポーチ迄行く途中に、何やら蠢いているモノを見つけた。掴んで見ると、なんと、燕の子だ。まだ羽の生え揃っていない子燕は、怖がることも無く、私の手の中にいる。巣から落下したようだ。野鳥に手出しはしない方が良いと思ってはいたが、地上に下りない習性の燕が、子を巣に戻すことは出来ない。それに、地上にいる子燕を認識しても、餌を運び養育することは無理ではないか?

夫が六尺の脚立に上って巣に戻した。次にさっきの燕より小ぶりの雛が、糞受けの紙の上に落下。大急ぎでまた脚立を出して、夫が巣に戻した。と、そうしているうちに、二番目よりチビの子燕が落下。巣が手狭になったせいらしい。巣に戻したいが、夫は用事があって出かけてしまっていた。私は、自分一人で脚立に上る勇気がなかった。仕方なく、プラスチックの皿に紙タオルを敷き、子燕を収容。夕方戻った夫に巣に戻してもらった。30分おきの餌やりが出来ないと衰弱するとかいう時間を大幅に過ぎていた。

 番の親が餌を運んできた。我ら夫婦はポーチから離れて中庭の方に移動して見ていた。と、思う間もなく、ストンという音と共に、チビが落下。今度はタタキにもろに落ちた。番の親燕は、鳴き乍ら右往左往に飛び、子の心配をしている。チビは動かない。親二羽は暫くチビの真上辺りを大騒ぎで飛び回っていたが、諦めたように飛び去り、戻って来た時には、遺った二羽の子燕に餌を与え続けた。
 羽が育ち、羽ばたきを繰り返し、そして、生き残った子燕たちが巣立った。



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