実在した14世紀のカスティリア王、ドン・ペドロ1世の物語。
アルカサル-王城- 13 青池保子
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ドン・ペドロは、カスティリア王アルフォンソ11世の嫡男として生まれたが、彼が生まれる前に、すでに、アルフォンソ11世には、愛妾の生んだ双子の男子がいた。カスティリア王家のサロンは、王妃(ドン・ペトロ)ではなく、王の愛妾が中心となっていて、ドン・ペトロは、王位継承者でありながら、父王とは別の城で少年時代を過ごした。
アルフォンソ11世が急逝し、ドン・ペドロが王位を継承した。庶子たちは、国外に追放されたが、庶兄のエンリケは、カスティリア王を狙い、ドン・ペドロの生涯の的となる。ドン・ペドロは、アラゴン、フランス、ナバーラ、グラナダなどの周辺諸国との闘いだけでなく、異母兄弟であるエンリケとも戦い続けることを余儀なくされる。
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1994年まで掲載していた雑誌が休刊して、連載が中断していましたが、このたび、13年ぶりに、めでたく最終刊が出ました。
やたらと同じ名前が出てくるし(ヨーロッパの王家って、名前のバリエーション少ない)、血縁関係・婚姻関係が入り組んでいるので、ややこしいのですが、青池さんの筆力で、そう混乱しないで読めました。(もちろん、登場人物のほとんどは少女漫画風のルックスですけど)
連載再開後の完結編は、歴史の要約という感じで、説明的ですが、しかたない。
しかし、濃かった。
中断前の12巻が、わずか4年間に描かれたものだったとは!ドン・ペドロ1世は、34歳で亡くなったのですが、戦闘にあけくれ、親族や家臣の裏切りに耐え、家族を愛し、濃縮された人生を、駆け足で走り抜けた感じです。
しかもその間に、11年もかけて、世界遺産に登録されている、セビリア王城も作っています。中世の荒々しさと、イスラム文化の優雅さを備えたドン・ペドロのお城。チャンスがあれば、行ってみたいものです。
ヨーロッパの王室は婚姻関係で繋がっていますが、ドン・ペドロの娘たちが、薔薇戦争のヨーク家、ランカスター家の始祖となる、イギリスの王子たちと結婚したというのも、初めて知りました。
連載中断前は、作者がスペインに取材旅行に行ったときのエピソードが、たまに巻末に載っていて、それも楽しみでした。まだまだエピソードがたくさんありそう。番外編、楽しみにしています!
他の(フリーになってからの)単行本はほとんど読んでるのに、これはどういうわけか、読んでなんですよね~。
まあ「エロイカ」だって長いブランクの後、再開してますから、こういうのもアリなんでしょうね/cherry_red/}。
バイエルンの村の親類にもおんなじ名前が続々。ヨゼフ、
アンナなんてのは一家に一人、じゃすまなくてアンナおばさん
とか末の娘の家のアンナ、とか親戚中にゴロゴロしてたりします。
相方に言わせると自分の親戚にない名前を付けることが
昔は少なかったらしいです。「なに、クラウス?そんな名前の
じいさんはおらんかったぞ。却下。」てなもんかな?
完結していなかったんですよ~。掲載誌が継続していれば、30巻くらいになっていたかもしれません。個人的にはエロイカより好きなので、ときどき読み返して、歴史のお勉強(?)をしていました。
うちの田舎では、今でも、同じ名字の人がたくさん住んでいる集落があったりしますが、区別するために、「屋号」があるんですよ。「ごさくどん」とか「なべや」とか、昔の人の名前や職業など。
「鍛冶屋のヨゼフ」とか「クッキー焼きのアンナ」とか、屋号があるとか…あ、一家に何人もいるんじゃ、屋号じゃ役に立たないですね。もしかして「鍛冶屋のヨゼフ15世」とか呼んでいたりして。
青池保子さんの事だから、てっきり中途中断だと思い込んで、持っていた本、売ってしまいました(涙)
13年ぶりですからね~。私も出るとは思っていませんでした。でも、番外編もまだ出そうです。
完結巻だったのですか。
このシリーズは、2巻までしか持ってません。
よし、ブックオフで昔の探そう。
私も古本屋で買い始めたので、美品ではないのですが、ご所望とあらば、全巻まとめて、宅急便で貸し出ししますよ~。
それにしても、この頃のカステーリアの歴史って、日本ではマイナーなのか、ドン・ペドロのことって、あまり出ていないような…。このあいだ、「ペドロ」は、カタルーニャ語では、「ペラ」ということを知ったくらいです。