紫陽花記

エッセー
小説
ショートストーリー

別館★俳句「めいちゃところ」

★27 歯のホワイトニング

2023-10-29 06:16:55 | 「とある日のこと」2023年度

 
コロナ5類になってマスクを外す人が多くなった。でも私はなかなか外せない。一つには、不整脈という持病があって、それに、喉など呼吸器全体が弱いので大事を取っている。
だが、いつまでもマスクでは居られないだろうと思うが、歯の黄ばみが気になっている。

 日本人に多い歯の色は、やや黄色が勝っている。真っ白の歯が理想だ。最近盛んにコマーシャルで流れている卵の殻が原料という歯磨き剤を、試してみたいと購入した。

 約5分を掛けて念入りに歯磨き。横に縦に「白くなぁれ、白くなぁれ」と、磨く。

 約一カ月後に歯の定期検診。口内全体はいつもより爽やかな感じ。歯の色は若干白くなったような気がする。念入りにインプラントなどを点検していた歯医者さん、上前歯茎に施してある詰め物の色が気になったようだ。一度外して、再度付け直しては如何と薦める。どうやら、自歯の色と詰め物の色が合わなくなっていたようだ。と言うことは、以前より歯の色が白くなっていたからだ。写真を見ると明らかに、以前の詰め物は黄ばんだ色である。

 歯のホワイトニングには、医院で勧める、オフィスホワイトニングというものがあるらしい。時間もかかるし、歯磨き剤使用とは考え方が違うらしい。

 歯磨き剤を購入してから歯磨きに掛ける時間が多くなった。マスクを外した時に、日本人特有の歯の色は仕方ないとしても、真っ白とは言えないまでも、なるべくそれに近い歯の白さが欲しい。今日もコーヒーやら紅茶やらを飲んだ後には念入りに歯磨きをしている。それにしても、どなたも美しい歯の色が欲しいと思うはずだ。

笑顔に白い歯が似合う。健康的に並んだ白い歯を夢見て歯磨きを頑張っている。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俳句・めいちゃところ
https://haikumodoki.livedoor.blog/
写真と俳句のブログです。
こちらもよろしくです。

★26 ドクター・ダンサー

2023-10-22 06:46:15 | 「とある日のこと」2023年度


 以前踊るチャンスがあったが踊れなかったダンサーとようやく踊ることが出来た。歯科医でCさんと言うダンサー。ダンスは何でも熟すとの評判で、チャーター募集にはキャンセル待ちが出るほどの人気者。

 数か所のホールの予定表を見ると、週一の割合で何処かのホールで踊っているような忙しさ。はて? 本業の歯科医としては、いつ働いているのだろう? 疑問は膨らむばかり。

 チャーターに参加できたこの日、どのダンサーがお目当ての歯科医なのだろうと見渡した。黒の上下を着た男性ダンサーたちの中に、顎髭の173cm位のダンサーがその人Cさんであった。お医者さんというイメージではなく、腰の低いにこやかさ。ダンスタイムの前に、今日のスタッフの紹介の後、「では、Cさんに一言を」とご指名。毎度のことであるが、ちょっとしたお遊びの時間がある。その度に、指名されたダンサーは、近況報告やら、出まかせトークがあったりする。その時間は、30秒から1、2分程度。Cさんは前回の時もちょっとした歯に纏わる話をしたらしい。今回はその続きのようだった。

「歯を磨く時、歯茎に傷が無いのに出血しても、しっかり歯磨きを続けてください。血液には・・・」と、その時、いきなりダンス曲が話を遮った。これが、営業前のリラックスタイムらしい。わっと笑いが起き、拍手。すぐに6人の男性ダンサーたちが女性客の手を取り踊り出した。

 Cさんと踊りながら、疑問を聞いた。
「仕事は週三のシフト。一日12時間。休憩時間は1時間半なんですよ。独立したいのでね、頑張っています。都内の物件は高額なの」などと、私の疑問に答えながらリードしてくれる。柔らかな身体で、初めてながら踊り良いダンサーだと思った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俳句・めいちゃところ
https://haikumodoki.livedoor.blog/
写真と俳句のブログです。
こちらもよろしくです。

★25 半俵の新米

2023-10-15 07:16:38 | 「とある日のこと」2023年度
 
 
今年米が届いた。私が喫茶店を経営していた頃から購入していた農家の0氏が、半俵(はんたら)を二袋に分けて、振り分けのように揺らしながら届けてくれた。

 農家の0氏は我が店の常連さんだった。いつも職場の大先輩のT氏と一緒に来てカウンターを陣取っていた。二人は某会社の機械の設計士。掛け合い漫才のように、会話が弾んでいた。T氏家も0氏家の米を買っていた。

0氏は、T氏から購入依頼を受けると、大先輩の年齢を考えて半俵を二袋に分けて届けていた。T氏は、その二つを両手に提げて、「まぁだまだ、大丈夫なんだから」と車まで運んで見せた。T氏は既に亡くなっている。今、あの頃のT氏と同じ年ごろとなった0氏。あの頃のT氏と同じように体を左右に揺らしながら歩く。それを見ている私も、顔の皺が増えた。

「一袋ずつ運んでくれれば」と、毎回言うが、0氏はその度に、「運動のためだから」と言う。老いた身体をまだ鍛えたいらしい。我が家の玄関内まで運んでくれると、たまには、あの頃の思い出話もあったりするが、5分から10分程度の会話を楽しんで帰って行った。

 0氏家の米には、地域の名前が付いている。T氏は0氏の苗字を付けて呼んでいた。私も同様に呼んでいる。
早速新米を頂くことに。今年米の白米飯は相変わらずの香しさで、真っ白で艶々。ふっくらと焚き上げる水加減も最高の出来栄え。我が家の嫁様の料理が光る食卓になった。

 0氏家の所有田んぼは一町五反ほど。息子さん二人が居るので、この先も購入できるだろうと思ってはいるが、0氏の少し前屈みになった姿を見ると、どうぞいつまでも元気で居てねと言わずにはいられない。そして、自分も元気で居たいものだと思う。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俳句・めいちゃところ
https://haikumodoki.livedoor.blog/
写真と俳句のブログです。
こちらもよろしくです。

★24 閉じるホール

2023-10-08 07:21:27 | 「とある日のこと」2023年度



「今日でこのホールは閉鎖します」
 オーナーのパートナーが言いました。
「今後のことを・・・」
 早速方向転換をして営業を続けていく様子。9月からのスケジュールは、公共施設でのワンコインパーティー。10月からは、県をまたいだ場所にあるホールで営業をするとの説明。そのホールは、私の住まいから車で10分の距離にあるホールとのことでビックリ。以前、レッスンに何度か通った場所らしい。

10月で営業を止めると言っていた他のホールもあるが、早々と次の経営者が決まったとか。社交ダンス業界も、いろいろな事情があるようで、ときたま踊りに行っている側としては、新しい風が吹くかもしれないという期待と、その後の展開に不安もあったりする。

 社交ダンスも、だんだんとレベルアップしていて、客側の眼が肥えているとも思える。小手先でのお相手では通じないし、客側が選ぶ時代になってしまっているようだ。沢山いるダンサーたちには気の抜けない仕事ではないか? 人気ある勝ち組のダンサーでいるには、技術は勿論、体格にも左右されるが、笑顔や軽いトークや清潔感など、なかなか大変なことではないだろうか? そのような難しい条件を満たして営業に臨めば、場所は何処でも成功するだろうと思う。

 はてさて、時は待ってはくれません。オトシは待ってはくれません。体力はいつまでも同じではありません。日々変化する利用者側の事情。常に緊張感をもって、サービス精神を忘れないで、そしてまた、仕事として成り立つようにしていく努力は、経営者側の必須。
 
 猛暑続きだったこの夏。この秋の吹く風はどのようなものなのか? 私自身も、少しずつ変化していこうと思っている。同じではない何かを求めて。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俳句・めいちゃところ
https://haikumodoki.livedoor.blog/
写真と俳句のブログです。
こちらもよろしくです。

★23 止めたレッスン

2023-10-01 06:12:43 | 「とある日のこと」2023年度

 
何かしらの勉強を途絶えることなく続ける性格の私。ダンスのレッスンも、ここ3年程止むことも無く続けていた。ダンスの始まりは、現役時代の終りごろ。仕事の合間の500円の団体レッスン。覚えるのには苦労だったが楽しさが勝っていた。

 基礎がシッカリしていないと、何事も上達は遅い。先ず基礎をシッカリ身に着けていたなら、問題の内容も解りやすいし、特に身体全体を動かす動作は、理屈を知っているほど美しく動けるようだと、最近になってから思うようになった。

 時遅かりし・・・。私の場合、この言葉が身に染みる。 

 気が変わるという時は、ちょっとしたキッカケがあった時。私は何に反応したのかは自分の心に何度も確かめた。たった6文字の言葉が耳に入った時だった。一気に冷気が心を撫でて行った。どう思い返しても、本心の籠った言葉だと理解した。

 ダンスって大好きな運動だ。ダンスウェアーも非日常で心浮き立つ。お相手してくれるダンサーたちの逞しい筋肉の躍動。物腰の柔らかな言葉も非日常。そして、少しでも美しく踊りたいという欲望は、レッスン好きの私を3年も続けさせてくれた。

 暑さのせいかしら? オトシのせいかしら? 突然襲ったやる気なしの風。

 申し訳ないと思いながら、先生にレッスンのキャンセルを申し出た。先生からは、「諸々承知いたしました。また気が向いたときにはいつでもよろしくお願いします」というメールが届いた。

はてさて、これから何を目標にしたら良いのだろう? 楽しく踊ることが一番の願いではあるが、それだけで良いのだろうか? 勉強好きの私の気持ちはまだ揺れている。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俳句・めいちゃところ
https://haikumodoki.livedoor.blog/
写真と俳句のブログです。
こちらもよろしくです。